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「ゼロ・ダーク・サーティ」

「FMK Morning Glory」
毎週火曜日にお送りしています「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
今日は、今週金曜日・2月15日から公開される
「ゼロ・ダーク・サーティ」をご紹介しました。

この映画「ゼロ・ダーク・サーティ」は、「ハート・ロッカー」で
第82回アカデミー賞作品賞を獲得した、
キャスリーン・ビグロー監督の最新作です。
前作では、イラク戦争中のバグダッドを舞台に、死と隣り合わせにある
アメリカ軍兵士達の日常を描いていましたが、
今回の題材は、2011年5月に実行された、
オサマ・ビンラディンの捕獲作戦と暗殺。
世界中を駆け巡ったこの衝撃的なニュースの裏側を、
今回もリアリティあふれる演出で描き出しています。

ビンラディンの捕獲作戦という大きなミッションとくれば、
選び抜かれた男たちの物語をイメージしますが、
なんと物語の主人公は若い女性。
彼女は20代ながらテロリストの追跡が専門のCIAの女性分析官で、
パキスタン支局から派遣されてきます。
最初は、ビンラディンの手掛かりさえつかめずにいた彼女ですが、
あることをきっかけに隠れ家と思われる場所を発見!
しかし、周りは誰もそれを信じません。
果たして作戦は実行されるのでしょうか・・・?

若い女性が、誰も突き止められなかった
ビンラディンの居場所を発見したなんて
ちょっと信じられない話ですが、この映画、
脚本家のマーク・ボールが、実際に事件に関わった人たちへ
行ったインタビューをまとめて製作されていて、
かなりノンフィクションに近いものになっているんだとか。
それだけに、映画というよりも
ドキュメンタリーを見ているような臨場感です。

苦労して入手した情報を組みあわせながら、
狙うターゲットに近づいていくプロセスは、
まるでミステリー映画の犯人探しのような感覚です。
普段なら絶対に見ることのできない
CIAの裏側が細部にわたって描写されているため、
アメリカ国内では、大きな賛否を呼びました。

この映画の製作が発表された当時は、
大統領選挙の前だったので、
「オバマ大統領再選のためのプロパガンダ映画だ!」と
非難を浴びたそうなのですが、実際に作品を観てみると、
単純に「アメリカ万歳」型の映画ではないことがわかります。

特に映画の冒頭に登場するCIAによる拷問のシーンは、
アメリカが「正義」の名のもとに
かなり残酷な行為も行っていたことを明らかにしています。
(「水責め」(ウォーター・ボーディング)とは、
横たわった状態で顔に濡れタオルを置かれ、
その上から大量の水をかけられるという恐ろしい拷問です。)

「テロ」への恐怖・・・・
そしてそれと戦う「国家の正義」とは何なのか?
複雑な政治状況が絡んだ中で、
主人公たちCIA局員は何を考え、どう行動していったのか?
クライマックスまで一瞬もスクリーンから目が離せません。
これほどのハードな映画を作ったのは、
あの美しい女性監督とは・・・・・。
そこいらのひ弱な男は太刀打ちできない
「骨太な映画監督」といえるかもしれません。
才能と美貌を兼ね備えるなんて、すごい人ですね。

ちなみに、タイトルの「ゼロ・ダーク・サーティ」とは、
アメリカの軍事用語で「深夜0時30分」を指す言葉で、
ビンラディン捕獲作戦の決行時間のこと。
世界的なミッションの全貌を、ぜひスクリーンで体験してください!

今日ご紹介した映画「ゼロ・ダーク・サーティ」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
で、今週金曜日・2月15日から公開されます。

「ゼロ・ダーク・サーティ」
オフィシャルサイト http://zdt.gaga.ne.jp/

 

                   

 

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