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「ピクニックあるいは回遊」

さまざまなアートの話題をお届けしています「アートなくらし」。

現在現代美術館では「ピクニックあるいは回遊」が開催されています。

九州、熊本に縁のある作家に注目した展覧会で、彫刻、写真、絵画など、

あらゆる表現方法の19人の作家の作品を一堂に見ることができます。

19人の作家の中から毎月お二人ずつインタビューをお送りしてきましたが、

今日が最終回でした。

お一人目は熊本県出身の冨永剛さん。

冨永さんの作品はいったいどのようなものですか?

「土壁です。僕は生まれが熊本なんですが、生まれた町のすぐ近くの

知り合いの畑の土を使って作っています。

大きさとしては横9m50cm、縦4m50cmぐらいで、

作り方は昔の土壁とまったく同じです。」

美術館の中にはいろいろな方々の作品が白い壁に展示してあります。

その中を迷路のように歩きながら作品を見てまわる訳ですが、

ある場所の角をまがると土壁が現れます。

美術館の白い壁だと思っていたものは、

実は冨永さんの巨大な土壁という作品の裏側なんですよ!

どこに土壁があるのかを楽しみに館内を巡ってみてください。

どうして土壁という作品を制作されるようになったんでしょうか。

知り合いの畑が親戚の畑で、そのおじいちゃんが竹山をもっていたので、

初めは竹を使った作品を作っていました。

そうすると今度は畑があったんで、その畑の土と竹を使って

壁を作ろうと思いました。もともと絵を描くのは好きでしたが、

自分の身の回りにあるものを使っていたら、いつの間にか、

土壁になっていました。

「ピクニックあるいは回遊」という作品展の名前にちなんで、

冨永さんにとってわくわくする場所を聞いてみました。

わりと何てことない日常の景色などに気づかされる事が多くて、

わくわくする事もその中にあります。

2人目は大分県出身の西野正将さんです。

西野さんは大分の短大を卒業された後、

崇城大学のデザイン学科に編入されたので、熊本とも縁のある方です。

今回僕は、美術館に2箇所トイレがあるんですが、

そこの廊下を利用して製作しました。

まず、現代美術館のトイレの前にはテレビモニターが

備え付けがあるので、そこでは1分間の短いショートムービーを15本、

そしてトイレまでの廊下のカーペットも使いました。

普段生活していてカーペットの焦げ跡が気になる事があって、

その焦げ跡を”星座”にしてみたら?などと思ったのがきっかけ。

そしてその焦げに関連した写真作品を廊下の壁に展示しています。

お分かりいただけたでしょうか?

最後に「ピクニック あるいは回遊」という作品展のタイトルにちなんで、

落ち着ける場所、好きな場所を聞いてみました。

自分の部屋が一番落ち着きます。

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「ピクニック あるいは回遊」は

熊本市現代美術館で7月6日まで開催中です。

今日ご紹介した西野さんの作品をはじめ、いくつかの作家さんの作品は

無料で見ることのできるスペースにも展示してあります。

実際に見てみると、美術、アートといっても、表現方法は本当にさまざまで、

型にとらわれず、自由な発想でいいんだなと、新たな発見があると思います。