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「シュガーマン 奇跡に愛された男」

 

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日は、今週土曜日・6月1日から公開される
「シュガーマン 奇跡に愛された男」をご紹介しました。
 
今年は、ドキュメンタリー映画の当たり年と言われています。
たくさんのドキュメンタリー映画が公開され、
どれも完成度が高く面白い作品がそろっています。
その中でも、今年一番の注目作と言われているのが、この作品。
第85回アカデミー賞でも「長編ドキュメンタリー」の部門で
受賞するという快挙を成し遂げました。
その内容は・・・・といいますと、わたしたちラジオの業界とも
密接なつながりのある音楽業界を舞台にした「ある幻のシンガー」の
実話を追ったドキュメンタリーです。
 
毎年、世界中で数多くのアーティストがデビューし、
(日本だけで年間400組くらいがデビューするといわれているとか)
その多くが成功を収めることなく、音楽業界から姿を消していきます。
 
FMKにも、年間数千枚近くのCDがレコード会社から届けられますが、
番組でオンエアされるのは、本当に厳選された
一部のアーティストだけです。
アーティストとして音楽業界で生き残るのは、ほんの一握りの人たちだけ。
「才能」だけでもだめだし、「運」もないとヒットは生まれません。
多くの才能あるアーティストが、「運」に恵まれないために
活動を続けられないこともしばしばあることです。
 
この映画の主人公・ロドリゲスも、そんな1人。
1960年代後半にアメリカでデビューし、その音楽性から
“ボブ・ディランを超える”とまで言われながら、
リリースした2枚のアルバムは商業的に大失敗。
ロドリゲスと名前でわかるように彼はヒスパニック系の出身。
その頃のアメリカでは、まだまだエスニックなシンガーを
受け入れる余地がなかったとも言われています。
と・・・・ここまでは、ある意味よくある話なんですが、
ここからがこの映画の面白いところです。
 
アメリカでまったく受け入れられなかった彼の音楽は、
大西洋を渡った南アフリカで大ヒットするのです。
南アフリカでは、ローリング・ストーンズやエルビス・プレスリーをも
しのぐ超有名アーティストとなり、
しかもその曲は、反体制のシンボルとなっていました。
当時の南アフリカでは、「アパルトヘイト」という人種隔離政策が
行われていて、多くの白人優位な差別的な政策がとられていました。
ロドリゲスのメッセージ・ソングは、そんなアパルトヘイトに反対する
民衆の声を代弁するものになっていったのです。
 
アメリカでは、ほとんど誰も知らないのに、
南アフリカでは超有名アーティストになったロドリゲス。
しかしその消息は誰も知らず、「ステージで自殺した」とか
「ヒットがなく失意のうちに亡くなった」との噂がささやかれていました。
 
この映画は、南アフリカの熱狂的なファンが、そんな伝説のミュージシャン
ロドリゲスの消息を調べる姿を追ったドキュメンタリーです。
前半は、アルバムのプロデューサーや、仕事仲間などのインタビューから
ロドリゲスの人柄や音楽の魅力が語られていきます。
そして後半は、本当に驚きの展開が待っています。
亡くなったと思われていたロドリゲスの驚愕のその後の人生が語られ、
さらに物語は観客のまったく予想しないエンディングを迎えるのです。
果たして、本当のロドリゲスはどんな人物なのか?
そして物語はどういう結末を迎えるのか・・・?
 
この先はぜひスクリーンでご覧になってください。

1時間40分くらいの映画なんですが、夢中で見ていると
終わったあと更に短く感じました。
そして、音楽が本当に素晴らしい。
サントラもとても良く、イメージとしてムッシュカマヤツが
英語の歌を歌った感じに近いなと僕は思いました。
 
最近あまり感動する映画に出会っていないというあなた、
是非ホンモノの感動に出会ってください。 
音楽は、時代も国境も超えて、人の心を動かすんだと。
改めて音楽の素晴らしさを感じる1作です!
 
今日ご紹介した映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」は、
■Denkikan
で、今週土曜日・6月1日から公開されます。
 
「シュガーマン 奇跡に愛された男」オフィシャルサイト
http://www.sugarman.jp/
 

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