「パイロットコーポレーション」のヒミツ
企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
総合筆記具メーカーとしておなじみ
「パイロットコーポレーション」のヒミツに迫ります。
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お話をうかがいましたのは、株式会社パイロットコーポレーション
営業企画部 田中万理さんです。
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~~~~~株式会社パイロットコーポレーション 会社概要~~~~~
株式会社パイロットコーポレーションは、1918年創業。
万年筆、ボールペン、シャープペンシル、マーキングペンといった
筆記具の製造を手掛け、あらゆる筆記具の領域で
進化を続けている会社です。
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Q① まずは「パイロットコーポレーション」という社名の由来を教えて下さい。
当社は大正時代に純国産初の万年筆メーカーとしてスタートしています。
「パイロット」というと、現在では飛行機を思い浮かべますが
当時は大正時代。大きな船の「水先案内人」のことです。
創業者2人は船乗りであったため、
「日本で荷をおろした船がカラで帰っていく。悔しい。
日本だって立派な物を作って輸出できるはずだ。」と、
製品を作り始め、ブランド名を「パイロット」としました。
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Q② 「パイロットコーポレーション」の話題のヒット商品というと
消せるボールペン「フリクション・ボール」ですが、
この商品はいつごろ、どんなきっかけで作られた製品ですか?
1975年に「温度で色が変わるインキ」を開発し、
特許を取ったのが、始まりです。
はじめは、玩具(お風呂に入れると色が変わる等)や
産業用(温度で色が変わることを利用した印刷用のインキなど)に
利用していました。
一方で消せるペンの開発は長年の大きなテーマでした。
またユーザーからも消せるペンの要望は強く、
ぜひとも成し遂げたいテーマでした。
1975年の温度で色が変わるインキから研究を重ね、
筆記具のインキへ応用するまでには、30年の年月がかかっています。
「フリクションボール」は、2006年にまずヨーロッパ、翌2007年に
日本で発売して以来、6年間で累計4億本以上を販売しています。
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Q③ 「フリクションボール」の開発のポイントは?
温度で色が変わる(=消える)インキの仕組みを簡単にご説明しますと…
例えば青インキだとします。
基本となる成分は3つ。
条件によって無色と有色が切り替わり、レシート紙などの感熱複写や
感圧複写にも使われるロイコ染料という発色剤(A)と、
そのロイコ染料を発色させる顕色剤(B)、
そして変色温度調整剤(C)です。
通常の温度ではA(発色剤)とB(顕色剤)がくっついているため
色が見えますが、あらかじめ設定されている温度に達すると、
B(顕色剤)は、発色剤(A)から離れ、
変色温度調整剤(C)と合体します。
そのため、インキは無色となります。
この3つの成分はマイクロカプセルに包まれて、
通常のインキでいう顔料の粒の役割をしています。
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Q④ 「フリクションボール」のネーミングの由来は?
「フリクション(FRIXION)」は、
「摩擦」を意味する英語(friction)に由来し、
“X”で革新性や力強さを表現しました。
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Q⑤ 「フリクションボール」のシリーズは、現在、何種ありますか?
10種類あります。
昨年12月に発売した3色タイプ(フリクションボール3)は、
フリクション発売当初から早く実現してほしいというご要望が
強かった商品です。 フリクションの便利な使い方に、
「色のインク」で書き込んだりするところ、があります。
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Q⑥ 最後に一言お願いします。
手書きのよさや万年筆の魅力でしょうか。
書いた文字の味わいや雰囲気、書く時間やお手入れまでも楽しい。
万年筆で書いた文字には独特の魅力があります。
使い続けるほどに手になじみ、
長く愛着を持って使える「書くための道具」です。
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