「サクマ製菓」のヒミツ
企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は独自の”サクサク感”が人気のキャンディ「いちごみるく」、
”カラカラ”と缶を振るたびに8種類の味を楽しめる「サクマドロップス」などの
ロングセラー商品でおなじみ、サクマ製菓 株式会社のヒミツに迫りました。
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お話をうかがいましたのは、
サクマ製菓 株式会社 商品企画部 長澤 幸子さんです。
~~~~~サクマ製菓 株式会社 会社概要~~~~~
1908(明治41)年に佐久間惣次郎が創業しました。
佐久間惣次郎が社名の由来となっています。
当時夏場の暑さにも溶けにくい、砂糖をクエン酸で処理した
「佐久間ドロップス」を発売し多くの支持を得ました。
その後、山田弘隆に引き継がれたが、1944(昭和19)年、
戦争が拡大する中、企業整備令を受けて廃業。
それを戦後間もない1947(昭和22)年に弘隆の三男隆重は
「これからは平和産業でなくてはならない。その1番は菓子だ」の
思いで会社を継承しました。
砂糖不足で甘いものが渇望されていた1948(昭和23)年3月、
のちのロングセラー商品「サクマドロップス」を再開しました。
1949(昭和24)年、会社組織の変更を行い「サクマ製菓株式会社」を設立。
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Q① 「サクマ製菓」のロングセラー商品「いちごみるく」は、いつごろ、
どんなきっかけで開発されたものですか?
「サクマドロップス」だけではまだ事業基盤が弱い。
世の中をあっといわせるようなキャンディが必要だと開発されたのが「チャオ」でした。
1964年チャオの大ヒットに続き、
「洋菓子のミルフィーユのように薄い飴の層を幾層も重ね、
その層に異なるフレーバーを付けたキャンディができないか」
1968年前代未聞のキャンディであり、その命を受けて現場の
試行錯誤が始まりました。
しかも、このとき社長が現場に要求したのは飴の多層化だけではなく
「噛む飴」という新しいコンセプトを求めてきました。
当時の日本の飴には、長時間なめ続けることでフレーバーを味わう
硬い飴しかありませんでした。
が、そこにフレーバーのみならず、噛み砕いてサクサクとした食感も
楽しめる飴=キャンディを投じようというのでした。
新たな需要を喚起せんという社長の目論見でした。
さらには、従来の硬い飴より噛み砕けるキャンディのほうが
早く食べ終えるので連食性が高まり、それにより市場の拡大が期待できる。
そんな思いで「いちごみるく」の開発がスタートしました。
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Q② 「いちごみるく」、開発のポイントはどこでしょうか?
当時の飴づくりはすべて職人の手作業。
砂糖と水飴をコトコト煮詰めてつくった複数の種類の飴を、
職人が2人がかりで層状に重ねていく。
ところが飴は熱せられた状態だとドロドロの液体で流動性がありすぎる。
その反対に冷えすぎると固まってしまい思うように伸びてくれない。
流動性がありすぎず、しかし固まってしまわないちょうどよい温度帯を
探りあてるまでに、なんども試作を繰り返したといいます。
そんな製造現場の苦労を経て、1970年8月、層状で噛み砕ける
日本初のキャンディ「いちごみるく」が誕生しました。
この三角形のキャンディはひねり包装で個別に包まれている。
ひねり包装とは、包材の両端をひねって中身を包む方法であり、
同社の消費者調査ではひねり包装だと食べる際に両端を軽く
引っ張るだけなので容易と支持が多かった。
キャンディの包装が決まると、つぎはパッケージのデザインだったが、
これが黄色とピンク色のサイケデリック模様という斬新なデザインのため
市場をあっと驚かせた。
考案したのは同社でアルバイトをしていた東京芸大の美学生
河北秀也・東京芸術大学教授。
当時、こんな派手なパッケージデザインの食品はなかった。
そのため営業の現場からは「とんでもない。
こんなデザインの菓子は売れるはずがない」と猛烈な反対が起こった。
しかし、社長には事業家としての新商品に対する強い確信があった。
斬新な商品は斬新なパッケージでなければならない。
そう考えて営業現場の反対を退け、サイケデリック調のデザインで押し切った。
そして、この社長の勘はまんまと的中した。
斬新なデザインが若い女性や子どもたちの目を奪い、
商品の認知をまたたく間に広げていった。
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Q③ 「いちごみるく」のネーミングの由来はなんでしょうか?
いちごは子どもたちが大好きなフレーバーです。
また、当時牛乳は貴重な栄養源として高く評価されていました。
ならばこれを合体させて『いちごみるく』でいこう。
こうしてフレーバーの方向性が決まったのです。
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Q④ 「いちごみるく」のシリーズは現在何種ありますか?
限定版など特色あるものなどもあればご紹介ください。
可愛いテトラタイプの「プチいちごみるく」や
「つぶつぶいちご果肉が入ったスティックタイプのいちごみるく」。
チョコをコーティングした冬限定商品「チョコいちごみるく」など
季節限定でコンビニで購入できます。
姉妹品ではれもんみるく味の「れもんこりっと」
4連キャンデーでしか味わえない、みかんみるく、ぶどうみるく味もあります。
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Q⑤ そのほか、商品の面白い開発秘話エピソードなどありますか?
チャオ復刻版。
チョコレートが贅沢品であこがれの食べ物だった時代、
キャンデーにチョコレートを入れて喜んでいただこうという発想から
開発がスタート。
当時はキャンデーの中にチョコレートを入れるという技術が無く、
たくさんの試行錯誤を重ねました。
飴の中にチョコを入れるための機械をイタリアで買い付け、
数年をかけて改良を重ね、チョコレート入りキャンデーの製法を確立しました。
そしてついに昭和39年、チョコレート入りキャンデーの発売を開始。
イタリアの機械で作ったキャンデーは、イタリアの挨拶「チャオ」が商品名に。
チャオは画期的な商品として、業界に新風を吹き込みました。
また、ビートルズが羽田国際空港に降り立ち、テレビカメラに向かって
「チャオ!」を発した言葉をヒント!にしたとも言われています。
現在は、当時のパッケージをイメージした復刻版を発売。
ロングセラー品となっています。
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Q⑥ そのほか、オススメ商品などありますか?
熱中対策として「炎天夏塩飴」が発売となりました。
常夏の島ハワイの伝統的な製法のもと、
活性炭をブレンドした「黒い塩」を使用しております。
ハワイ産の稀少な塩をそのまま飴に練り込んだ贅沢な塩飴!
味わい深い塩の旨味をご堪能ください。
汗をかいた時、水分補給はもちろん、一緒に糖分と塩分をバランス良くとりましょう!
開封しやすいチャック付袋入り。好評発売中です!
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