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「株式会社 真多呂人形」のヒミツ

3月3日は桃の節句ということで、毎年、世相を反映した変わり雛を発表している
「株式会社 真多呂人形」のヒミツについて、取締役会長・二代目 金林真多呂さんに
お話をうかがいました。

~~~~~株式会社 真多呂人形 会社概要~~~~~

 真多呂人形は、大正8年の創業より木目込みの伝統技法に忠実に、雛人形や五月人形、浮世人形など数々の品を制作してまいりました。
京都の上賀茂神社から木目込み人形制作の唯一の正統伝承者として認定を受けており、「木目込み」の技を継ぎ、磨き上げられた伝統技法を現代に伝えています。
なによりも大事にしているのは、正統伝承者の名に恥じない“確かな技”。
彫塑やデッサンを深耕し人形制作を総合芸術として高め、現代感覚あふれる制作にこだわっています。
熟練の職人が一つひとつ丹精込めて雅やかな逸品を世に生みだしており、伝統工芸品としても高い評価をいただいています。                                                             

「真多呂人形」という社名の由来を教えて下さい。                  
 社名の由来は、当社の創業者で人形師の初代・金林 真多呂の名前から、創業時の社名は「金林商店」で、木目込み人形の製造、販売をしておりました。
 伝統ある木目込み人形に新たに創意工夫を加え、真多呂人形独自のふっくらとした気品のある顔立ちと時代考証を踏まえた人形全体の造形美は、以前の人形にはなかった現代感覚あふれるお人形となり、真多呂人形として皆様に広く親しまれました。                                 
 数回の社名変更があって、昭和62年「株式会社真多呂人形」とし、現在に至っています。

さて、真多呂人形と言いますと、毎年、「変わり雛」を発表されていますが、どんなきっかけではじめられたのですか?
 大正時代末期から昭和の初期にかけて、東京を中心とした関東に在住した当時の文人・画家・工芸作家などが、それぞれの趣向を凝らした年賀状を交換していましたが、やがてそれらの人々がひとつのグループを作り“趣好会”と名付けて交流を深めました。
ある年、その年の干支にちなんで様々な素材を用いて雛人形を作り、お互いに交換し合うことにしたのです。
たとえば、その素材は鉛筆であったり、うずらの卵の殻であったり、煙草の箱であったり、とあらゆるものを用い、それをふたつ並べて雛人形に見立て、これを「見立て雛」と呼んだのです。
この「見立て雛」が現在の“変わり雛”の原点です。
一時は百人近くいた趣好会も戦争によりいつしか崩壊してしまいましたが、当時から会の中心的立場にいた人形師 初代金林真多呂は終戦と同時に、この見立て雛の形を変え、テーマを干支でなく、その時代の流行・時の話題・社会風刺などに求め“変わり雛”として制作発表しております。

これまで発表された「変わり雛」にはどんなものがありますか?
 昭和21年(第1回)発表の大流行した「りんごの唄」をテーマにしました「「りんごの唄雛」をはじめ、「テレビ開始雛(昭和28年)」、「万博雛(昭和45年)」、「韓流ブーム雛(平成17年)」、「東京スカイツリー雛(平成23年)」 など。

今年の「変わり雛」はどんなものになりましたか?
 一年を振り返る平成24年の真多呂人形変わり雛は以下の6点です。                                                             
① 東北復興祭り雛
   被災地で東北三大祭りが初めて一堂に会し、慰霊と復興を祈念しました。
   お雛様は祭りに参加した男女です。

② 民主政権たらい回し内閣雛 
   前政権に続いて今政権も鳩山さん、管さん、野田さんと
   政権内でのたらい回し。お雛様は、野田総理と仁美夫人。

③ 猛暑節電雛
   昨年に続いて記録的な猛暑となった今夏。
   計画停電、節電が追い打ち。ゴーヤなど緑のカーテンが人気になりました。
   お雛様は男女のゴーヤがモチーフ。

④ なでしこW杯制覇雛
   7月の女子サッカーワールカップで、なでしこジャパンが世界一に。
   それまで陽の当らないスポーツが国民栄誉賞も受賞。
   お雛様は佐々木監督とキャプテン澤選手。

⑤ 金狂騒雛
   円高の一方で、金の高騰が続き、時ならぬゴールドラッシュ。
   お雛様は店主と金を売りに来た女性。

⑥ 子役俳優人気雛
   今年は子役俳優たちが、お茶の間の話題に。
   暗い世相を吹き飛ばしてくれました。お雛様は鈴木福くんと芦田愛菜ちゃん。

「真多呂人形」では、さまざま商品を開発、販売されていますが、これまで最もヒットした商品は何ですか?
