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「クロノス2」五藤光学研究所のヒミツ

今日は、最新型プラネタリウム「クロノス2」について、

株式会社五藤光学研究所の黒沼 佳一さんにお話をうかがいました。

~~~~~~株式会社五藤光学研究所 会社概要~~~~~~

1926年(大正15年)、創業者 五藤斎三が日本光学(現ニコン)から独立し、

我国唯一の天体望遠鏡専門メーカーとして創業。

1955年、米国出張中、海外のプラネタリウムに魅せられ、

国産化を決意。1959年、国産初のレンズ投映式プラネタリウム開発に

成功しました。以来、今日に至るまで、その時々の最先端の技術を追求し、

大型から小型まで多種多様のプラネタリウムを開発しています。

主力製品は高度な光学技術とデジタル映像技術を融合した

主力製品「ハイブリッド・プラネタリウム。」 

番組ソフトウェアでは、1983年からソフト制作部門を立ち上げ、

全国のプラネタリウム向けに科学、天文、宇宙など、

最先端を紹介するプラネタリウム番組を制作、納入しています。

小型から大型まで、様々なプラネタリウムを日本に限らず、

世界各地の学校や科学館、博物館などに納入、

27カ国698の実績がある会社です。

五藤光学研究所は、「熊本市立熊本博物館」にも新しいプラネタリウム

を納入されたそうですが、

この最新型プラネタリウム「クロノス2」について教えてださい。

「クロノス2」の前身は、主に米国のユーザーの声を地道に集め、

それを反映した小型ドーム向けの「クロノス」というプラネタリウムです。

すでに、この機種で一部にLEDを光源として使用していましたが、

その後、「ECO」ブームが世の中に浸透したこともあり、

全面的にLEDを光源に使用した低消費電力のプラネタリウムの

開発をはじめました。また、弊社はプラネタリウムメーカーですので、

常に美しい星空を再現する創意工夫を続け、

“星空の美しさ”を追求しております。

そんな星空への想いが開発心をさらに引き立てているのだと思います。

「クロノス2」は、瞬時に過去・現在・未来の宇宙を行き来きできる

シミュレータ機能など、多彩な運動性能が特徴です。

例えば、アメリカでは、クリスマスシーズンになると

キリスト生誕に関する子ども向けのプログラムが投映され、

当時の星空を再現して「ベツレヘムの星」の

伝承を語るケースがあります。

従来の投映機では、2000年前の惑星を再現するのに、

投映機を回転させ巻き戻す必要があり、時間を要していましたが、

「クロノス2」では太陽や月など個々の惑星を独立して動かせるXY制御で、

過去や未来の惑星の位置を計算し瞬時に再現できます。

もう一つの特徴としては、自然で心和む星空です。

また、天の川は、淡い濃淡を表現するために、

透過式フィルムと約1000万個の恒星で再現するレンズ式があり、

主恒星と天の川を別々に投映出来ます。

学習投映などでは、天の川を消して投映することもでき、

星座を見つけ易い星空を投映できます。

「クロノス2」開発のポイントはどこでしょうか?

最近では、プラネタリウムでは、ビデオプロジェクターの映像が

多用されるようになってきました。

ビデオの映像をドームに映し出すと、

それが真っ黒な映像であってもぼんやりとした灰色の映像が映し出され、

これまでのプラネタリウムの星の明るさでは

星空が見え辛くなってしまいます。

このため従来機の「クロノス」に比べて、

十分に明るい星空をドームに映し出してやる必要がありました。

「クロノス2」開発で苦労した点は?

一つは、これまで使用していた電球とLEDでは、

光の広がり方がまるで異なるため、

LEDから発せられた光を如何に効率よく投映レンズへ

導いてやるかという問題です。複雑なシミュレーションを何度も繰り返し、

幾度もの試作を経て、現在の「クロノス2」が

映し出す明るくシャープな星空があります。

もう一つは、剛性の確保です。「クロノス2」は、

現在の高度な光学技術とデジタル映像技術を融合した

「ハイブリッド・プラネタリウム」に属する製品として位置づけています。

このため、「クロノス」の時代ではなんら問題とならなかった

プラネタリウム本体の僅かな歪み(たわみ)も無視できなくなりました。

そして最後に、約1000万個の星を映し出す天の川投映機です。

非常に小さな投映機ですが、小さなレンズからは、

実在する星々で構成される星空が映し出されます。

上位機種である「ケイロン」のもつ恒星データから、

「クロノス2」としてふさわしい天の川が再現できるよう、

特別なソフトウェアを作成し、改良を重ねながらデータの抽出を行いました。

「クロノス2」というネーミングの意味は?

前述の質問の返答にもありますように、

「クロノス」は瞬時に過去・現在・未来の宇宙を行き来きできる

シミュレータ機能や多彩な運動性能が特徴であることから、

ギリシャ神話の〝 時を司る神様<クロノス> 〟の名を冠しました。

熊本のリスナーへメッセージをお願いします。

プラネタリウムを通じで、多くの方々に天文・宇宙へ関心を

持っていただければと思います。

このラジオをお聞きになった方々が、実際の星を見に行ったり、

今年リニューアルした熊本市立熊本博物館のプラネタリウムに是非、

足を運んでいただけたらとても嬉しく思います。

五藤光学研究所 HP  http://www.goto.co.jp/

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