7月16日(木)の名盤は…
今週から3回にわたってニューミュージック特集をお届けします。
35才以上の方ならば感覚的にどんな音楽を指すのか
おわかりだと思いますが、リアルタイムで体験のない若い人に
言葉で説明しようとすると、これが実に難しい。
私なりに定義を考えてみたのですが、
”1970年代後期から80年代初期にかけてブームとなった、
歌謡曲よりはるかに洋楽テイストが濃く、
しかし純ロック/フォークほど硬派ではない、
独特の都会的雰囲気をもった日本のポップス”といった感じでしょうか。
要するにそれまでの分類ではどこにも属さない”新しい音楽”という
意味のネーミングなのでしょう。
定義を補足する主な特徴としては、例外もありますが、
歌謡曲と一線を画すものとして、
①バンド形態、もしくはソロでは何らかの楽器を弾き語る場合が多い
②基本的に自作自演である。
そして本当にとんがったロック/フォークの人達と違って
③テレビにどんどん出た。・・・といったことが挙げられます。
だから言葉を代えれば”DIY精神を持った歌謡曲”とも
“テレビサイズに縮小・希釈されたロック”とも言えるかもしれません。
今から振り返るとそんな中途半端で曖昧な存在でありながら、
いや、だからこそ絶妙なハイブリッド感覚の名盤が多数生まれています。
今日紹介するのは大橋純子。
1回目から先ほど挙げた特徴の例外的な人で、
曲は自分では作りませんし、楽器も演奏しません。
しかし、後に一風堂を結成する土屋昌巳をはじめとするロック・バンド、
美乃家セントラル・ステイションがバックを固めているので
歌謡曲とは差別化されています。
でもバンドは決して自己主張せず、あくまでも抜群の歌唱力を誇る
大橋純子の歌を前に立てて、バッキングに徹しているところが、
まさにこの時代のニューミュージックならではの味わいです。
若いリスナーの皆さんにはどう感じられるでしょうか?
今日は、1977年の曲「大橋純子&美乃家セントラル・ステイション」で
「シンプル・ラブ」をお届けしました。