 浮世人形など数多くの種類の人形を制作、販売しております。
看板商品となります「雛人形」はふっくらとした顔立ちが特徴。
「私のお雛様は真多呂さんのだから、娘(孫)が生まれたら、やっぱり真多呂さんのお雛様を」という嬉しいお言葉もお客様からいただいております。

「雛人形」の親王飾り、段飾り、立雛など種類も豊富に取り揃えておりますが、中でも「瑞花雛(ずいかびな)」と「有職雛(ゆうそくびな)」が人気商品です。

これらの人気商品はいつごろ? どんなきっかけで開発することになったのですか?
 「瑞花雛(ずいかびな)」は十年前の平成14年、「有職雛(ゆうそくびな)」は五年前の平成19年にそれぞれ真多呂人形の新型の雛人形として販売を開始しました。

瑞花雛(ずいかびな)」は、お雛様の可愛らしさをより強調するために試行錯誤しましたところ、5歳くらいの子どもをイメージして作られたお雛様が、華やかでありながら初々しく愛くるしい雰囲気をだすことができました。
比較的お人形がコンパクトなサイズのため、段飾りでも場所を取らず飾ることが出来るお雛様です。
「有職雛(ゆうそくびな)」は、お子様が大きくなり目が肥えてからも、変わらぬ趣きの良さをお楽しみいただけます様に、大人顔で品格溢れる高貴なお雛様に趣向を凝らして制作いたしました。

通産大臣指定伝統的工芸品です。

他に、開発秘話などのエピソードがある商品がありましたら教えてください。
 琴を奏でる十二単の平安朝の日本美人像の初代真多呂の代表作品の「松風」は、自他共に認める代表作であり、真多呂人形を象徴する作品です。
この「松風」は英国のマーガレット王女の戴冠式の折り、贈呈品として当時の吉田茂首相がお持ちになって、大変喜ばれたというエピソードをはじめ、多くの贈り物として珍重されました。
この「松風」の人形にたどり着くまでに、初代は五十年の歳月がかかったといいます。

その他、オススメの商品やサービス、キャンペーンなどPRしたい案件があればお願いします。
 真多呂人形には、雛人形や五月人形などをじっくりご覧いただけるショールーム「真多呂人形会館」が1月6日~5月5日まで無休で営業しております。
日本人形協会認定の「節句人形アドバイザー」が2名常駐しており、ご希望やご予算、設置場所に合わせて適切なアドバイスを行っております。
雪洞(ぼんぼり)、毛氈(もうせん)、ガラスケースなどの単品販売もしており、ご希望をお伝えいただければ最適な商品をご紹介させていただきますので、ぜひご相談ください。

 真多呂人形の雛人形・五月人形をご購入された方、これから購入予定の方が対象としました「真多呂人形との思い出コンテスト」の参加者募集中です。
締め切りは2012年3月10日迄となります。参加賞もご用意しておりますので、奮ってご参加くださいませ。
 また、真多呂人形では、完成品のお人形の販売だけではなく、平成23年8月に創立四十五周年を迎えました木目込み人形の正統技術を学べる真多呂人形学院も運営しております。
上野本校をはじめ、全国教室と通信教育のご希望の方法で人形作りを学ぶことができます。
人形材料キットを使い、手作りのお人形を楽しむことができます。

                                       
詳しくは、真多呂人形ホームページをご覧下さい。
株式会社 真多呂人形ホームページ:http://www.mataro.co.jp

 

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