9月4日(木)の名盤は…
今日は、1960年代末から70年代にかけて数多くのヒットを生み、
日本でもとても高い人気を誇ったスリー・ドッグ・ナイトを紹介しました
このグループ、実は他に類を見ないほどユニークなんです。
まず、バンド4人にヴォーカル3人の7人編成。
コーラスでハモるための3人ではなく、リード歌手が3人いて、
それぞれスタイルが違うんです。ということは7人組の1つのバンドではなく、
歌手の異なる5人組のバンドが3つあるのと同じと考えられます。
これによって激しいロックンロールから甘く美しいソフト・ロック、
さらにソウル/R&B調まで、幅広い楽曲を無理なく自然に
演奏することができたのです。
さらにユニークなのは、その幅広さとも関係が深いのですが、
ビートルズ以降、ロック・バンドは自作自演が当然、
それでこそロックという風潮が支配する中で、
彼らは自分達で曲を書かなかったんです。
もちろん、職業作家に発注して書き下ろしてもらう、
なんてアイドル歌手みたいなことはしません。
じゃあどうしたかというと、他人の曲をカバーしたのです。
「なーんだ、それじゃ、安直な企画バンドじゃん」と思わないで下さい。
ヒット曲は1曲もカバーしていません。
ヒットはしなかったものの隠れた名曲、まだ新人で無名で実績もない
優れたミュージシャンの楽曲などを掘り起こしたり、
青田買いしたりして、自分達の個性に合わせて息吹きを与え、
ヒットさせるのが彼らの喜びだったのです。ニルソン、ランディ・ニューマン、
ポール・ウィリアムスなどなど、彼らが取り上げたおかげで有名になり、
オリジナルもヒットするようになった例が山ほどあります。
無名の優れた楽曲を集めてくる選曲の確かさと、
それを自分のものにするアレンジ能力の秀逸さ。
これこそがスリー・ドッグ・ナイトのユニークな個性と言えるでしょう。
これって、今のクラブDJにとても近いと思いませんか?