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2月11日(木)の名盤は…

今週はフィル・コリンズを紹介しました。

1980年代のスーパースターを5人挙げるとすると、

マイケル・ジャクソン、プリンス、マドンナ、

ブルース・スプリングスティーン、そしてフィル・コリンズと答える人が

多いのではないでしょうか。

いろんな見方があるので断言はできませんが、

トップ10にこの5人が入っていることは間違いないでしょう。

その中でもフィル・コリンズはソロと並行して

ジェネシスのメンバーとしての活動や、数多くのセッション参加、

プロデューサーとしての仕事もこなし、

さらに俳優業までやるのですから、“世界で一番忙しい男”と呼ばれていました。

持ち前の旺盛なサービス精神から、依頼された仕事は

基本的に断らないという姿勢や、コミカルな三枚目キャラ、

そして重厚でシリアスだったジェネシスをどんどんポップ化したことなどによって、

硬派なロック・ファンからは何かにつけ批判されがちな彼ですが、

本当にそうなんでしょうか。

ジェネシスのメンバーはみんな上流階級出身で、

後から加入したフィル・コリンズは

「みんなどんな仕事の途中でも3時になると

紅茶を飲み始めるから驚いた」といいますし、

要するに彼だけがそんな習慣がなかった、つまり労働者階級だったのです。

エリック・クラプトンのプロデュースを担当したときには、

他のだれも怖くていえなかったダメ出しを平気でやったことは有名です。

また、多数のミュージシャンが出演するフェスなどでは、

自分達の出番以外にも、全員参加のセッションはもちろん、

フェスのための専用ハウス・バンドにも加わり、

延々と何時間もドラムを叩き続ける姿を何度も目にします。

本当に頭が下がります。

そんな無理がたたったのか、去年脊髄の手術を受け、

ドラムが叩けない状態になっているそうです。

(これからのリハビリである程度の回復の可能性はあるとのことですが、

あくまで今の時点では演奏はできないそうです。)

下層階級から成り上がり、大物相手にも言うべきことは言い、

体がこわれるまで演奏を続ける。

実はフィル・コリンズこそがロックなのかもしれません。