10月9日(木)の名盤は…
今日は「マッドネス」を紹介しました。
マッドネスという名前は知らなくても、日本では35歳以上の方なら、
車のCMでムカデ・ダンスを披露していた7人組…、
懐かしく思い出されると思います。あのグループです。
1970年代末のイギリス、パンク・ブームに触発されるようにして、
スカのリヴァイヴァル運動が起こります。
スカというのはレゲエの原型ともいえるジャマイカのダンス・ミュージックで、
「ンカ・ンカ・ンカ・ンカ」というリズムが特徴です。
スペシャルズ、マッドネス、セレクターといったバンドが同時期に登場し、
同じ2トーンというレーベルだったこと、
白黒2トーン・カラーの衣装を身に着けていたことから、
2トーン・ムーヴメントと名づけられ、パンクを経由したスピード感溢れる
新しいスカがイギリス中で大人気となりました。
ところがこのムーヴメントは冷めるのも早く、
特に基本的に同じリズムのスカはすぐに飽きられ、
1982年頃には多くのバンドが消え、リーダー格だったスペシャルズさえ
解散してしまいました。
でも、マッドネスだけが生き残ったのです。
彼らには例のCMのムカデ・ダンスのようなユーモラスなキャラクターが
強烈だったことと、イギリスの人々の生活を風刺と皮肉をまじえながらも
ジョークたっぷりにあたたかい眼差しで描く歌詞の
素晴らしい才能があったからです。
こういう歌を書くバンドをイギリスの人達は愛します。
そして1982年末に発表した4作目のアルバム「ライズ&フォール」では
スカを捨て、いかにもイギリスらしい、
伝統的なブリティッシュ・ポップスといえるサウンドを展開。
より歌詞の内容と合った音楽性で、
イギリスの国民的人気バンドと呼ばれるほどになり、
1986年の解散まで高い人気を誇り続けました。
その後、何度か再結成するたびに大声援で迎えられています。
イギリスの庶民にとってはヒーローというより、
永遠の隣のアンちゃんなのです。