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熊大ラジオ公開授業「知的冒険の旅」 大熊薫先生

あらゆるジャンルの注目の人にインタビューする
「ヒューマン・ラボ」。
 
今月から3ヶ月間にわたって
スペシャル企画でお届けしています。
題して「FMK Morning Glory  ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業・知的冒険の旅」
 
毎回、熊本大学の先生を講師に迎えて、
さまざまジャンルの研究テーマについて
お話をうかがいます。
第2回の講師は大熊薫先生です。

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Q① お名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:大熊薫 (おおくまかおる)
所属:文学部及び熊本大学附属図書館長
 
プロフィール:1949年6月3日福岡県生まれ。
昭和43年、福岡県立修猷館高等学校卒業。
昭和54年5月、九州大学大学院文学研究科博士課程
3年中退し、熊本大学教養部助手として熊本に来る。
1980年9月から、1981年9月まで、
パリのドミニコ会修道院でカトリックの研究を行う。
教養部廃止後、文学部に転部。
2013年3月まで、3期6年間文学部長を務める。
2013年4月から、熊本大学附属図書館長、
任期2年。現在64歳。博士(文学)
 
主な著書:『ヴェルレーヌ自己表現の変遷』、
早美出版社、2001年
『ヴェルレーヌ「聖」と「俗」との狭間で』、
早美出版社、2007年
『おしえて、カトリックで』、
早美出版社、2013年10月18日
訳書:『イエスと歩む福音宣教の旅』、
ドン・ボスコ社、1993年
 
19世紀のフランスの詩人
ポール・ヴェルレーヌの研究を
カトリックの思想を交えながら研究している。
 
Q② 大熊先生の専門である「ヴェルレーヌ研究」とは、
どんな研究ですか、わかりやすく教えてください。
 
ヴェルレーヌとはどういう人物だったのかからはじめ、
どのような詩編を作ったのか、詩編の内容や
その構造を調べていきます。
例えば母音の数がいくつあるか、それはなぜか、
彼は何を訴えたかったのか、
彼の本心はどこにあるのか等を、
彼の詩編と創作された年代等を参考に考察していきます。
その過程で、ときどきカトリックの思想が影響を
与えていると思われるものがあり、そのため、
カトリックとは何かまで研究することになりました。
 
Q③ 大熊先生がこの研究に取り組むことになった
「きっかけ」のようなものがあれば教えてください。
 
大学の卒業論文で誰を対象に研究するか迷っていました。
本当はボドレールをやろうかと思っていたのですが、
もう一人の友人がボードレールをやると言い出したので、
私はなんとなくそれではヴェルレーヌでもやろうかと、
その程度がきっかけです。
それから今日まで、40年近く
ヴェルレーヌ一筋でやってきました。
 
Q④ 先生はなぜフランス文学を?
 
私が多くの文学の中からフランス文学を選んだ
きっかけは、高校時代に読んだ永井荷風の
『あめりか物語』と
『ふらんす物語』かもしれません。
『あめりか物語』の中で、荷風はフランス行きの夢を
熱く語ります。そして『ふらんす物語』の中で、
荷風は実際に彼が体験したフランスを、
きわめて美しい文章で表現していました。
私も、フランスに行きたいとそのころから
思っていたことは確かなようです。
 
Q⑤ 初心者の私たちが、入門編として読むのに
適当なフランス文学(ヨーロッパ文学)があれば、
いくつか作品名と簡単な内容を教えてください。
 
モーパッサンの短編集とか、アルフォンス・ドーデの
『風車小屋便り』などは内容もおもしろく、
若い人の感受性をおおいにくすぐると思います。
世界で一番たくさん読まれている本としては、
サン・テグジュペリの『星の王子さま』ではないかと
思います。
これは子供の読む本だと誤解している人が大勢いますが、
そうではありません。
学生時代に履修した西洋哲学の授業で、
先生がいつも「これは童話なんかじゃない、
今世紀最大の哲学書だ」とおっしゃっていたことが、
これを読むとよくわかると思います。
 
Q⑥ 今後の活動予定や
PRしたいことなどあれば教えてください。
 
現在熊本大学附属図書館長をやっていますが、
この図書館が新しく改装され
10月1日にオープンしました。
これまでの図書館は、館内では静かに一人で
調べ物をするというやりかたでしたが、
今度からは、1階部分はグループ学習や講演会など、
おしゃべり自由な空間として利用できるようになりました。
 
以上、「FMK Morning Glory ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業・知的冒険の旅」でした。
 
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