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「九州活版印刷所」

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする
「ヒューマン・ラボ」。
 
今日は熊本市中央区練兵町の早野ビル1階にある
「九州活版印刷所」代表長島裕介さんをゲストに
お迎えして、活版印刷の魅力など、詳しく伺いました。

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Q お名前と肩書きなどを教えて下さい。
 
名前:長島裕介(ながしまゆうすけ)
肩書き:合同会社 九州活版印刷所 代表
 
Q 「九州活版印刷所」の基本情報を教えて下さい。
 
住所:熊本市中央区練兵町45番地 早野ビル1階
ホームページ:http://nine-letterpress.com/
店休日:日曜・月曜・水曜
(土曜はイベントの場合は出張のためお店はお休みとなります。
Facebookページにてお休みの案内をしていますので、
そちらでご確認下さい。)
 
Q 長島さんが九州活版印刷所を開くまでの、
お仕事に関するプロフィールを教えて下さい。
 
グラフィックデザイナーの専門学校で学び、
熊本市内のデザイン会社に勤務し、天草に帰郷。
天草の印刷会社にデザイナーとして十数年勤務。
印刷会社で得た経験を生かし、活版印刷を始める。
現在もフリーランスのデザイナーとしても仕事をしています。
 
Q 「活版印刷」とはどんな印刷方法ですか?
歴史的な概要や印刷工程、印刷物に見られる
特徴などを教えて下さい。
 
活版印刷は版というものを制作して、それにインクを塗り
紙へと転写する印刷です。版を作ったりするので
現在の印刷に比べるとコストもかかり、手間隙が掛かります。
版を使って印刷するため、版の凹凸が紙に現れ、
その質感が皆さんに喜ばれています。
自動の活版印刷機もあるのですが、私の場合はあえて
手動の印刷機を使い、手間隙かかりますが、
味がある仕上がりになりますし、一枚一枚確認しながら
丹精込めて印刷できるのも魅力的です。
 
Q 「活版印刷」と「天草」の歴史的なつながりについて教えて下さい。
 
1591年、天正遺欧使節が持ち帰ったグーテンベルグ式印刷機が
長崎県の加津佐で使われたのが日本における活版印刷の始まりで、
そこから天草コレジヨへ設置。
当時、ヨーロッパの出版部数が300~500部といわれていた中で、
天草コレジヨでは1500部以上が印刷されていたといわれており
「伊曽保物語」「平家物語」などの「天草本」と呼ばれる
印刷物が刊行されました。
 
Q 熊本市で「九州活版印刷所」を始めたきっかけを教えて下さい。
 
だいぶ前から活版印刷機を所持していたのですが、
始めたのはつい最近です。
やはりはじめるきっかけになったのは活版印刷が天草での歴史に
関わりが深かったことと、アナログの良さを再認識した為、
天草で活版印刷ワークショップをメインに始めました。
そこで、お客さんが本当に楽しそうに活版印刷をしている姿を
まのあたりにし、こんな楽しいものを、もっとたくさんの方々に
知ってもらいたいという思いから、天草だけではなく
多くの方々に知ってもらうために九州の拠点となるよう
熊本市にオープンしました。
また、若いデザイナーなどりクリエイターにもこのような手法の
印刷もあるんだよと後進へ伝え残していけたらと考えています。
 
Q 長島さんが思う「活版印刷」の魅力を教えて下さい。
 
やはり一番の活版印刷の魅力は凹凸ある印刷だと思います。
その凹凸が立体的な質感となり、手触り感がとても魅力的です。
私がはまった原因でもあるのですが、400年前からある
古典的な手法にも関わらず、アイディア次第では
新しい表現方法として面白いことが出来る楽しい印刷技法で、
こんなことも出来るのかと無限の可能性を秘めているところが
大好きです。
 
Q 「九州活版印刷所」で出来る印刷物について教えて下さい。
これまでどんなオーダーを受けましたか?
また、どんなワークショップを開催しましたか?
 
名刺やハガキ。本の表装やコースターなど、多岐にわたりますが、
こんなことは出来るのかだとか、こんなことしてみましょうか、
などなどお互いで相談や打ち合わせをしながら制作することが
多いです。また印刷をご自身でやってもらうことをお勧めしています。
 
ワークショップに関しては、ネームカード、メッセージカード、
封筒などイラストの版を使ったり、自分で活字を拾って並べて
印刷までしてもらい、活字を元に戻すまでの工程を
ひととおりやっていただき、活版印刷の楽しさと、
手がかかるということの大変さを知ってもらうような
ワークショップを心掛けています。
これからのシーズン、クリスマス用のカードやお年玉袋、
年賀状など、いろいろと企画していけたらと
考えていますのでお楽しみに。
 
Q 今後の活動予定やPRしたいことなどあれば教えて下さい。
 
10月27日に阿蘇にて開催される蚤の市と同時開催で
九州アルチザンというイベントに参加します。
今回は鹿児島の六花窯さんと宮崎のはなうた活版堂さんとでの
合同参加で活版印刷機を4台使い、
豪華な多色刷りのワークショップをします。
11月1日からは天草で開催される街中ギャラリー
アマクサローネにも参加します。
約60人の若手のクリエイターが商店街に店舗を構え
展示販売するイベントで、昨年は活版印刷の体験に
多数の方がお越しいただきました。
今年も5日間連続でより多くの人に活版印刷の楽しさを
知っていただけるよう頑張りたいと思います。
 
申し訳ないのですが、阿蘇・天草でのイベントにより
市内の工房は10月末より11月頭まで閉まっていますが、
ぜひ、観光ついでに活版印刷を体験しに阿蘇・天草に
みなさんにお越しいただければと思います。

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