「リンカーン」
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
今日ご紹介する映画は、現在公開中の「リンカーン」をご紹介しました。
「人民の、人民による、人民のための政治」という有名な演説で、
僕たち日本人にもなじみ深い、
アメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーン。
オバマ大統領が最初の就任式で、リンカーンが使用した聖書を手に
宣誓を行ったことでも話題になりましたね。
この、今もアメリカ人に愛される偉大な大統領、
リンカーンの実像にせまったのが、
今日ご紹介する作品「リンカーン」なんです。
リンカーンが遺した最も大きな功績。
それは、アメリカの奴隷解放を実現させたことです。
舞台となる19世紀当時、アメリカは、黒人奴隷を使い続ける
南部の州と、奴隷解放を進める北部の州と、
真っ二つに分かれていました。
法の下の自由を理想とし、大統領に就任したリンカーンは
奴隷解放をすすめますがそれに南部が反発。
対立は日に日に深まり、ついに南北戦争が勃発します。
映画では、この南北戦争をリンカーンがいかにしてやめさせ、
奴隷解放を実現させたか、その知られざるドラマを描いています。
映画のクライマックスでは、「奴隷制」を禁じる
「アメリカ合衆国憲法修正13条」を、リンカーンがいかにして、
議会を通過させたかが描かれます。「奴隷解放宣言」だけでは、
南部の州は合法的に「奴隷制」を継続することができたため、
法律的に「奴隷制」を違憲にする必要があったのです。
この憲法改正のために、ある時は有力議員を説得、
ある時はロビイストを使って、票を買収したりします。
学校で習うアメリカの歴史では、そこまで詳しく教えてくれないので、
このあたりの展開は、日本人の我々にとっては、
かなりサスペンスフルです。
最終的には、リンカーンが勝利するとわかっていても、
ハラハラドキドキしながら、投票を見守ることになります。
リンカーンを演じたのは、並外れた演技力を持つ
オスカー俳優、ダニエル・デイ=ルイス。
完璧な役作りで知られる彼ですが、今回もあの独特な風貌はもちろん、
歴史上の人物とは思えないほどリアリティある演技で、
3度目のアカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞しました。
この役のオファーを受けて、受けようかと迷っていたときに、
「この役をやるべきだ!」とススメてくれたのは、
なんとレオナルド・ディカプリオだったそうです。
さらに、「宇宙人ジョーンズ」のCMでおなじみの
人気俳優トミー・リー・ジョーンズ、
2度のオスカーに輝く名女優サリー・フィールズなどが脇を固め、
ドラマティックな歴史ドラマをさらに見ごたえのあるものにしています。
監督は、ご存知、スティーブン・スピルバーグ。
リンカーンといえば、半ば伝説化していることから、
人物としても完璧というイメージができているんですが、
スピルバーグは今回、そうは描いていないんです。
目的のためにはズルイ手も使う、
狡猾な政治家の一面にも迫っています。
わずか150年ほど前にアメリカでおきた「奴隷解放」が、
その後の世界を大きく変え、今の21世紀につながっているのです。
未来を見据える目をもって、どうしてもここで「奴隷解放」を
しなければならないと戦うリンカーン大統領の姿に、
声援を送らずにはいられないでしょう。
現代のアメリカを代表する監督が、最も愛される大統領の
人物像にどう迫ったのか、ぜひスクリーンで確かめてください!
今日ご紹介した映画「リンカーン」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■シネプレックス熊本
■ワーナー・マイカル・シネマズ熊本
で、現在公開中です。
映画「リンカーン」オフィシャルサイト
http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/