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「スーパー サイエンス ハイスクール」熊本北高等学校のみなさん

あらゆるジャンルの注目の人にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。

文部科学省が決める「スーパー サイエンス ハイスクール」に指定されている、

熊本県立熊本北高等学校

5月にシンガポールで行われた「国際数学チャレンジ」という大会に

日本代表として参加した、理数科・英語課の生徒さんと、

引率された吉田祐一先生がゲストです。

「スーパー サイエンス ハイスクール」とは?

また、今回参加した大会の内容や結果について伺います。

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●ゲストは…

広報班班長 吉田 祐一先生

英語科3年 谷富 晶さん

英語科3年 山本 真実さん

理数科2年 竹内 弘樹さん

理数科2年 福本 政和さん

http://sakura1.higo.ed.jp/sh/kitash/

Q① 「スーパー サイエンス ハイスクール(SSH)」の概要を教えて下さい。

特色のある先進的な理数教育を実施するとともに、

高大接続の在り方について大学との共同研究や、

国際性を育むための取組を推進し、また創造性、独創性を高める指導方法、

教材の開発等の取組を実施する学校を援助するために、

文部科学省が指定をします。

分厚い申請書を提出し、最終的には校長自らプレゼンテーションをして、

その学校の理数教育の特色を説明し、それを受けて指定するかどうかを

文科省が決めます。本校は3回目の挑戦で、やっと昨年度指定を受けました。

平成24年度に指定を受けている学校は全国で178校で、

県内は本校と第二高校の2校のみです。

5年間、つまり平成27年度まで援助を受けることができます。

教育内容が評価されればさらに継続して指定を受けることができます。

科学技術振興機構(JST)が活動推進に必要な支援を実施します。

JSTは学校に代わり物品購入、研修・講師費用等の支払いを行うほか、

発表会の企画運営や情報提供等を行い、SSHの活動をサポートしています。

初年度である昨年度は1700万円、今年度は1300万円の予算が

計上されています。年ごとに予算額は少なくなりますが、

5年間で5000万円超の予算がつきます。

今回の研修にも旅費などに補助をいただき、生徒負担額は驚くほど少額で済みました。

Q② 「スーパー サイエンス ハイスクール」に関する北高独自の取り組みを教えて下さい。

多くのSSH校が理数科のみをその対象にしているのに対して、

北高では全生徒を対象にします。

1年次では全員が研究の基礎を学び、初歩的な調査研究を行う

Active Research I という学校設定科目を実施しています。

また、2年普通科の中にFrontier Science Classを1クラス設置し、

理数科と共にさらに高度な調査研究を行う

Active Research IIという科目があります。

国際交流にも力を入れており、今年の秋には姉妹校のヘルゲート高校がある

アメリカモンタナ州に1週間の海外研修に5名の生徒を派遣します。

来年以降も、国際交流には力を入れていきます。

Q③ 5月にシンガポールで行われた「国際数学チャレンジ」について

    主催校や目的など、大会の概要を教えて下さい。

Singapore International Mathematics Challenge(SIMC)は

シンガポール国立大学の附属高校NUS高校が主催する数学のコンテストで、

2年に1回開催されます。シンガポール政府は従来国の全体の

教育レベルアップに力を注いできましたが、数年前から、生徒の個性を伸ばす、

いわゆるエリート教育(文化、芸術、スポーツを含む)にシフトしてきており、

数学教育に特化して設置された学校です。

世界22の地域と国から45校(1チーム4人)の生徒が参加しました。

「Experience(経験する)、Expound(詳細に説明する)、Exceed(超える)」を

テーマに、シンガポールの最前線の教育を経験し、

創造的・想像的な解法を説明し、実際場面での数学の応用の分野で

今以上のレベルに到達する機会を才能あふれる若者に提供することを

目的としています。

Q④ 北高が参加することになったきっかけを教えて下さい。

正直よくわかりません。

2月中旬にNUS高校から招待のメールを受け取りました。

日本から参加した他の4校は何からの形でNUS高校と交流を

持っている学校ですが、本校にはそれは当てはまりません。

シンガポール政府観光局主催のシンガポール教育研究会というものに参加して、

シンガポールの学校と交流をすることに対しての強い関心を示したのが

唯一考えられるきっかけです。

ですが、1つだけ確実に言えることは、

本校がSSH校であったから招待を受けたということです。

Q⑤ 北高からの参加者はどのように選抜されたのでしょうか?

