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「清須会議」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の
「清須会議」です。
 
日本を代表する脚本家であり、
映画監督としても大成功を収めている三谷幸喜。
 
1980年代、日大の演劇学科に在学中に
劇団 「東京サンシャインボーイズ」を結成。
新進気鋭の劇団として注目を集め、90年代には
テレビドラマの脚本家として多くの作品に関わりました。
田村正和の代名詞ともなった「古畑任三郎」は、
何度もスペシャル番組が作られ、
国民的人気番組となりました。
 
1997年の「ラヂオの時間」では、映画監督に初挑戦。
その後は、舞台にテレビドラマに人形劇にと
多彩な活躍をしていることは、皆さんご存知のとおりです。
 
そんな三谷幸喜監督の6作目となるのが、
今日ご紹介する「清須会議」です。
 
タイトルの「清須会議」とは、
戦国時代に実際に行われた歴史的な会議です。
 
1582年(天正10年)、織田信長が天下統一を前に、
家臣の明智光秀の謀反による「本能寺の変」で
命を絶たれます。それからおよそ1か月後、
信長の後継者問題と、羽柴秀吉によって撃たれた
明智光秀の領地の再分配の取り決めを話しあったのが、
この清須会議なんです。
 
参加したのは、信長の家臣だった柴田勝家、
羽柴秀吉、丹羽長秀、池田恒興の4人。
戦で決着をつけていた戦国時代に、
“初めて話し合いで歴史を動かした“とされる
画期的なもので、三谷監督は10歳ごろに
この会議を知り、それからずっと何らかの
作品にしたいと構想を練っていたそうです。
 
歴史的には、この会議で勝利したのが、
後に天下を取る羽柴秀吉。
しかし三谷監督は、敗者となる柴田勝家の方にこそ
ユーモアがあると、勝家に焦点を当てて
物語を作り上げています。
歴史上は地味な存在の勝家に注目するあたり、
“歴史オタク”を自認する
三谷監督ならではといえるでしょう。
 
勝家を演じているのは「有頂天ホテル」でも
三谷監督と組んだ、役所広司。
対する秀吉には、大泉洋。
丹羽長秀を小日向文世、池田恒興を佐藤浩市、
そのほか、鈴木京香、伊勢谷友介、妻夫木聡、
中谷美紀など、超豪華キャストが出演!
また、小さな役にもビックリするような
大物キャストが登場していますので、
ぜひチェックしてみてください。
 
三谷映画の上手さは、その役者にピッタリの
キャスティングのバランスです。
勝者・羽柴秀吉を演じる大泉洋の勢いは、
ここ数年で大きく伸びてきた彼自身の俳優としての
キャリアと重なるようですし、無名塾から叩き上げて、
いま大輪の花を咲かせている役所広司は、
織田家を支えてきた柴田勝家のような
いぶし銀の渋さがあります。
俳優のイメージに合わせて台詞も
「あて書き」するのが三谷スタイルということで、
台詞の面白さや含蓄の深さが増す仕掛けになったいます。
 
今回の「清須会議」は、史実をもとに
しているだけあって、これまでの三谷作品とは、
大きく違っています。
三谷監督は、歴史の中でも、勝者より敗者の方に
興味があるようで、大河ドラマ「新選組!」でも、
歴史的には敗者となるサムライたちを
丁寧に描いていました。
今回も、いままでは、ドラマや映画で詳しく
描かれることのなかった人物たちにスポットを
当てて描いています。
今回の映画は、これまでの三谷作品のような
コメディというより、大きな歴史を舞台にした
「人間ドラマ」と言えるかもしれません。
もちろん笑いはたっぷりありますが、
最終的には歴史を動かした人間たちの内面を
しっかりと描写した大人の映画です。。
そういう意味では、これまで三谷作品は、
あまり観たことがない人や歴史物は苦手という人の方が、
この作品の魅力をしっかり享受できるかもしれませんね。
 
三谷監督の新たな挑戦は、
この作品から始まるのかもしれません。
是非、劇場で確認してみてください。
 
今日ご紹介した映画「清須会議」は、
■TOHOシネマズ光の森
■TOHOシネマズはません
■TOHOシネマズ宇城
■シネプレックス熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
「清須会議」オフィシャルサイト
 
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