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「ランナウェイ/逃亡者」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の
「ランナウェイ/逃亡者」です。
 
俳優として活躍しながら
映画監督に挑戦する人は結構多いですよね。
日本でも、小栗旬や役所広司が映画を撮って
話題になりました。しかしコンスタントに作品を撮り続け、
しかも高い評価を得る人となると、
日本でも海外でも、数はぐっと少なくなります。
今日ご紹介する「ランナウェイ/逃亡者」は、
そんな数少ない役者兼映画監督、
ロバート・レッドフォードの監督・主演最新作です。
 
ロバート・レッドフォードと言えば、
70年代のハリウッドを代表する俳優です。甘いマスクと
素晴らしい演技力で数々の名画に主演しています。
「明日に向かって撃て」、「スティング」、
「追憶」、「大統領の陰謀」、「華麗なるギャツビー」
などなど。華やかなハリウッドを代表する俳優です。
 
1980年の「普通の人々」で監督デビューしてからは、
どちらかというと監督やプロデューサーとしての
仕事を中心に活動するようになりました。
彼が主催する「サンダンス映画祭」などは、
新人の登竜門として世界的に有名な映画祭となっていて、
数々の才能がこの映画祭から旅立っています。
つまり、役者としても裏方としても、
類まれない才能を持った「映画の申し子」、
それがロバート・レッドフォードなのです。
 
今回、レッドフォードが題材に選んだのは、
1970年代、ベトナム戦争反対を訴えて
アメリカで連続爆破事件を起こし、
人々を震え上がらせた実在の過激派組織・「ウェザーマン」。
1975年、ベトナム戦争が終結したのと共に、
組織はバラバラになり、主要メンバーの多くは自首したり、
逮捕されていましたが、一部には行方が
分からなくなったものもいたと言います。
 
レッドフォード演じる主人公は、そんな行方を
くらませた元メンバーのジム。
弁護士として、男手1つで娘を育てながら穏やかに
暮らしていた彼ですが、30年後に元メンバーが
逮捕されたことから、危険を感じ、再び逃亡。
マスコミとFBIがジムを追う中、30年間の逃亡の
裏に隠された驚くべき真実が明らかになっていきます。
 
ジムを追う新聞記者には、「トランス・フォーマー」で
おなじみの若手俳優シャイア・ラブーフ。
爽やかな青年のイメージですが、
今回は、スクープを狙う野心家の記者を好演しています。
また、逃亡の途中、ジムが訪ね歩く元メンバーたちを、
ニック・ノルティやジュリー・クリスティなど、
豪華なキャストが固めているのも見どころ。
最後までドキドキと手に汗握る、見ごたえのある1本です!
 
今回の映画は、キャスティングが素晴らしいです。
往年の名優と若手実力派の俳優をバランスよく配分し、
1970年代のベトナム反戦運動がどういうものか知らない
観客にも、その当時の様子を実感できるように
ストーリーが進行してゆく構成も見事です。
 
「ベトナム反戦の過激派に正義はあったのか?」
 
「彼らは今、何を考え、どう過ごしているのか?」
 
「新しい時代に彼らは何を伝えたいのか?」
 
そんな疑問に映画の登場人物が、様々な立場で
答えていきます。ある視点でみると「正義」なものが、
別の視点からみるとまったく違って見えてくる・・。
いわゆる勧善懲悪のハリウッド映画と違った深みを
持った作品になっていますので、じっくりと鑑賞して
いただきたい作品です。
 
今日ご紹介した映画「ランナウェイ/逃亡者」は、
■シネプレックス熊本
で、現在公開中です。
 
「ランナウェイ/逃亡者」オフィシャルサイト
 
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