1月24日(木)の名盤は…
今日は1980年代後期から90年代にかけて、たくさんのヒットを生み出し、
現在ももちろん第一線で活躍する女性シンガー・ソングライター、
スザンヌ・ヴェガをご紹介しましょう。
彼女がメジャー・デビューした1985年頃というのは、
パンクから派生したニュー・ウェイヴ全盛期で、
1970年代に大流行したシンガー・ソングライターにとっては、
居心地のいいものではありませんでした。
マドンナやシンディ・ローパーなどは、自作自演という意味では
立派にシンガー・ソングライターな訳ですが、
彼女たちは、もっと広いいみでのポップ・スターという呼称がぴったりですし、
ここでは弾き語りに近いシンプルなサウンドで、
温かみのある歌を聴かせるスタイルのことを指しています。
ニュー・ウェイヴの時代に、そういったスタイルは、
確かに古臭く感じられたのは事実で、それ以上に70年代からの
生き残り組のシンガー・ソングライター達が、変に時代を意識して
エレクトロニクスを取り入れた作品の多くが、ダサく感じられたのが、
自分で自分の首をしめているようでした。
そんな時代に現れたスザンヌ・ヴェガは、
60年代フォークから70年代シンガー・ソングライターの
古き良き音楽の伝統をしっかり感じさせながらも、
自然体で確実に新しい世代を感じさせてくれたのです。
ニュー・ウェイヴを自然に経過したシンガー・ソングライターサウンド。
言葉にすればそれだけですが、これは70年代組には
絶対に作ることができない音楽だったのです。
彼女が80年代シンガー・ソングライター不毛の時代を、
ほぼ一人で埋めてくれなかったら、90年代のアラニス・モリセットも、
シェリル・クロウもフィオナ・アップルも、
今のようなスタイルで登場することはなかったかもしれません。
今日紹介した「ルカ」という曲は、彼女を一躍知らしめた1987年の大ヒット。
実は幼児虐待を歌ったシリアスなナンバーだという事も覚えておいて下さい。