5月21日(木)の名盤は…
今週は”アメリカン・ロックの良心”と呼ばれる男、
トム・ペティを紹介しました。
ブルースやカントリーなどのアメリカ音楽のルーツに根ざした
音楽性はもちろん、不遇に泣かされている先輩ロッカーたちを手助けして
第一線に復帰させたり、
幅広い世代の音楽仲間からリスペクトされていることが”良心”と
いわれる所以ですが、ただ”いい人”というだけで
40年もトップに立ち続けることはできません。
強い意志を持った燃える男なのです。
まずアマチュア時代にレコード会社からソロ契約を打診されたのですが、
「俺達はロックンロールバンドだ。バンドとしてでないと契約しない」と
頑なに拒否。このためデビューが何年も遅れてしまいました。
でも、その仲間こそ後にアメリカ屈指の名バンドと称される
ザ・ハートブレイカーズですから、
スカウトマン達も見る目がなかったということでしょうか。
やっとデビューしたものの、その会社との契約トラブルで裁判となり、
活動休止を強いられます。
なんとか移籍できたら、今度は新会社とレコードの価格で対立。
結局彼らは自らの利益を削ってまでファンのために
安い価格を認めさせたのです。
最近でもツアーのチケットをめぐって会社とやり合い、
これも殿堂入りしている大物バンドとは思えないほどの
安価なチケットを提供して関係者を驚かせました。
自分の美学を貫く信念は常にファンへの優しさに裏打ちされているのです。
だからこその”良心”なのでしょうね。
余談ですが、3年前にこんなことがありました。
ある世界的人気バンドの大ヒット曲が、トムの作品からの
盗作ではないかと騒がれたのです。
「訴えるべきだ」という声に対してのコメントがシビれます。
「いいさ。模倣は最高の賛辞だろ。」どうですか、このビッグ・ハートぶり。
日本では今ひとつ人気がないのが残念かつ不思議でならない、
愛すべきロックン・ローラーです。
今日は、1981年の曲「孤独な世代」をお送りしました。