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「株式会社 福音館書店」

企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
 
今日は「ぐりとぐら」、「ピーターラビットのおはなし」、
「ディック・ブルーナの絵本」などでおなじみ、
今年で創立61年を迎えた子どもの本の専門出版社
「株式会社 福音館書店」のヒミツに迫ります。
                                               
「株式会社 福音館書店」の創立は1952年(昭和27年)2月1日。
石川県金沢市にあった「福音館」という書店が
母体となっています。
当初は「福音館小事典文庫」シリーズという
ポケット版の中学生用の小事典の刊行から出発し、
高校生、一般読者向けの各種辞典を出版していました。
 
この「小事典文庫」が徐々に評価を得て、
出版部門が東京に進出させたのが1952年の8月。
1956年には、月刊の物語絵本『こどものとも』を出版。
これは毎号1つの物語に一人の画家が挿絵を描き、
ペーパーバックの廉価版として刊行された
画期的な月刊誌でした。

この「こどものとも」の作品の中から『ぐりとぐら』をはじめ、
『はじめてのおつかい』や『ぐるんぱのようちえん』
『しょうぼうじどうしゃじぷた』など、
今でも多くの子どもたちに読み継がれている作品が
数多く生まれています。その後、外国の絵本の
翻訳出版、日本の創作絵本の出版も開始。
子どもの本に関して、
さまざまなジャンルの出版を続けています。
 
お話を伺ったのは、株式会社 福音館書店 広報宣伝部長
黒田 健児さんです。
黒田さん、おはようございます。
 
Q 「福音館書店」という社名の由来を教えて下さい。
 
今の福音館書店は金沢市の書店が元になっていますが、
その書店のルーツをたどると1916年にまでさかのぼります。
もともと「福音館」という書店は、
カナダのメゾジスト教団の宣教師によって、
聖書・賛美歌とキリスト教関係の図書を扱う
文書伝道の店として金沢駅に近い白金町というところに
創立され、その後、香林坊という場所に1927年に移りました。
 
昭和初期には一般書籍を扱うようになりますが、
第二次世界大戦が始まり、いよいよ日本の参戦が
避けられないとなったときに、カナダ宣教師団が
全員引き上げることになり、所有財産を処分する際、
当時の営業責任者であった佐藤喜一に土地、建物、
在庫、営業権を譲渡されたとのことです。
 
戦後は、「小事典」の刊行以前は、受験勉強用問題集の発行や、
キリスト教会向けの分冊「子供のための聖書」、
日曜学校用のカード類やクリスマス用品の製作と
販売に力を注いでいました。
現在の福音館書店はカナダ宣教師団とは
正式の関係はありませんが、このような歴史を見ても、
書店の「福音館」の創設はカナダのメソジスト協会の
多くの信者の祈りや願いと、彼らの尊い献金に支えられて
日本にまかれた一粒の種といえ、この「福音館」という
名称は聖書の信仰に基づいた歴史を持っていると言えます。
 
Q 「福音館書店」では、さまざまな書籍、
絵本などを出版していますが、もっともヒットした本は
なんですか?いつごろの本ですか?
またどんな内容の本ですか?
 
たとえば『おおきなかぶ』や『エルマーのぼうけん』と
いった小学校の国語の教科書でもなじみの作品など、
福音館書店には多くの人に、長く読み継がれた絵本が
たくさんあり、累計部数が100万部を超えた作品も50作品に
のぼります。
 
その中でも一番の販売部数は、やはり『ぐりとぐら』になります。
「このよで いちばん すきなのは
おりょうりすること たべること」という
、野ねずみのぐりとぐらが、森でみつけた大きな卵で
カステラを作るお話で、黄色くて大きなカステラの場面を
覚えている方も多いのではないでしょうか。
当時『いやいやえん』という童話をすでに出版していた
中川李枝子さんの文に、妹の山脇百合子さん
(当時は大村百合子さん)が絵をつけた姉妹による
初めての絵本作品で、今でも世代を越えて親しまれています。
 
『ぐりとぐら』は、もともとは1963年、月刊誌「母の友」に
「たまご」というタイトルで読みきりのお話として
登場したもので、それが月刊絵本「こどものとも」として
同年に刊行され、1967年には書籍化されました。
現在までに198回の重版がかかり、
累計では477万部を超えるまでになっています。
「ぐりとぐら」のシリーズには7つの物語と手のサイズの
小型絵本などがありますが、書籍だけで1800万部以上、
ペーパーバックの月刊絵本をあわせると2400万ぶ近い
部数を発行しています。
 
また、『ぐりとぐら』は日本のみならず世界各国でも
親しまれている作品です。
1967年に英語版が最初に翻訳本され、
これまでに英語、デンマーク語、中国語(繁体字・簡体字)、
韓国語、フランス語、タイ語、オランダ語、
ハンガリー語、クメール語、タミル語、シンハラ語、
スペイン語の13言語に翻訳されています。
 
Q 子供たちに人気の「ぐりとぐら」が50周年だそうですね。
どんな内容の本ですか?
また、さまざまな50周年記念企画が用意されている
そうですね。ご紹介ください。
 
『ぐりとぐら』は先ほどお話したように1963年に
ペーパーバックの月刊絵本として刊行されて、
今年で誕生50周年を迎えました。
海水浴に出かけた「ぐりとぐら」がうみぼうずと出会い、
くじらおよぎやイルカジャンプといったたくさんの
泳ぎを覚える『ぐりとぐらのかいすいよく』や、
雪の上の大きな足跡を追っていくと、
自分たちのおうちでケーキを焼いてくれる
サンタクロースのおじいさんと出会う
『ぐりとぐらのおきゃくさま』など7つの物語作品があります。
そして、この9月には、50周年を記念して特別商品を
新たに2点刊行しました。
 
