« 5月20日(月)の魔法のことば  |  5月21日(火)の魔法のことば >

「中学生 円山」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。

今日は、現在公開中の
「中学生 円山」です。

現在放送中の朝ドラ「あまちゃん」が話題の、
脚本家・宮藤官九郎。
いまや、若者だけでなく幅広い層に人気の脚本家となりました。

売れっ子脚本家というだけでなく、俳優、ロックバンド、
エッセイストなど、様々な活動で知られる彼ですが、
今日ご紹介するのは、彼が2009年の
「少年メリケンサック」以来、4年ぶりに監督と
脚本を手がけた3作目の映画です。

漫画原作やベストセラー小説の映画化が多い
日本映画界において、毎回オリジナル脚本で
勝負するクドカンの面目躍如といった作品です。

「中学生円山」というストレートなタイトル通り、
映画の主人公は、家族4人で団地に暮らす、
円山克也(まるやま かつや)という中学生。

彼は、ちょっとエッチな妄想をしつつ、
学校と家との往復を繰り返す毎日でした。
そんなある日、団地の上の階に謎めいた
シングルファーザー下井が引っ越してきます。
ほどなくして、団地のそばで殺人事件が起こり、
克也は下井の正体が凄腕の殺し屋という
妄想を抱き始めるのですが・・・。

クドカン作品の魅力といえば、
日常の中にちょっとそれをはみ出す人や
物事が出てくるところ。
今回は、“中学生の妄想”ということで、
団地の人々をヒーローに仕立てあげたり、
いつも以上にぶっ飛んだ世界観を楽しませてくれますよ。

また、謎のシングルファーザー・下井を演じる草彅剛が
好演、つかみどころのない謎な男として登場し、
実は意外な真相を隠すクライマックスの怒涛の展開が
見事です。さらに劇中では、「よく所属のジャニーズ事務所が
この脚本にOKを出したなぁ・・・・」というシーンがあります。
詳しくはここでは言えませんが、
ヒントだけ言っておくと・・・・「公園」「夜」「踊り」です。

いやー凄い!これは劇場で是非確認してくださいね。
クドカンの凄さが体験できると思います!

他のキャストも豪華です。父親役の仲村トオルは、
少年の妄想の中でヒーローのコスプレで登場しますし、
母親役の坂井真紀は、韓流ドラマに夢中で、
ちょっとドラマと現実が区別できなくなるセクシー主婦を
楽しそうに演じてします。

さらに、韓国映画「息もできない」で監督・脚本・主演を
つとめたヤン・イクチュンが「謎の電気屋さん」で登場など、
豪華なキャストも話題。
ロック好きのクドカンらしく、ミュージシャンの
遠藤賢司が意外な役で出演しているのも見逃せません!
映画の中で2曲も歌うシーンがありますので、
エンケン・ファンは必見ですよ。

音楽というと、劇中のサウンドトラックを
「ZAZEN BOYS」の向井秀徳が担当しているのも、
要チェックです。

とにかく、あらゆる妄想が登場してくる作品です。
「中学生」・・・・特に「中学生男子」は、
「妄想するのが仕事」みたいなところがありますよね。
いわゆる「中二病」というのも、
このころの男子特有の症状です。
この番組のスタッフには、中二からあまり成長していない人が
多いような気がしますけど・・・・。
この映画は、そんな「中学生感覚」を失わない
すべての人に見てほしい作品です。
映画の中で名言がありましたよ。

「考えない大人になるくらいなら、
     死ぬまで中学生でいるべきだ!」

名言です。
男子中学生の頭の中をそのまま映像化したような、
クドカンワールドを堪能できる作品。
「あまちゃん」でクドカンを知った方には、
ぜひ見ていただきたい1本です!

今日ご紹介した映画「中学生円山」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
で、現在公開中です。

「中学生円山」オフィシャルサイト
http://maruyama-movie.jp/


---

本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