「グランド・マスター」
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
今日は、現在公開中の「グランド・マスター」をご紹介しました。
カンフー映画といえば、今でもブルース・リーを連想するかたは
多いんじゃないでしょうか?
今日ご紹介するのは、そのブルース・リーの師匠としても知られる
実在の武術家イップ・マンの知られざるエピソードを描いた映画です。
監督は、「恋する惑星」や「花様年華(かようねんか)」などで
世界的に評価されるウォン・カーウァイ。
実験的な映像美で数々の名作を監督してきた香港の鬼才。
特に、優雅なカメラワークとスローモーションを多様することが
有名で「映像の詩人」と呼ぶ人もいます。
独特の映像美とラブストーリーの語り手として知られる
ウォン監督とカンフーって、ちょっと結びつかないかもしれませんが、
これが想像以上に相性がいいんです!
武術の、舞のような動きの美しさと、ストイックな武道の精神が
恋愛映画のようなロマンティックな雰囲気を作り出しているんですね。
そのストーリーなんですが・・・、舞台は1930年代の中国。
中国武術の一派・八卦掌(はっけしょう)のグランドマスター、
ゴン・バオセンは引退を決意し、一番弟子のマーサンと、
詠春拳(えいしゅんけん)の使い手
イップ・マンを自分の後継者に考えていました。
そこに、ただひとり奥義を受け継ぐバオセンの娘・ルオメイも
名乗りを挙げます。
ところがマーサンがバオセンを殺害。
八極拳(はっきょくけん)の使い手である謎の男カミソリも現れ、
後継者争いは複雑な様相を見せていきます。愛と憎しみ、
野望がからむ後継者争いの行方はいったいどうなるのか・・・?
イップ・マンを演じるのは、ウォン・カーウァイ作品ではおなじみの
トニー・レオン。
これまであまりアクション俳優としてのイメージがなかった彼が、
47歳からなんと足掛け4年のトレーニングに耐え、
初の本格カンフーアクションに挑んでいます。
初の本格カンフーアクションに挑んでいます。
伝説の武術家の戦いぶりを見事に演じきっています。
ルオメイには、「グリーン・デスティニー」のチャン・ツィイー。
謎の男カミソリには、「レッド・クリフ」のチャン・チェンと、
キャストには、アジアの大スター、美男美女がが勢ぞろいしている感じです。
アクション・シーンの演出は、香港映画界ナンバーワンのアクション監督
ユエン・ウーピンが担当。「マトリックス」や「キル・ビル」の
アクション監督をつとめ、それ以降の世界のアクション映画の潮流を変えたと
言われるワイアー・アクションの巨匠です。
今回の作品では、ユエンのアクション演出とウォン監督の優雅な
カメラワークが一体となって、誰も見たことのない美しい
アクション・シーンが生み出されています。
カンフー映画は男性が見るものと思っている、
女性の方にこそぜひ見ていただきたい、
スタイリッシュな作品ですよ!
イップ・マンは、ブルース・リーの師匠だと紹介しましたが、
映画のエンディング近くで、イップ・マンにクンフーを習う少年が
登場してきます。
映画の中では、特に説明がありませんが、この少年の顔が、
ブルース・リーにそっくりなんですね。
ブルース・リーがハリウッドで成功したことによって、
中国武術は、世界に広まっていった訳ですから、このシーンは重要です。
このあたりも見逃さないでほしいポイントです。
今日ご紹介した映画「グランド・マスター」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■シネプレックス熊本
■ワーナー・マイカル・シネマズ熊本
で、現在公開中です。
「グランド・マスター」オフィシャルサイト