11月27日(木)の名盤は…
1986年の大ヒット、ロビー・ネヴィルの「セ・ラ・ヴィ」を紹介しました。
この曲は80年代を代表する傑作と言ってもいいぐらい、
クオリティの高い作品だと思うのですが、
実はロビー・ネヴィルという人自体は謎が多い人だったんですね。
まず出身地。デビュー・アルバムの解説ではまったく触れてなかったのですが、
2ndアルバムの解説には、「ロサンゼルス生まれ」と書いてありました。
ところが当時の文献によってはイギリス出身と
なっているものもあるんですね。
そしてデビュー作の契約はアメリカのレーベルだけど、
録音はイギリスで行っていて、
プロデュースも当時イギリスで売れっ子だったアレックス・サドキンという
プロデューサーが手掛けているという、
ちょっと複雑な感じになっています。
実はこれはデビューの時の戦略として、わざと国籍不明にしたらしいんです。
本当は完全なアメリカ人でした。
そんなロビー・ネヴィルですが、契約からデビューまで2年間の空白があって、
その間に黒人ソウル歌手達にたくさんの楽曲を提供しています。
デビュー当時の戦略によって、彼をイギリス人だと信じていた音楽ファンは、
「イギリス人で白人の彼が、アメリカの黒人のソウル歌手に
楽曲提供するなんて、すごい!」と思った方も
少なくなかったようなんですが、実際は彼はアメリカ人だったんです。
さらに空白の2年間、これも「自分をプロデュースできるのは、
アレックス・サドキンだけだ」と、
売れっ子プロデューサーだったアレックスのスケジュールが空くまで、
他のオファーを断って待ち続けた、という逸話もあるのですが、一方で、
もともとサドキンに見出されたものの、
まだ早いということで修業させられていたという説もありまして、
どうもこちらの方が本当ではないかという見方もあります。
結局、このデビュー曲「セ・ラ・ヴィ」のヒットを超えることが出来ず、
いわゆる一発屋として名前を残す形になってしまいました。
でも彼の名誉の為に付け加えておきますと、2ndシングルも3rdシングルも
そこそこヒットしているので、厳密に言えば「一発屋」ではないんですよ。
現在は完全に裏方としてではありますが、
作曲、プロデューサー業で音楽業界で地道にがんばっているようです。