ひとつは手のひらサイズの小型絵本である
『ぐりとぐらのあいうえお』『ぐりとぐらのしりとりうた』
といった7冊の絵本をペーパーバックにして、
かわいいミニトートバッグとセットにした
『ぐりとぐらといっしょにおでかけ絵本』(定価3150円)です。
「ぐりとぐら」のシリーズは、著者の中川李枝子さん、
山脇百合子さんご姉妹の「ぐりとぐら」は
“子どもたちに絵本の中の世界で楽しんで欲しい”という
強いご希望もあり、商業的な商品化を一切していませんので、
今回特別に許可をいただいて制作したセットに付いている
ミニトートバッグはお子さまにきっと喜んでいただけると思います。
 
もうひとつは『ぐりとぐらのてづくりブック』
(定価1050円)という商品で、こちらは「ぐりとぐら」
シリーズに登場するカステラやクリスマスケーキのレシピや、
折り紙で作る「ぐりとぐら」やカラーてぶくろで作る
小さな人形のつくり方などをまとめたページに、
絵本の世界を立体的に表現したペーパークラフトの
キットが付いた絵本です。ペーパークラフトは
2種類入っていますので、ぜひ親子で手作りの喜びを
味わっていただき、「ぐりとぐら」の絵本の世界を
楽しんでいただきたい作品です。
ともに、限定商品となりますので、
お子さまが通われている幼稚園・保育園、
お近くの書店さんか弊社通信販売等でお求めください。
 
Q そのほか「福音館書店」の本に関する
なにか面白いエピソードなどあればお願いします。
 
今回、「ぐりとぐら」の50周年を記念して11月に
刊行する作品がもう1点あります。
それは『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』
(定価3885円)という作品です。
私たちは、日本中の全ての子どもたちに絵本を
楽しんでもらいたいという思いで出版活動をしていますが、
実は目の不自由な子供たちが楽しめる絵本というのは
少ないというのが現状です。
これまでにも“さわる絵本”や“点字絵本”というものは
出版されていますし、近年、
「点字つき絵本の出版と普及を考える会」から
“てんじつきさわるえほん”というシリーズが刊行され、
目の不自由な子供たちが絵をさわってお話を
楽しめるだけでなく、目の不自由な親御さんにとっても
点字でお子さんに絵本を読んであげることができる、
そういうバリアフリーの絵本が刊行されています。

今回刊行する「ぐりとぐら」の絵本は目の不自由な人と
目の見える人が一緒に楽しめるように作りましたので、
2つの絵、2つの文字が印刷してあります。
元の絵本の絵はそのままに、文字は弱視の人にも
見やすいように少し太い書体で印刷しています。

さわってみる絵は、さわったときにわかり易い形、
手ざわりになるように絵柄を少し変えて、
絵の位置も移動させています。
文字は原文そのままに点字に置き換えています。
さわってみる絵と点字は透明の盛り上がるインクで
印刷されてますので、ちょっと見ただけではわかりませんが、
2つの絵は重なってはいません。
目の見える子供も大人も、目を閉じてさわって
この絵本を楽しんでみてください。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催も決定し、
ハンデのある人もない人も共に生きる社会を作ろうという
機運がますます高まっていくでしょう。
ぜひバリアフリーを考えるきっかけに
この絵本が利用されることを願っています。
 
Q  そのほか、オススメのサービス、
キャンペーンなどPRしたい案件があればお願いします。
 
最後も「ぐりとぐら」のことになりますが、
現在2つのキャンペーンをおこなっています。
ひとつは「ぐりとぐら お絵かき大募集」キャンペーンです。
お子さま対象のお絵かきキャンペーンで、
「ぐりとぐら」の卵の車の絵柄が印刷してある
「お絵かき台紙」に自分たちが乗っているところを
描いて専用の応募フォームから写真や画像にして
送っていただくと、投稿していただいた画像を
WEBページに公開し、さらに「ぐりとぐら」から
お礼のハガキが届くというキャンペーンです。
 
お絵かき台紙はお近くの書店店頭で配布しているほか、
図書館や幼稚園、保育園でのお話会などで
配布されている場合もありますので、ぜひお尋ねください。
また、弊社のホームページでもダウンロードできますので、
そちらもご活用ください。
もうひとつは「シールを集めてグッズをもらおう」
キャンペーンです。こちらは、期間中「ぐりとぐら」
シリーズについている応募シールを集めてご応募いただくと、
シール1枚数で毎月抽選で1000名様に「ぐりとぐら」の
すごろくが当たります。
 
また、7枚まとめてご応募いただければ、
すごろくに加えオリジナルのトートバッグを応募者全員に
プレゼントいたします。7枚まとめてご応募いただいた
方の中からは、さらにWチャンスとしてお子さま用の
エプロンや弊社月刊誌の1年間定期購読が抽選で当たります。
各キャンペーンは弊社ホームページで詳しく紹介しています。
書店店頭でもご案内していますので
ぜひ、書店に足を運んでいただければと思います。
 
今日は「ぐりとぐら」、「ピーターラビットのおはなし」、
「ディック・ブルーナの絵本」などでおなじみ、
今年で創立61年を迎えた子どもの本の専門出版社
「株式会社 福音館書店」のヒミツに迫りました。
 
お話を伺ったのは、株式会社 福音館書店 広報宣伝部長
黒田 健児さんでした。
黒田さん、ありがとうございました。
 
株式会社 福音館書店 オフィシャルサイト

「ぐりとぐら」に会える本
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この他にも楽しい絵本がたくさんあります。
詳しくは上記オフィシャルサイトをご覧ください☆
 
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