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NPO法人フリースクール地球子屋

企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」
1月31日までの10回にわたって、
スペシャル・バージョンでお送りしています。

題して「会社のヒミツ・NPOスペシャル~新しい公共~」。

あなたは、「新しい公共」という言葉をご存知ですか?
子育て、環境、まちづくりなどの、わたし達の身近な分野で、
市民、NPOや企業などの様々な団体が
地域の問題に取り組んだり
住民のニーズに合ったサービスを提供するなど、
皆で支えあう仕組みを作っていくことです。

この時間はそのような「新しい公共」を知ってもらうために
その担い手として活動しているNPO法人をご紹介していきます。

今日はいよいよNPOスペシャルの最終回。

今日はNPO法人フリースクール地球子屋(てらこや)の理事
加藤千尋さんにお話を伺いました。

Q 組織の基本情報を教えて下さい

フリースクール地球子屋は、1996年に保護者が
中心になってつくられ、2度の移転の後、
この熊本市中央区国府で10年間活動しています。

ここに関わる子どもたちは、学校の体質に合わなかったり、
いじめや発達に偏りのあるいわゆる発達障害が
あったりすることで学校に馴染めない子どもが
心を休める居場所として、あるいは学校のかわりに
学ぶ場所として活用しています。                                                              

現在、保護者を中心にスタッフが6名、
通っている18歳以下の子ども4名、
18歳以上の青年が7名ほどいます。                                                           

問合せ先は、電話096-363-7633です。
ホームページ 「フリースクール地球子屋」
http://terakko.org/

Q 組織の活動目的を教えてください。

子どもたち1人1人が、自分の特性を活かして
社会にむけて自立していくことを支援します。

学校に行けない子どものことを知らない大人は、
今だに本人がさぼっているとか親の育て方が悪いなどと
平気でいいますが、とても本人やご家族を
傷つけていることに気が付いていませんし、全くの誤解です。

子どもは、学校に行けるものなら喜んでいきます。
しかし心ないクラスの子どもに執拗にいじめられていたり、
先生の態度に不安を覚えたりして平穏な生活が
送れない状況なのです。
みなさんも同じような状況になったら、と考えてほしいのです。

学校に行かない、行けないというのは
子どもに現れた1つのサインなのです。

いつまでも大人が学校に行くか行かないかの1点に
ばかりこだわっていると子どもの本当の姿を見失うことになります。
今、その子どもが必要としていることは「学校にいくこと」
ではないということに気づかないといけません。

このように誤解に満ちた周りの大人に囲まれていると
どんどん体調がおかしくなります。
ですからまずは子どもたちが安心して日常が過ごせる
場所が必要なのです。
その上で子どもの発達上の課題があるならば、
いいところを伸ばしていこうというスタンスで取り組んでいきます。
きちんとトレーニングすれば
どの子どもも成長することはできるのです。

無理やり「これをこの段階でできなきゃダメ」と
型にはめたような指導をするから型にはまらない
子どもは困ってしまって動けなくなります。
                                                            
人間は、生き物であって1人1人違うんだという前提で見れば、
どの子どもにもたくさんのよいところがありますし、
早い遅いはあっても発達はしていくものです。
最終的に社会で活躍できる大人になってくれれば
それでいいと考えています。
そういうことを目的にして17年間取り組んできました。

Q いつごろどんなきっかけで結成されたものですか?

当初は、保護者が学校に行けないわが子のことを
理解しようと学習会からはじめました。

保護者どうしの交流もできてきたところで、
我が家で「暇だ、退屈だ」と時間をもてあましている
子どもがいることがわかったのです。

けれど、学校に行くことは体調も悪くなるし、
緊張状態が続いてよくないのです。
そういう子どもたちのための居場所や学びの場所を
子どもたち自身ではつくることはできませんよね。
こればかりは大人がどうにかしてあげないといけない、
ということで設立当初は、学校に行けない不登校の
子どもたちの居場所、フリースペースとして立ち上げました。

ですがすぐにただ集まるだけでは面白くないということで、
子どもたち自身がいろいろな活動をするようになりまいた。
そこで居場所と学びの場所という意味から
フリースクール地球子屋となり、今に至ります。

Q 具体的にどんな活動をして、
  どんな実績をあげていますか?

フリースクール地球子屋で子どもたちは
大きく4つの活動に取り組んでいます。

1つは学習サポートです。学校の勉強もですが
大きな特徴は発達障害と言われている子どもたちに
様々なトレーニングを行い、その子どものいい面を
伸ばすようにしてあげています。
スポーツや料理、ゲームなどやり方は様々ですが
そういった活動を通して発達上の課題を伝え能力を磨いています。

子どもたちが主体的に計画する活動にプロジェクトと
ゼミナールがあります。プロジェクトは、
自分で目標を立てて実行するものです。
「3kg痩せる」でも「3日に1回散歩する」というのでもいいのです。
これまで「おいしいケーキをつくる」
「べニアからボートをつくって江津湖でこぐ」など
様々なものがありましたね。

ゼミナールはテーマを決めて講師の先生から習うというものです。
「虹の作り方」「旅した時の英会話の仕方」など
多くの先生に教えてもらいました。                                                           

最後にミーティングという活動があります。
このフリースクール地球子屋には子どもたちをはじめ、
保護者、スタッフ、ボランティアと様々な人がいます。

一緒に過ごすためにはルールが必要です。
みんなで話し合って問題を解決したり、
計画をつくったりと地球子屋ではミーティングは
とても大切な活動だと感じています。

そんな取組をしていますが、
成果は子ども1人1人いろいろあります。

例えばいじめなど人間関係による子どもについては、
人間不信になっていますからまずはスタッフと
コミュニケーションをしっかりとりその子どもの
味方になってあげることからはじめます。

