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12/23 「ザ・キンクス」

今日はビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フーとともに

“イギリス4大バンド”と呼ばれるザ・キンクスを紹介しました。

日本ではまずピンとこないでしょうが、イギリスはもちろん、

ヨーロッパ諸国やアメリカでもこの4バンドの評価はほぼ同格であり、

同じようにリスペクトされているのです。

それどころか、1970年代後半に登場したパンク・バンド達、

彼らは既成のロックをすべて否定し、

ビートルズやストーンズさえ古臭いと切り捨てたにも関わらず、

キンクスとフーだけは“ゴッド・ファーザー・オブ・パンクス”として

尊敬していたほどなのです。と言うと、すごく激しく荒々しいロックンロールと

思われるかもしれませんが、もちろんそういった曲も得意ですけど、

もう一つの側面、ロンドンの市井の人の暮らしを面白おかしく、

皮肉を込めつつも温かい眼差しで描く物語こそ魅力です。

そんな彼らがパンク旋風真っ只中の1977年にリリースした楽曲が

「ファーザー・クリスマス」。

激しくスピード感溢れるビートに、パンク勃発の社会的背景である

失業問題を絡めた、パンクを意識したようなこのクリスマス・ソングは

こう歌っています。

子どもの頃はサンタを信じてた/正体はパパだと知ってたけど/

靴下をぶら下げて喜んでた/この間その僕がサンタ役になった/

デパートで立ってたらガキどもに襲われてしまったよ/

暴れながら連中は言うんだ/

サンタのおっさんカネくれよ/くだらないおもちゃなんかいいから/

とっとと現金出さないと痛い目にあうぜ/

おもちゃなんか金持ちの子どもにくれてやれ/

カネがダメならうちの父ちゃんに仕事をくれ/

このままじゃ食えないんだよ/

それもダメならマシンガンをくれ/町中みんな震え上がらせてやるから/

ねえ、サンタのおっさんカネ、カネ、カネ/

いや、まったくひどい目にあったけど/

どうぞ皆さん楽しいクリスマスで満ち足りたひとときを/

だけどあなたがワインを飲んでる間にも/

何もないイヴを過ごす子供たちがいることを忘れないで

どうでしょう?まさにキンクス流パンクといった感じですが、

パンクを意識しつつも立脚点の違いを見せつけたように思えます。

感情を直接訴えるのではなく、

やや斜めからユーモアで斬るほうが有効な表現だと言わんばかりです。

“パンクの元祖と持ち上げてくれるのは嬉しいけど、

キミ達にこんな味は出せるの?”という余裕の笑みが見えそうです。

そう思えば、この歌の中の暴れる子どもたちって

パンク・バンドそっくりですよね。

キンクスからしたら彼らもお子ちゃまにしか見えなかったのかもしれませんね。