生徒全員に対して募集をかけ、10名の応募がありました。

志望理由書を提出してもらい、英語と数学の筆記テスト、

英語による面接という選考を行い、総合的に参加者を選抜しました。

Q⑥ 大会ではどんなことが行われましたか?問題の内容などを教えて下さい。

福本さん:普段の勉強では出てこないような応用問題が英語で配られ、

 それを読み、問題を解いて、解答の説明を全て英語で書く。

 これらの作業を2日間で行い、その翌日には4人の大学の先生に英語で

 合計4回プレゼンテーションを行いました。

 また、これ以外にも外国の人々と交流ということで、

 シンガポールのフィールドワークやナイトサファリなどに参加しました。

竹内さん:問題の内容は数学の「確率」に関する問題がメインでした。

 過去問も解きましたが、毎回出題される分野は異なります。

 1人で解くのは難しいような問題が出題されましたが、

 4人みんなが一丸となって問題を解き、プレゼンを行いました。 

谷富さん:大会ではまずオープニングセレモニーがあり、ホスト校の生徒さんが

 合唱やダンスなどを披露してくださいました。

 問題内容は大まかに言うと、迷路の中に犬と飼い主がそれぞれ別の場所にいて、

 犬の特性になぞらえ、犬が飼い主に辿り着ける確率などを求めるものでした。

 プレゼンと結果発表までの間の1日はゲーム形式の観光がありました。

山本さん:大会自体は問題配布から準備期間、そして解答のプレゼンテーションを

 含めて3日間でした。問題の内容は、飼い主とはぐれてしまった犬が

 飼い主のところまで辿り着ける確率を求めるものでした。

 犬の行動にはあるきまった規則があって、例えば嗅覚で飼い主のいる方向が分かる、

 犬の場所と飼い主の場所を結ぶ直線を引くことができる角度のより小さい方を

 進んでいく等です。それぞれに異なったシチュエーションで4題提示され、

 それらを1日半かけて解きました。

Q⑦ 結果はいかがでしたか?

福本さん:大会の結果は今イチでした。しかし、メンバー全員の力を尽くして

 出した結果なので後悔はしませんでした。

 それより外国の人たちと交流できて英語の面白さを知ったり、

 世界観が変わったりし、また、数学の応用問題を解いて、数学の面白さや

 社会人になって日頃勉強しているものが活かされることを

 知ったことにとても満足しています。

竹内さん:結果は表彰されませんでしたが、とても貴重な体験ができ、

 充実していたので、個人的には満足でした。

 北高からの参加は今回が初めてのことなので、これからも後輩たちに

 参加してもらい、表彰されるように頑張ってほしいです。

谷富さん:問題はみな難問でしたが、理数科の2人の活躍で正答も

 出すことができました。受賞には至りませんでしたが、この研修を通して

 自分たちが成長できたことが結果だと思います。

山本:もともと大きな賞を狙っていたわけではなかったのですが、結果は参加賞でした。

 シンガポールに行く前の準備も十分にできておらず、和訳や英訳の作業、

 もちろん問題を解くのも、パワーポイントのスライドを作るのも

 ギリギリの状態でしたが、出せる力は出せたと思います。

Q⑧ 参加しての感想をそれぞれ教えて下さい。

福本さん:この大会に参加して、一番印象に残っていることは私たちの

 グループについてくれた2人のバディ(お世話係)JaniceとMichaelと一緒に

 過ごした日々です。2人は私たちの大きな助けになってくれ、

 とても大切な友達です。外国の人と友達になれるとは思っていなかったので、

 とてもうれしかったです。また、日本の他校の友達もたくさん出来て

 とてもよい思い出になりました。

竹内:問題は大変でしたが、参加しなければ体験できなかったような

 貴重な経験ができました。何より世界各国からの参加だったので、

 他国の人との交流は時には言葉が通じず大変でしたが、

 一番の思い出でもあり、自分を成長させてくれました。

谷富:初めての海外で日本ではなかなか学べない英語を吸収したいと

 思っていたので、今回参加できてよかったと思います。

 日本のALTの先生の授業などとは違って、彼らの日常会話は速く、

 ついていけないことが多々あり、自分の未熟さを痛感しました。

 しかし、とにかく伝えようと精一杯英語で話してみる精神は

 日本にいるよりはついたと思います。

山本:大会期間は睡眠時間も十分に取れない日が続きましたが、

 チームとして分担してとりかかれ、また、現地の私たちの担当をしてくれた

 生徒(バディ)の協力が大きかったです。

 他の学校の日本の生徒はもちろんのこと、たくさんの人と交流ができて、

 貴重な経験をしたなと思います。特に私は英語科に所属していますので、

 自分の英語力を日本とは違う場所で試すことができたいい機会だったと思っています。

Q⑨ 最後にSSHや北高の取り組みへ興味を持った方へ、

    学校見学などの機会はありますか?

中学生向けには7月にオープンスクールを実施しました。

もちろん、学校見学の希望等ありましたら、学校まで問い合わせください。

10月7日(日)に開催の30周年記念文化祭では、

2年理数科・FSCの諸君が行っている課題研究の掲示や、

1年生が昨年取り組んだ調査研究の掲示などもありますので、ぜひおいでください。

*今回はコンテスト参加以外に、職員による地元学校訪問と、

  生徒・職員による地元の学校との交流も行いました。

 

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