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株式会社 音楽之友社

企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は、「音楽の友」、「レコード芸術」などの
雑誌や楽譜、教科書などでおなじみ、
「株式会社音楽之友社」のヒミツに迫ります。

株式会社 音楽之友社は、昭和16年創立。
音楽の総合出版、並びに音楽ホール運営事業を
展開しています。
 
編集部では、音楽の友、レコード芸術、ステレオ、
バンドジャーナル、ムジカノーヴァなど
 
出版部では、書籍編集、楽譜・教科書・理論書・
企画開発、教育音楽
 
営業部では取次・楽器卸、教科書教販、受注、宣伝などを
手掛けています。
 
お話を伺ったのは、
株式会社音楽之友社 代表取締役社長 堀内久美雄さんです。

Q 「音楽之友社」という社名の由来を教えて下さい。
 
「音楽之友社」の由来
 
 弊社は「音楽世界」「月刊楽譜」「音楽倶楽部」の
音楽雑誌3誌発行元が合併したことにより誕生しました。
 
下記沿革を参照下さい。社名については、直接の記録は
残されていませんが、3誌とは異なる名前にすること、
より一般的に音楽愛好家に理解しやすい名前を付けると
いうことで、「音楽之友」という誌名が決まり、
社名も決まって行ったかと考えております。
 
音楽之友社の沿革
 
音楽之友社創立に先立つ1916年(大正5年)、
大田黒元雄が「音楽と文学」を創刊、野村光一、菅原明朗、
堀内敬三など、洋楽黎明期の主な執筆者が
この雑誌から登場しました。
同誌は主要執筆者の留学などにより3年ほどで休刊と
なりましたが、上記4人を中心とする執筆者は、
その後も洋楽普及活動の中心人物として
各音楽雑誌で活躍しました。
 
開戦直前の1941年(昭和16年)12月、紙の使用制限を
目的とした政府の第一次音楽雑誌統合令により、
「音楽世界」「月刊楽譜」「音楽倶楽部」の3誌発行元が
合併し、匿名組合音楽之友社が設立され、
新雑誌「音楽之友」創刊号を同年12月1日に発行いたしました。
この日をもって弊社の創立日といたしております。
その後1943年9月第二次統合により、
統合会社日本音楽雑誌株式会社と社名変更し、
雑誌「音楽文化」「音楽知識」を発行することとなりました。
 
1945年8月15日の終戦後は、「音楽知識」10月号を
1945年10月1日に刊行、1946年1月号より「音楽知識」を
「音楽之友」に誌名変更して刊行、また同年12月の
株主総会で社名も株式会社音楽之友社といたしました。
 
1946年12月には「教育音楽」を、1952年3月には、
「レコード芸術」を、1959年10月には「バンドジャーナル」を、
1963年6月には「ステレオ」を創刊し、刊行を続けております。
 
このように弊社は雑誌出版から社業を始めましたが、
1946年の終戦直後から楽譜、書籍を多数出版、
その後音楽教科書の発行も手がけ、1973年からは
ウィーン原典版日本版をユニヴァーサル・エディション社、
ショット社との協力で刊行し、日本の音楽界に「原典」を
重視する考え方を提唱するなど、クラシック音楽の
総合出版社としての途を歩んでまいりました。
 
音楽学習者向き辞典類・理論書・教材の発行も
弊社の重要な使命として出版を続け、高い評価を
いただいております。
 
また本社には220名収容の小ホールが併設されており、
豊かな残響を生かした室内楽・声楽などの演奏会に
ご利用いただいております。
 
2011年に創立70周年を迎えるに先立ち、創業に先立つ
時代からの一貫した理念を、
〈音楽の力を信じ 音楽の心を伝えたい〉という言葉として
集約いたしました。先達の志を受け継ぎつつ、
弊社はこれからも音楽を愛する人々と強い絆を結び、
時代を見据えた出版活動を続けてまいります。
 
Q 「音楽之友社」を代表する出版物といえば、
雑誌「音楽の友」ですが、この雑誌は、いつごろ、
どんなきっかけで作られた雑誌なのでしょうか?
 
上記の沿革の通り、音楽系3雑誌が、紙の節約を目的にした
「音楽雑誌統合令」により統合した結果、生まれたものです。
それ以前は「音楽世界」「月刊楽譜」「音楽倶楽部」が
刊行されていました。
 
Q 「音楽の友」の編集コンセプト、
これまでのヒット特集企画などを教えてください。
 
「音楽の友」のコンセプトについて
 
 音楽を聴く人、愛好する人、学ぶ人のために、
有用な情報を網羅するように作られています。
また、創業以来の理念を表現した
〈音楽の力を信じ 音楽の心を伝えたい〉という
コーポレート・アイデンティティに忠実に作ってゆきたいと
考えています。
 
良い演奏からは、どんな人に対しても暖かいメッセージが
伝わってくるものと信じており、誌面からも
そのメッセージを伝えてゆきたいと考えています。
 
ヒット企画について
 
定期的に購入していただいている方、見ていただいている
方が多いので、大きなヒットということとは
若干異なりますが、毎年12月19日発売の1月号は
カレンダーが付き、他の月よりも売上部数も多くなります。
また、楽譜やメモ帳が入る特注コンサート用バックを
付けた昨年7月も、例年号より売上は上がりました。
また他の雑誌で言えば、スピーカーユニットやアンプを
付録に付けた雑誌「ステレオ」は、売上も非常に多くなり、
売り切れに近い状態になります。
 
Q 「音楽之友社」では、たくさんの楽譜なども
発行されていますが、最も売れた楽譜はどんなものですか?
また特色ある楽譜などあればご紹介ください。
 
楽譜は、非常にたくさんの点数を出しており、
しかも毎年70点ほどの新刊も出しています。
それぞれ大切に作っており、特色も異なるので、
一言で言うのは困難です。ピアノ用で言うと、
標準版New Editionシリーズは、現代のお子さんたちが
学びやすいように、解説を充実させた定番楽譜で、
すべてこの5年ほどの間に版から作り直しました。
「ブルクミュラー 25の練習曲解説付(New Edition)」などが
好評です。累計部数で言えば、1954年刊行の
「子供のためのソルフェージュ1a」、
67年刊行の「新版こどものバイエル」などが、
多くの方に使っていただいております。
 
書籍は、「楽典 理論と実習」という書籍は、
音楽学校などの教科書として使われる定番ですが、
一般書籍のベストセラーと違って、1年でたくさん売ると
いうものではありません。
こちらは、1965年初版で、もともと活版で作られていたので、
長年の間に版がすり切れ、読みにくくなっていたので、
全く形を変えずに、最新の技術できれいに作り直しました。
長年お使い頂くものは、それなりに途中の
メンテナンスが必要です
 
Q そのほか「音楽之友社」の出版物に関する
なにか面白いエピソードなどあればお願いします。
 
創業に関わったグループが作った最初の音楽雑誌
「音楽と文学」から、あと3年の2016年に100年になります。
またその年は3誌合併でできた当社の創立75年の年でもあります。
〈音楽の力を信じ 音楽の心を伝えたい〉という思いを、
多くの皆様と共有しつつ、音楽の素晴らしさを伝え、
また音楽を知る手引きとなる教材や辞書、
楽譜などを丁寧に発行してゆきたいと思います。
                                                               
本日お話を伺ったのは、
株式会社音楽之友社 代表取締役社長 堀内久美雄さんでした。
 
堀内さん、ありがとうございました。
 
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