「NPO法人就労特化型支援団トリニティ」
企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」
1月31日までの10回にわたって、
スペシャル・バージョンでお送りしています。
題して「会社のヒミツ・NPOスペシャル~新しい公共~」。
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あなたは、「新しい公共」という言葉をご存知ですか?
子育て、環境、まちづくりなどの、わたし達の身近な分野で、
市民、NPOや企業などの様々な団体が
地域の問題に取り組んだり
住民のニーズに合ったサービスを提供するなど、
皆で支えあう仕組みを作っていくことです。
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この時間はそのような「新しい公共」を知ってもらうために
その担い手として活動しているNPO法人をご紹介していきます。
3回目の今日は「NPO法人就労特化型支援団トリニティ」の
蓑田 志津子さんにお話をうかがいました。
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Q ご出演頂く方のお名前、所属を教えて下さい。
氏 名 : 蓑田 志津子
組織名 : NPO法人就労特化型支援団トリニティ 所属 : 理事長
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Q 組織の基本情報を教えて下さい。
住所:熊本県上益城郡御船町辺田見361-4
スタッフ:6名
電話番号:096-282-6035
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Q 組織の活動目的を教えてください。
私たちトリニティは、発達障害やアスペルガーと言われる
「自閉症スペクトラム障がい」を持つ方を支援する団体です。
NPO法人就労特化型支援団トリニティの『トリニティ』とは、『三位一体』の意味です。
この「三位」は、特別な支援の必要な方を中心に、
「保護者」・「支援者」と「専門機関」との協働、
そして、「就労」・「日常生活」と「余暇」のバランスを意味しています。
『特別な支援が必要な方が、社会の中でナチュラル・サポートを受けながら、
自分らしく、自立した暮らしを送れること』を私たちトリニティは目指していきます。
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Q 「自閉症スペクトラム障がい」について、具体的に説明をお願いします。
「自閉症スペクトラム障害」とは、発達障害や自閉症、高機能自閉症、
アスペルガー症候群などをいいます。
中には知的を伴う方もいらっしゃいますが、そうでない方も多いです。
現在は、生まれつきの脳の機能障害と言われています。
以前は、「子供のしつけの問題」と言われて母親がとても苦しんでいました。
特性としては、人とコミュニケーションをするのが苦手だとか、
こだわりが強いだとか。
聞くよりも見た方が理解しやすいので、視覚支援が効果的です。
またとても記憶力が良い方が多いです。
彼らは環境が整えばたくさんのことを学ぶことができます。
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Q このNPOは、いつごろどんなきっかけで結成されたものですか?
発達障害や自閉症は、見えない障害と言われ
「わがまま」「怠けている」と誤解されることが多いです。
子供のしつけが悪いと周囲から非難され辛い思いをしている保護者もいます。
発達に偏りがある彼らは環境を整えてあげれば学ぶことができるのです。
ですが、現状は教育機関や福祉の支援者の方々も、
発達障害や自閉症の支援の方法を知らない方が多く、
当事者の方や保護者は辛い思いをされている方もいます。
私たちは、彼らの特性に合わせた支援と自立、
そして発達障害・自閉症を十分に理解して支援できる『支援者』を
育成することを目的に、昨年2011年12月8日に事業を開始しました。
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Q 具体的にどんな活動をして、どんな実績をあげていますか?
事業としては、「児童デイ」と「訪問支援」、「就労移行支援」の事業をしています。
児童デイは、 幼児さんから高校生までが対象となります。
主に身辺の自立や社会的なルールやマナー、コミュニケーションを
それぞれの特性に合わせた支援をしています。
就労移行支援は、就労を目指している方を対象としています。
生活リズム・身辺自立を整えながら、就労技術として、
デスクワークやパソコンの技術習得を目指しています。
対象ソフトは、Microsoft Word Excel Powerpoint Access と
Adobe社のPhotoshop Illustrator Dreamweaver など幅広く扱っています。
また、家庭での支援の方法として、保護者の勉強会も開いています。
なるべく、お父さんも参加していただけるようにお願いしています。
保護者の中には、自分の子供とどのように係わったらよいのか
解らない方が多いようです。
まずは、自分のお子さんの特性を知ること、そのための面談もご希望時に持っています。
私たちスタッフは、発達障害・自閉症スペクトラム障がいの支援を研修を受け、
常に新しい情報、支援方法を学んでおります。
また、トリニティの三位一体の一つの専門家として、
ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン(株)ジェネラル・ディレクターの
今本繁先生をお迎えしています。
当事者の方をいろんな角度からとらえため、情報共有として、
学校や病院、他の支援施設などと連携しています。
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Q 活動を通じて、どんな点が苦労していますか?
一人の当事者の方に対して、様々な機関と連携を取り、
特性を理解しながら支援をしていくには、とても人手が足りません。
となると、利用者の方の人数を制限することになるという、経営難でしょうか。
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Q 人手が足りないということですが、一般の方が参加できるボランティア活動などはありますか?
自閉症スペクトラム障害のことを理解できている人でないと
支援が難しいと思いますので、基本的に、研修を受けたスタッフが
支援をしています。
なので、ボランティアの方の参加は難しいかもしれません。
ですが、自閉症スペクトラム障害の方を支援したい!というスタッフは随時募集しています。
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Q これまでの活動の中で、最も印象深いエピソードをお願いします。
私たちが療育している児童デイには上手く言葉を話せない子供たちもいます。
そんな子供たちのコミュニケーションツールとして
絵カードによるコミュニケーション・Pecs(ぺクス)があります。
話すことは苦手でも、彼らの内面にはたくさんの言葉があり、
それを伝えるために絵や写真のカードを見せて教えてくれます。
子供の特性に合わせてサイズや、絵にするのか写真にするのか決めていくので、
膨大な数のカードが必要になります。
就労移行支援の利用者の方に、指先の訓練として、
その絵カードを作ってもらっています。
就労移行支援の方も、自分の作った絵カードが子供たちの役に立っていると解ると、
自分のやっている事の意味が理解できるとモチベーションも上がり、
労働に対する考え方も少しずつ変わってきているような気がします。
熊本では、珍しい組み合わせの「多機能型」の施設ですが、
思わぬ相乗効果にスタッフも喜んでいます。
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Q 今後の夢などがあれば、お願いします。
発達障害や自閉症スペクトラム障がいの方々の障害特性を
広く理解して欲しいことと、障害を持った方とそうでない方が共に暮らしていける
「共生」できる社会ができたらと思います。
また、障害を持った親が安心して子供を任せられるような施設・支援を目指しています。
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Q 最後に一言お願いします。
発達障害・自閉症スペクトラム障害というと、
有名な方で、ビル・ゲイツ、スティーブン・スピルバーグ、キム・ピーク、
学習障害では、トム・クルーズ、オーランド・ブルームなどがカミングアウトしています。
彼らは素晴らしい才能を持っていますが、生き辛さ(困難さ)も併せ持っています。
私たちが支援している利用者の方もそれぞれ、「生き辛さ」や特性による
「困難さ」があります。
彼らは独特の感性を持っていて、とてもユニークな存在です。
「個性の時代」とか「個性を大事に」と言われて久しいですが、
「人と違うこと」を私たちが受け入れるのを戸惑っているように感じます。
「私」と「あなた」は違うけれど、その違いを認め合って共生できる
社会を作れていけたらなぁと思います。
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