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「井村屋株式会社」のヒミツ

企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。

今日は「肉まんあんまん」などでおなじみ、

「井村屋株式会社」のヒミツに迫ります。

お話をうかがいましたのは、井村屋株式会社 開発部

菓子食品チーム長 横山秀樹さんです。

~~~~~井村屋株式会社 会社概要~~~~~

井村屋株式会社は、

1896年(明治29年)三重県松阪市に菓子舗「井村屋」として創業

1947年(昭和22年)株式会社井村屋として会社設立

2010年(平成22年)10月 持株会社制へ移行

ようかんの製造販売に始まり、「あずき」をコアとする食にまつわる事業展開をしてきました。

「水ようかん」「ゆであずき」「あずきバー」「肉まんあんまん」など多くのお客様に支持され、

現在は持株会社である井村屋グループを中心に、

井村屋㈱、井村屋シーズニング㈱など国内5社、海外3社の事業会社を持つ、

グループ事業経営を行っています。

井村屋株式会社 HP http://www.imuraya.co.jp/

Q① 「井村屋」という社名の由来を教えて下さい。

創業者井村和蔵が三重県松阪市に菓子舗「井村屋」として創業。

前述の通り、創業者の名前に由来しております。

現在はグループ経営に移行しておりますが、地元ではお客様から

「井村屋さん」と親しみを持って呼んでいただくことが多く、

社員も誇りを持っております。

Q② 「井村屋」のロングセラー大ヒット商品といえば、「肉まん」「あんまん」ですが、

 この商品はいつごろ、どんなきっかけで作られたものですか?

 また累計でどのくらい売れていますか?

1964年(昭和39年)肉まんあんまんを発売します。

冬になると、夏に比べて流通量の下がるアイスリームに代わる冷凍食品として発売しました。

当時はまだ家庭用の冷蔵庫も普及しておらず、

最初から急成長を遂げたわけではありませんが、調理して(蒸して)、

温かいまま提供できるスティーマーの開発、1970年代コンビニエンスストアが誕生し、

その急激な成長期とも相まって順調に売上を拡大することができました。

当時、スティーマーを設置して肉まんあんまんを販売するには飲食店許可証が必要でした。

加温食品協会という団体をつくり、そこが受け皿となることで個店での申請の必要がなくなり、

一挙にスティーマーの展開スピードが早まりました。

この協会の設立に中心的な役割を果たしたのが当社でもあります。

このように、マーケティング改革、機械の進化、法規制の見直しなど、

様々な条件が相まって、現在の肉まんあんまんの販売につながり、

今では年間約2億個を生産、販売しております。

Q③ 「肉まん」「あんまん」の開発のポイントはどこでしょうか?

まず、当社では「中華まん」という呼称は使用せず

「肉まんあんまん」という表記、呼称にこだわっております。

もともと中国から伝わったものですが、日本で独特の進化を遂げ、

日本風にアレンジされた商品なのです。

当社肉まんの具材には醤油ベースの味付けがされているのが特長です。

またあんまんは、つぶあんを使用した和風のあんまんであり、

これも大きな特長のひとつです。

もちろん、現在では嗜好性も多様化し、バラエティ豊かな商品展開を行っておりますが、

基本となる定番商品は「肉まん」「あんまん」「カレーまん」「ピザまん」の4アイテムです。

これらの定番商品も生地と具のバランス、生地のやわらかさ、

具材の濃さ(甘さ、辛さなど)を毎年の嗜好調査に基づき、

何らかの改良を加えております。

定番商品以外のバラェティまんじゅうでは、

話題の素材、料理を具材として使用したり、

キャラクターを使った商品などを開発、販売しております。

今年はご当地グルメ商品として、

「石巻焼そばまん」「十和田バラ焼きまん」を展開。

特に「石巻焼そばまん」は間接的な復興支援にもつながる商品となっております。

Q④ 現在「肉まん」「あんまん」のシリーズは現在何種ありますか?

 特色ある商品などあればいくつかご紹介ください。

今シーズンは11種類のNB商品を展開。

肉まん、あんまん、こしあんまん、ピザまん、欧風ビーフカレーまん、豚まん、

石巻焼そばまん、十和田バラ焼きまん、プルコギ春雨まん、ショコラまん、焼いもまん。

(実際にはCVS各チェーン様とのコラボレーション商品が多くあり、上記は井村屋ブランドの商品ラインナップです。)

Q⑤ 新製品「スポーツようかん」がヒット中とのこと。

 この商品はいつごろ、どんなきっかけで作られたものですか?

今年の3月に発売しました。

「ようかん」に新しい食シーンの提案ができないかという開発テーマがあり、

昨今のマラソン、登山ブームなどの市場背景とも相まって、

アウトドアでワンハンド、手軽にエネルギー補給ができる商品として開発をいたしました。

カロリーは1本で171kcal、お茶碗約1杯分。

運動時に汗で失われた塩分を補給するため、

当社通常品の約5倍にあたる200㎎相当の塩分も補給することが出来ます。

Q⑥ 「スポーツようかん」の開発のポイントはどこでしょうか?

スポーツ用ということで、開発段階ではもっとエネルギー効果、機能を

強化した方がいいのでは?という意見もありましたが、

昔から親しまれている“ようかん”本来の味にこだわりました。

「スポーツようかん」で初めて“ようかん”を食べたという方が増えてくれれば嬉しいことです。

Q⑦ 「スポーツようかん」以外にも、特別な用途のために開発した

 ようかんの商品があるそうですね。

「スポーツようかん」の前に、「えいようかん」という防災備蓄用商品を開発しております。

2008年発売当初は賞味期限3年でしたが、

お客様からの要望も多く、昨年4月に賞味期間5年半にリニューアルしました。

悲しい出来事でしたが、東日本大震災の時期とも重なり、

多くの方が備蓄商品を見直す中で、

「ようかん」に新たな用途を見出していただきました。

特殊な4層フィルムを使用して5年半の保存を可能にした点、

嵩張らないパッケージ、暗闇でも見つけやすい反射シール付、

点字表示で「ようかん」であることを表現、

災害伝言ダイヤル171の使用方法を記載

(たまたまこの商品のカロリーも1本171kcalという不思議な偶然も)など、

パッケージデザインのユニークさが評価され、「2012グッドデザイン賞」を受賞いたしました。

Q⑧ 「井村屋」さんと言えば、他にもたくさんのロングセラー商品がありますが・・・。

「ゆであずき」は昭和37年に発売以来、今年で50周年を迎えました。

「ゆであずき」は井村屋初の缶詰商品として誕生し、

昭和41年には当時6号缶が常識であった業界で初めて

大型サイズの特4号缶を採用しました。

このゆであずき缶は創業者井村二郎の開発商品でありますが、

発売当時の食品業界では「素人発想」との評価でありました。

しかし、丁度その頃が電気冷蔵庫の普及期にあたり、

その使いやすさと保存性も受け、また菓子づくりの良さを活かした

手間隙かけた独特の製造方法と、

添加物を一切使っていない特色が徐々に認められるようになってからは

急速に成長し、以後、改良を加えつつトップシェアをいただくまでにいたりました。

 

 

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