NPO法人UDくまもと
企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」
1月31日までの10回にわたって、
スペシャル・バージョンでお送りしています。
題して「会社のヒミツ・NPOスペシャル~新しい公共~」。
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あなたは、「新しい公共」という言葉をご存知ですか?
子育て、環境、まちづくりなどの、わたし達の身近な分野で、
市民、NPOや企業などの様々な団体が
地域の問題に取り組んだり
住民のニーズに合ったサービスを提供するなど、
皆で支えあう仕組みを作っていくことです。
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この時間はそのような「新しい公共」を知ってもらうために
その担い手として活動しているNPO法人をご紹介していきます。
8回目の今日は「NPO法人UDくまもと」の矢ヶ部 孝志さんにお話をうかがいました。
Q 組織の基本情報を教えて下さい
事務所所在地:熊本市東区長嶺西1-6-88 ザ・クレイン102号
所属人員:常勤2名 ボランティア特派員10名 会員72名
問い合わせ先:096-202-1792
ホームページ くまもとユニバーサルツアーセンター http://www.ud-kumamoto.jp
Q 組織の活動目的を教えてください。
高齢者、障害者等の移動制約者の観光レジャーなどの外出の促進を目的にした活動をしています。また、それによって全ての人が楽しく過ごすことのできる熊本を構築していきます。法人の名前の由来にもなっているUD(ユニバーサルデザイン)な熊本を目指しているのです。
観光外出の促進と並行して取り組んでいるのが、まちづくりにおけるUD化の提言です。現在施行されているバリアフリー新法にある5つのカテゴリー、建築、道路、公園、公共交通機関、路外駐車場について、さまざまな基準やガイドラインに基づいて障害当事者の立場から提言を行います。 公共民間を問わず、多くの建築施工関係者からの問い合わせを受けて活動をしており、地元の飲食店から大規模な公共工事にいたるまでさまざまな案件に対応しています。
総じて言えるのは、誰もが外出やレジャーを楽しめる熊本であるよう願って活動しているということです。
Q このNPOは、いつごろどんなきっかけで結成されたものですが?
今から約20年ほど前に、一人の車いすユーザーが外出の為に、車いす対応トイレをマップにしようと活動を始めたのがきっかけです。その後、法の整備や社会の理解も深まり、トイレを探さなければ外出が出来なかった段階から、いかに安心して観光レジャー等外出を楽しめるか、というステップに進みました。
平成18年にNPO法人として認可を受け、今年で7年目を迎えます。
Q 具体的にどんな活動をして、どんな実績をあげていますか?
県内各地の観光地のUD状況を調査し、ガイドブック、ホームページ等で情報を発信する。また、観光地におけるサービス提供者に対する講演、講習等を行っています。ハード面の整備を指摘することを目的とせずに、それを補う人の手、ソフト面での対応の重要性に重点をおいた活動であることが特徴です。ホスピタリティーの向上が全ての基本であると考えています。
このように、観光客にのみ情報を提供するのではなく、サービスを提供する側へも丁寧にアプローチしながら理解を進め、移動制約者がマーケットして成立する規模に成長していることを説明し、経営に寄与する事を理解して頂くことで、最終的には双方にとってよりよい環境へ導くよう活動しています。
まちづくりへのUD化提言においては、障害当事者団体として提言を行いますが、単に主観的意見を述べるのではなく、現在活発に活動している「日本福祉のまちづくり学会」の会員として、医学的あるいは、学術的根拠のある提言を行っています。バリアフリー新法は常に現在進行形で検証、研究が進んでおり、最新の情報を基に提言を行うことで、特定の分野の障害に偏ることのない、UDであることに重点を置いたコンサルティングを行います。現場に於いては対話を重視し、一方的な意見を述べることないよう、環境を整備します。これによって、誰もが気軽に建築や道路整備等について尋ねやすい、気軽な相談相手でありたいと心がけています。
以上の二つの活動実績が評価され、今年度平成24年内閣府バリアフリーユニバーサルデザイン推進功労者表彰 内閣府特命担当大臣表彰優良賞を受賞いたしました。昨年12月内閣府総理大臣官邸において授賞式及び祝賀会に出席させていただきました。本賞は自治体による推薦枠としては最高賞にあたり、身に余る大きな賞でありました。当法人の様な小規模NPOが受賞することは稀ですので、受賞についてもこれまでご支援いただいた多くの方々のおかげであることを肝に銘じて、活動内容の普及継続に謙虚に努力していきたいと思っています。
Q 活動を通じて、どんな点が苦労していますか?具体的エピソードなどあればお願いします。
観光の促進についての活動では、県外から来る障害のある方の観光コーディネート等も行っているのですが、当然多様な障害に対応しなければなりません。ときには直接観光ガイドを行うこともあることから、幅広い知識が必要になります。特に、視覚障害者の観光ガイドの場合、生まれつきの障害で見えたことのない方の観光ガイドについては、「色」を言葉で表すことは意味がありません。風景の表現を言葉で表すときなど、その他の感覚、たとえば紅葉の赤を「触れると熱さを感じる様な」と表現したりして楽しんでもらいます。その方の障害に応じたガイドの方法で熊本を満喫してもらえるよう努力しています。
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