3月5日(木)の名盤は…
今日は、
女性ロッカーパット・ベネターの「ハートブレイカー」を紹介しました。
今でこそ女性がロックをやるのは普通のことですが、
昔はそうではありませんでした。
「女のくせに」などと叩かれながらも負けずに戦ってきた偉大なる才能たちが
少しずつ市民権を勝ち取ってきたのです。
女性ロッカーの流れをさかのぼっていくと、
その源流は1960年代のジャニス・ジョプリンになると言われています。
ただ、彼女は最も風当たりの強い次代を生き抜いただけあって、
あまりにも個性が強烈なため、現在では直接的に影響を受けている人は
ほとんど見られません。70年代に入ると「女性ロッカーは商売になる」と
考えた人々によって、ちょっと色モノっぽい形での売り方が主流になり、
これも現在の流れとは少し違うかもしれません。
今に続く流れが完成したのは80年代初頭でしょう。
その中でもハード・ロック系女性シンガーのメインストリームを決定付けたのが、
今日の主役、パット・ベネターであることは疑う余地がありません。
グラミー賞を4年連続で受賞するなど、
メジャー・レベルで大きな影響力がありました。
歌い方はもちろんのこと、露出の大きなレオタードに黒タイツというスタイル
(パット・ベネター・ファッションとか、パット・ベネター・ルック)も含めて、
一時期はアメリカ、イギリス、さらに日本でもそっくりさんが続出。
右も左もパットもどきが溢れるほど真似られました。
でも誰も本家を超えることができません。
それはパットは10代でオペラ歌手を目指して訓練していたため、
完璧な発声を身に付けていることや、ハードロックのイメージが強いながら、
バラードも絶品で、特に出産後は母性の優しさを感じさせるスタイルへと
移行できたこと、そして50歳を過ぎた今では着ることはありませんが、
それでもレオタードが似合うほどのプロポーションを保つ
ストイックさがあるからでしょう。
女性ロッカーの礎を築き、女王として君臨するには、
ちゃんと理由・実力があるんですね。