2月25日(木)の名盤は…
先週は”後々おかしなことになるおそれがあるので、
正式なアーティスト名義を大切にしましょう”というお話をしました。
今週はそれをもう少し推し進めてみたいと思います。
例えばポール・マッカートニー。
彼はビートルズ解散後、基本的にはソロ活動といっていいのですが、
ポール&リンダ、ポール・マッカートニー&ウイングス、ウイングスと
編成に合わせて名義が変わります。
”ポール・マッカートニーで「心のラヴ・ソング」をお送りしました”というのは、
厳密に言えば間違いで、正解はウイングスなんです。
そのポールとも縁の深いエルヴィス・コステロ。
彼はもっと複雑で、ソロ名義の他にエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ、
エルヴィス・コステロ&ザ・コンフィデレイツ、
ザ・コステロ・ショウという名義があって、それぞれバンド・メンバーが異なりますし、
さらにソロでもジ・インポスターという別名も持っていますし、
プロデューサーや作曲者としてはさらに
2~3のペンネームも持っています。
そういった作品が今ではコステロ名義の1組のベスト盤に
一緒くたに入っているんですね。
全て彼本人の仕事に間違いはないので、
そんなに目くじらを立てることでもないのかもしれませんが、
必ず何らかの意図があるからこそ名義が変わってくるわけですから、
そこは尊重されるべきだと思うんです。
今日紹介したのは特に複雑な曲、最初に出たのは彼の師匠にあたる
ニック・ロウという人のシングルのB面で、
名義はニック・ロウ&ヒズ・サウンド。
でもファンが聴けば最初の一声でコステロが歌っているのがバレバレ。
実際にコステロ&ジ・アトラクションズの演奏で、
でもどこにもクレジットはないのです。
しかしジャケットでニックがコステロのギターを持っている、という
マニアックなタネあかしがあるんです。お遊びですね。
けれど、お遊びにも意味があるのです。
大人がクソまじめに遊ぶのがロックンロールなのですから。
今日お届けしたのは、
ニック・ロウ&ヒズ・サウンドで「ピース、ラヴ&アンダスタンディング」でした。