「俺俺」
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
今日ご紹介するのは、現在公開中の「俺俺」です。
この映画は、テレビドラマ「時効警察」や
映画「亀は意外と速く泳ぐ」、「転々」、
「インスタント沼」などで知られる
個性派監督・三木聡と、アイドルグループ
KAT-TUNの亀梨和也が
コンビを組んだ作品です。
そんなアイドル亀梨くんが出演を念願していたというのが、
三木聡監督の作品でした。三木監督といえば、
画面のあちこちに散りばめられた小ネタと、
ちょっと不条理な世界観が特徴ですよね。
そこに王道のジャニーズアイドルという組み合わせ、
もしかしたら「あまり合わないかも・・・」と
思われるかもしれませんが
これが意外とハマっているんです。
主人公は、家電量販店で働く均という平凡な男。
代わり映えのない毎日を送っていた彼は、
なりゆきで「オレオレ詐欺」をしてしまったことから、
おかしなことに・・・。
なんと、均の前に同じ顔をした
もう一人の「俺」が現れたんです。
「俺」は次々に増えていき、奇妙な心地よさを
感じていた均でしたが、やがて「俺」の存在をかけた、
「俺」同士の戦いに変わっていきます。
この映画、ワイドショーなどでも取り上げられて
いたのでご存じの方も多いと思いますが、
見どころは、亀梨くんが33人もの「俺」を
演じ分けるところ。顔は同じだけど、
性格や環境の違いによって、全く別の人物として
見事に演じています。
これは、歌手だけでなく俳優、キャスター、
バラエティなど、それぞれのジャンルで活躍する
“ジャニーズアイドル”だからこそ
出来るワザとも言えますよね。
共演は、内田有紀と加瀬亮。
もちろん三木作品には欠かせない、ふせえり、岩松了、
松重豊トリオも出演していますので、
ファンの方はどうぞお楽しみに!
ストーリーだけを聞くと、かなりコメディタッチな作品に
聞こえるかもしれませんが、この映画の真のテーマは
「自分と向き合うこと。そして他人とかかわること」。
映画の中で増えた自分と過ごすうちに
「自分だけの世界って最高!自分だけだと余計な気を
使わなくってすむからねー」というセリフが出てきます。
楽しそうに見えるこの関係が、それから意外な歪みを
見せていくんですが、そのへんの展開が、
日本映画には珍しいシュールなものになっていきます。
ちょっと日本版デビット・リンチみたいな作品と
言えるかもしれません。
今日ご紹介した映画「俺俺」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■シネプレックス熊本
で、現在公開中です。
「俺俺」オフィシャルサイト