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崇城大学「宇宙航空システム工学科」

今日は「人力飛行機」に注目しました。

ご出演は、「鳥人間コンテスト」にも挑戦を続けている

崇城大学 工学部 宇宙航空システム工学科から、

教授、人力飛行機プロジェクト監督の金澤康次先生、

鳥人間チームエアロスペースリーダーの當間健理(4年生)さん、

鳥人間チームエアロスペースパイロットの上田敏也(4年生)さんです。

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宇宙航空システム工学科は本来どんなことを学ぶ学科ですか?

航空宇宙分野の研究開発や安全運航など、

この分野の発展に寄与する技術者や航空従事者を育成する学科です。

このため学科では、航空機を設計開発するための技術を学ぶ

スカイエンジニアコース、航空機の整備を行うために

必要な二等航空整備士の資格を取得する航空整備士コース、

パイロットになるために必要な操縦士の免許を取得する

パイロットコースの3つのコースを有しています。

他の大学にない特徴としては、熊本空港隣接の空港キャンパスや

大型フライトシミュレータ、最新鋭の実習用機体などを使用して、

基礎と実学を重視して教育していることです。

毎年「鳥人間コンテスト」に参加されていますが、

参加するようになったいきさつ、きっかけなどを教えて下さい。

航空機の設計開発を目指すスカイエンジニアコースの

卒業研究の一環として行っています。

人間のパワーだけで、自分と機体を合わせた重量を空中に

浮かべようとする訳ですから、人間が出せるパワーをできる限り

無駄なく効率よく活かせるパフォーマンスに優れた機体でなければなりません。

つまり、人力飛行機作りと最新鋭の航空機作りは同じで、

そこでの理論と技術は共通なんです。ちなみに人力飛行機の主構造材は、

今後就航する燃費効率の優れた航空機の材料と一緒です。

卒業研究の一環と言いましたが、入学後大学において学んだことが、

実際の航空機にどのようにして関与しているか、

人力機設計製作を通じて理解できることは勿論のことですが、

翼とか胴体とか制御とかのグループによる物づくりとなりますので、

社会で必要になるチームワークとかコミュニケーション能力とか、

計画管理能力とかも養えるのではないかと思っております。

鳥人間コンテストは、このような学生の成果である

機体の飛行性能試験として参加しています。

今年は残念ながら出場は叶わなかったそうですが、

開発開始から大会へ向けてどんな経過だったのか教えてください。

當間健理さん「昨年度の夏から機体構想を練って、設計製作してきました。

1機作るのに構想、設計、製作、飛行試験にほぼ1年かかります。

昨年暮れに惜しくも書類選考にて、不採用となりましたが、

卒業研究の一環としても行っていますので、昨年度末には、

ARSP-110という機体が卒業した先輩達の手により完成しています。

これまでの本学人力機の最大の特徴は、

翼平面形に楕円翼を採用していることです。楕円翼とは、

その名のごとく翼の形が楕円をしていることですが、

この形状が理論的には最も抵抗が小さくなり、飛行には有利になります。

反面、製作が複雑になり手間がかかりますが、これにより、

飛行距離10km超の長距離飛行を目指した設計となっています。

だた、毎回困っていることですが、

長距離飛行の練習場所がないことが悩みの種です。

翼幅が約30mもありますから、大学の陸上競技場では、

走らせる程度の練習しか出来ません。飛行試験をするには、

飛行場の滑走路程度の空き地が利用できると良いのですが・・・。」

人力飛行機の大きさ、重さ、飛行速度、その作り方について教えて下さい。

當間健理「全長が約8m、主翼幅が約30m、高さは約4mです。

この主翼幅は天草エアラインのDHC-8-100のそれよりやや大きく、

スカイネットアジア航空のBoeing737-400とほぼ同じ長さです。

これだけの大きさにもかかわらず、重量はたったの約35kgです。

また、飛行速度は7m/s、時速で約25km/hです。

人間の小さな出力で飛ぶには、機体重量が軽く、飛行速度も小さく、

しかし、自分と機体を合わせた重量を持ち上げる力は大きく、

従って翼は大きくする必要があります。

ところが、翼を大きくすると逆に重くなって、人間の出力では飛ばせない。

このようなところに設計の面白さがあります。

答えが決まらないんです。答えを決めないといけないんです。」

どうしてパイロットになったのですか?

上田敏也さん「元々鳥人間コンテストのパイロットになりたくて、

崇城大学に入学しました。また、入学後はパイロットになれるよう、

脚力を鍛えるためサイクルスポーツ部に、

操縦技術をマスターするために航空部に入部しました。」

パイロットとしてどんなトレーニングを行っていますか?

上田敏也さん「自転車漕ぎで人間の常時出せるパワーが

100W程度と言われています。電球1個点灯できる程度の小さいものです。

これでは今現在の理論や材料からでは、

どのように考えてもパワー不足ですから、200Wの出力が出せるよう

トレーニングを行っています。この200Wという出力が、

どれだけのきつさかと例えると、

昔の自転車で電灯を点けて金峰山の坂道を登る程度と、

想像して頂けるとお分かり頂けると思います。

このような負荷をセットしたトレーニングバイクを毎日漕いで練習しました。

おかげでダイエットになり、健康には自信があります。」

パイロットとして大変なことはありませんか?

多くの友人の期待を背負って飛ぶわけですから、

僕の調子が飛行に直接関係してくると思うと、

大きなプレッシャーになりますが、

機体はパイロット兼エンジンである僕の身長、体重、出力の

データに合わせて設計されているので、したがって、

世界で1つだけの完全オーダーメード機体ということになります。

トレーニングはキツイですが、専用機と思うとこんなに嬉しいことはありません。

それよりも飛ぶのに必要な力を出すために足で

ペダルを漕いでプロペラを回していますが、

一方では手で操縦桿を握って操縦しています。

この両方の操作を同時に正確に行うことのほうが大変です。

これからの活動について教えて下さい。

鳥人間コンテストの開催についてはまだ未定ですが、

早速会議などを行っています。

開催されるという事になるのを楽しみにしています。

崇城大学HP http://www.sojo-u.ac.jp/site/view/