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小泉八雲熊本旧居・館長 坂本弘敏さん

あらゆるジャンルの注目の人にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。

夏と言えば「怪談」。

今日は、文学作品「怪談」を記した小泉八雲の旧居で記念館でもある、

「小泉八雲熊本旧居」坂本弘敏館長がゲストです。

旧居から垣間見える小泉八雲の姿を探りたいと思います。

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★ ゲスト

小泉八雲熊本旧居 館長

坂本弘敏さん

★ 「小泉八雲 熊本旧居」

住所:熊本市中央区安政町2-6

電話:096-354-7842

入館料:高校生以上200円、小中学生100円。

※鹿児島市・福岡市・熊本市にお住まいの小中学生、

 65歳以上の方は、入館料は無料です。

開館時間:御前9時30分~午後4時30分(閉館)。

休館日:月曜日(祝祭日の場合は翌日)、 年末年始。

★ 「小泉八雲」について、坂本館長にいただいた資料から少し紹介しましょう。

●生まれた年:1850年6月27日

●出身地:ギリシャのイオニア諸島にあるレフカダ島

●日本へ来るまでのエピソード:

父はアイルランド系イギリス人で陸軍の軍医、母はギリシャ人でしたが、

両親が離婚したため、小泉八雲は4歳の時母親と生き別れしました。

大叔母に育てられ、イギリスのダラムの神学校に通っていましたが、

1866年にそこで左目を失明。さらに父も同年に死亡。

19歳でアメリカへ移民として渡米。貧困の生活の中で、

アメリカでジャーナリストとして活躍し、名声を馳せました。

Q① アメリカでジャーナリストとして活躍していた小泉八雲が

    日本に来るきっかけは何だったのでしょうか?

1884年にニューオリンズで開催された、万国博覧会で

日本の文化を知り、1890年に出版社の通信記者として

日本に来ました。

●来日のきっかけは、先の万国博覧会の会場で

日本の文化に触れたこと、ピエール・ロチ18の「お菊さん」を読んで

日本へのあこがれをもったこと、併せて、世界一周旅行をした

同僚の女性から豊富な文化資産に満ちた

日本の素晴らしさを聞かされたことでした。


                             
Q② 来日後、「小泉八雲」が熊本に来たのはいつ、

    何のためだったのでしょうか?

    また、熊本および「熊本旧居」にはいつ頃から

    どれくらいの期間住んでいたのでしょうか?

●熊本へ来た年月日:1891年11月19日でした。

●熊本に来た理由は、松江での冬の寒さが耐えられなかったことと、

 熊本が気候が温暖であること。松江の俸給が100円だったのが、

 熊本では倍の200円になると聞いたため。

●熊本の旧居は二つ、第一の旧居(鶴屋の裏にある第一の旧居)は

 1891年11月25日に入居しました。

 ここで一年間の居住しました。

 第二の旧居(現坪井一丁目9-8)は既に解体され、

 東岸寺の地蔵尊の前に案内板があるのみ。

 ここに2年間、計3年間熊本に滞在しました。

Q③ 「熊本旧居」の建物自体の特色・見どころを教えて下さい。

●熊本旧居:下級武家屋敷の様式で1877年の

 西南の役で焼失後、古材で再建された。

●寄せ木造りの柱:西南の役後に建築され、健材逼迫状況が検証できる。

●建坪:165平方メートル(50坪)、畳数44畳。

 敷地面積:535平方メートル(約162坪)

●釘隠し:吊り束と長押を釘で固定、部屋の飾りとして

 現存する「釘隠し」を見ることができる。

●雨戸返し:戸袋から雨戸を出して開け閉めする際、

 部屋の角を90度回転させる武家屋敷の様式を見ることができる。

●土間:三和土(たたき)は赤土に砂利と消石灰をにがりを混ぜて

 練ったものを叩き固めて仕上げてある。

 (玄関やかまどのあった台所などに使われた。)

●ふくろうの灯籠:松江の7代藩主松平不昧公が所有していたもので、

 昭和40年に寄贈された。

●外壁:真壁つくりでネズミ漆喰仕上げです。

Q④ 「熊本旧居」ではどんな資料を見ることができますか?

●小泉八雲の足跡:生誕から亡くなるまでの生涯をたどる

 写真入りの説明パネルがある。

●神棚:小泉八雲が1891年11月25日に入居するに際して、

 家主に神棚を作って欲しいと頼んだ大きな神棚が現存している。

 お札も当時のもので大きい、様式に沿って次の間に南向きで

 長押の上にきちんと飾ってある。

●正門のレリーフ:美術家の峯孝氏によって昭和38年1月に建立。

 直径1.5㍍の台座があり、高さ1.7㍍、直径40㎝、短径30㎝の

 楕円形のレリーフは青銅製。餅つきの音を好み、正月が好きだった

八雲の為に、記念碑の台座はウス、碑の本体はキネを抽象化したもの。

●机と書斎:八雲が使用していた書斎と机(実物大)がある。

Q⑤ 熊本で執筆された作品、あるいは熊本が舞台の作品はありますか?

●熊本で最初に書いた作品は「家庭の祭壇」です。

 続いて「知られぬ日本の面影」、ついで「東の 国から」が執筆されました。

●熊本が舞台の作品:夏の日の夢、橋の上で、停車場で、

 生と死の断片、柔術、願望成就、九州の学生とともに、石仏などがある。 

Q⑥ 「小泉八雲」、「夏」と言えば、「怪談」を思い出しますが、

    「怪談」以外にこの時期気軽に読めるおすすめの本を教えて下さい。

●「夏の日の夢」:夏休みの猛暑の時期に八雲は長崎旅行の帰りに

 三角の宿屋「浦島屋」に立ち寄ります。

 その屋号から浦島太郎物語を思い出します。宇土半島を舞台にした名作です。

●「草ヒバリ」:夏にちなんで、素晴らしい音色の鳴き声をかなでる

 コオロギの一種で普通の蚊と同じくらいの大きさで、

 「一寸の虫にも五分の魂」と言うことわざか引用されました。

 僅か数ページの作品ですが、八雲自らの生き方を作品になぞらえた見事な作品です。

Q⑦ 今後予定されている「小泉八雲」に関するイベントの情報を教えて下さい。

●8月19日(日)午後3時から三角町の西港にある浦島屋の2階

 三角西港の文化・文学を考える会による「中学生による英文朗読会」が行われます。

 八雲保存会による講演も予定されております。自由参加です。

●8月24日(金) 八雲ゆかりの地蔵祭り。坪井一丁目東岸寺  午後6時から

●8月25日(土) 市民講座   小泉八雲熊本旧居で14:00~15時30分 

 演題「異界的存在 妖精」高木朝子さん 熊本高専八代キャンパス講師

●8月26日(日)14:00~16:00

 59回「ハーン作品の読書会」があります。

 今回は熊本大学文学部教授 福澤 清さん

 「ハーンの創作法」です。 毎月第4日曜日の14時から開催予定です。

 

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