少しずつ他の子どもたちと一緒になって
人との関わり合いに慣れていきます。
多くのお子さんは一定期間を過ごせばある節目で
学校に戻ることも多いです。
今の学校にはなじめないという発達障がいのあるような
子どもさんであっても、フリースクール地球子屋で過ごして
色々と学んで、高校、大学に進学した人、
就職した人、中にはすでに就職して結婚した人もいます。
海外に留学した人、さらに職業訓練を受けて
就職した人さまざまです。

子どもたちには本当に無限の可能性があるなと
いつも感じています。ですから一時期学校に行かないことで
心配や不安をもつ必要はないと
保護者のみなさんにはお伝えしたいですね。

そういった心配や不安をもてば、つい子どもを見て溜息をついたり、
批判的になったりしてしまうものです。
親からは信頼や愛情を受けて育つのが
本来の子どもの姿ではないでしょうか。
ぜひ子どもを信じてあげてほしいと思います。

Q  活動を通じて、どんな点が苦労していますか?
     具体的エピソードなどあればお願いします。

子どもたちの活動の他に、保護者向けに勉強会や
交流会を月1回、フリースクール地球子屋や
近くの公民館などで開催しています。                                                            

苦労というわけではありませんが、大人の方はどうしても
「学校に行く、戻る」ことにばかりこだわってしまいます。

ややもすると「学校に行かないことは悪いこと」と
決めつけてしまいます。
それは、「学校に行かない子どもは悪い子」と
伝わり子どもたちの多くが傷ついています。
ただでさえ学校での様々なストレスで悩んだり
苦しんだりしている上に最も身近で大切な人から
傷つけられたら子どもは立ち直れなくなります。

子どもの今を見てほしいとよくお伝えするのですが、
なかなか実感として伝えることが難しいなと
いつも感じているところです。

もちろん、保護者の方自身も悩んだり困って
いらっしゃることは十分承知しています。
ですからまずは保護者の方の今のお気持ちを
受け止めるようにしています。
保護者の方も子どもとともに成長していく視点にたって
いただけるとよいのではないかと思います。

Q これまでの活動の中で、
     最も印象深いエピソードをお願いします。 

ある子どもさんが脳の手術をすることになりました。
子どもたちは自ら手術が成功するように
応援しようというプロジェクトが計画されました。

千羽鶴を本当に千羽以上おりました。
励ましのメッセージをたくさん書きました。
手術前に面会して1人1人がその子どもに励まして
一緒に笑いあって、また一緒に活動しようよと声をかけました。                                                

その子どもは「うん、がんばる」といって手術を受け、
見事に手術は成功し元気に帰ってきてくれました。
みんな心優しい子どもたちです。
いろいろな悩みをそれぞれは抱えつつ、
前向きに未来に向かえている子どもたちです。

今、まだ自宅にいて1人で悩んでいる子どもや
青年の人も多いと思います。
ぜひ気軽にフリースクール地球子屋に来てほしいと思います。
きっと今とは違った変化を感じることができると思いますよ。

Q 今後の夢などがあれば、お願いします。

発達障害のある子どもが増えてきていると聞きます。
しかしある意味、誰だって得意不得意はあるものです。

保護者のみなさんは他人の子どもと比べて不安になるのではなく、
この子どもなりの発達の仕方があるのだと理解してほしいですし、
その子どもにとって必要な支援を各ご家庭でできるような
トレーニングのメニューをつくっていきたいと考えています。

家庭の環境を少し工夫してあげるだけでも
過ごしやすくなることもありますからね。
そしてスタッフが出向いて一緒にトレーニングメニューを考えます。
もうご家庭だけで抱え込む必要はありません。
ぜひお気軽に相談をしていただければと思います。
子どもを育ているのはお父さん、お母さんだけではない、
地域で一緒に育てていくような社会をつくっていければと考えています。
そして子どもたちには多様な教育が受けられるような
環境にしていくことがこれからも変わらない目標です。

Q そのほか、PRしたい案件があればお願いします。

東日本で大きな災害がありました。
その時に子どもや女性、障がい者の視点が
なかなか活かされないことがわかりました。

フリースクール地球子屋では、実行委員会をつくり災害時においての
本当の対応の仕方について学ぶ学習会を予定しています。

2月23日(土)10:00~16:30
東日本大震災女性支援ネットワークの方を講師にむかえ
「3.11の教訓を学ぶ会」を開催します。
参加費は無料ですが資料代として1000円の
実費負担をお願いします。

また不登校やひきこもり、発達障がいなど子育てに不安や
お悩みのある保護者を対象に「ともに学ぶ親の会」という
学習会相談会を毎月第一金曜の夜に行っています。

今年は、ご家庭でできる発達障害支援の
トレーニングメニュー作りもはじまります。

詳しい情報は、随時ホームページに
掲載していきますので、ご覧ください。

フリースクール地球子屋ホームページ
http://terakko.org/

電話は 096-363-7633 です。
お気軽にお問合せください。

今日はNPO法人フリースクール地球子屋(てらこや)の理事
加藤千尋さんにお話を伺いました。

加藤さん、ありがとうございました。

 

                                        

 

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