「株式会社にんべん」
企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は「株式会社にんべん」のヒミツに迫ります。
「株式会社にんべん」は、創業元禄12年(1699年)から
現在まで314年間続く、鰹節専門店です。
今では鰹節を初め、鰹節派生商品として、
つゆの素・ふりかけ・炊き込みご飯・だしの素、惣菜等。
全温帯(常温からチルド、冷凍まで)の商品を
取り扱っている会社です。
お話を伺ったのは、株式会社にんべん 経営企画部
部長 戸田山伸一さんです。
Q「にんべん」という社名の由来を教えて下さい。
初代伊兵衛は、店の屋号を「伊勢屋伊兵衛」とし、
暖簾印(商標)には“伊勢屋”と“伊兵衛”から
イ(にんべん)をとり、商売を堅実にするための
金尺の¬(かね)をあわせてイ¬(かねにんべん)としました。
江戸町民達は「伊勢屋」の代わりに、誰ということなく
「にんべん」と呼ぶようになり、
今日の当社の社名となっています。
社名変更「伊勢屋伊兵衛」→
大正7年「株式会社髙津商店」→
昭和23年「株式会社にんべん」
Q「にんべん」の一番のヒット商品は何ですか?
最初にいつごろ発売された商品ですか?
これまで累計どのくらい売れた商品ですか?
つゆの素 昭和39年 来年で50周年
フレッシュパック 昭和44年 来年で45周年
つゆの素50年、フレッシュパック45年ですので
累計個数は計りかねませんので、
昨年の販売個数を申上げますと、
つゆの素18,700,000本、
フレッシュパック14,500,000個です。
Qそのヒット商品の開発のポイントは?
つゆの素:一般小売店がメインで販売。
当時はすでに他社メーカーでめんつゆが
商品化されましたが、天然だし(動物性)を使用した
つゆはありませんでした。
品質的に保存が出来ないためです。
当社は天然だし(かつお節・昆布等)を使用し、
尚かつ保存できるように商品化しました。
また、めんつゆとしてもちろんの事、
色々な料理の調味料として使用できるように
開発致しました。
フレッシュパック:贈答品がメインで百貨店で販売。
当時の外袋は含気包装で空気(酸素が混入)が
混入しているため、削り節の酸化により、鰹節の本来の味、
香りはなくなり、生臭みが出ていました。
繰り返し研究の末、酸素を通さないフィルムを開発し、
またフッ素ガス充填(酸素を除去する)することにより、
本来の削りたての美味しい状態を長期に保存できるように
なりました。
10年後の昭和54年にはフレッシュパックが業界の発展に
貢献したことで、農林水産祭・水産部門において
天皇杯を受賞致しました。
Q「にんべん」の長い歴史の中で
印象的なエピソードなどあればご紹介ください。
現在、かつお節は関東地方では「枯れ節」、
関西地方では「荒節」が好まれて使われています。
過去に遡ると100万都市であった江戸時代、
江戸には大阪を経由して船で鰹節を運ばれていました。
船で運ぶ道中に湿気により鰹節にカビが生えてしまい、
生える側からカビを落とす事をしていました。
ある時、何度もカビが生えた鰹節が香りが良くなり、
美味しくなることに気がつきました。
そこで江戸の鰹節問屋は何度もカビを生やす鰹節の
製造を江戸に近い産地である伊豆や安房といった地域と
連携して積極的に製造を行いました。
江戸の鰹節問屋とは「にんべん」を初めとする
鰹節屋だったのです。
そして江戸ではカビを何度も付け熟成して完成した
「本枯鰹節」が広く普及したのでした。
江戸時代のこうした経緯が現在でも鰹節における
地域の嗜好として色濃く残っています。
Qそのほか「にんべん」の商品に関する
なにか面白いエピソードなどあればお願いします。
25年ほど前になりますが、めんつゆをより美味しく
食べていただくため、つゆの素とは別にだしの入った缶を
商品化いたしました。
商品名「瞬間だし缶」つゆの素を水で希釈するかわりに
だし缶で希釈することにより、よりだしの効いためんつゆで
食べていただこうと考えたわけです。
しかしながら、だし缶の中にだしパックが入っていたため、
当時お客様から異物として見られ、
商品を終売せざるを得ませんでした。
当時としては画期的なアイデア商品でした。
Qそのほか、オススメのサービス、
キャンペーンなどPRしたい案件があればお願いします。
1.日本橋本店に併設している「日本橋だし場」の
かつおだしドリンク(コレド室町オープンから約3年で、
36万杯飲まれるほど美味しいドリンク)がおすすめです。
また10月13日本店はリニューアルオープンとなり、
オープニング謝恩セールを開催いたします。
2.お客様のご支持いただきました日本橋だし場とは別に、
来年の3月には新店舗和食レストラン
「日本橋だし場はなれ」をオープン致します。
3.来年は創業315年、つゆの素50年、
フレッシュパック45年、節目の年になるため全社挙げて
お客様に対して日頃の感謝を込めてキャンペーンを
実施する予定です。
今日、お話を伺ったのは株式会社にんべん経営企画部
部長 戸田山伸一さんでした。
戸田さん、ありがとうございました。
「株式会社にんべん」オフィシャルサイト