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「特定外来生物」 皆本晶恵さん

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする
「ヒューマン・ラボ」。
熊本市環境局緑保全課の皆本晶恵さんをお迎えして、
現在問題になっている「特定外来生物」について伺いました。

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Q①ご出演の方のお名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:皆本晶恵
所属:熊本市環境局 緑保全課
 
プロフィール:造園技師としてH24年4月熊本市役所に入庁。
緑保全課に配属。
生物多様性関連の仕事は2年目でまだまだ勉強中です。
 
ホームページ、ブログなど:特定外来生物について(熊本市HP)
http://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=2518&class_set_id=2&class_id=213
 
Q②ご出演の方の所属部署についての基本情報を教えて下さい。

名称 : 熊本市環境局 緑保全課
所在地 : 熊本市役所 7階
TEL : 096-328-2352
FAX : 096-359-9945
Email : midorihozen@city.kumamoto.lg.jp
 
Q③現在「特定外来生物」というものが、
問題になっているそうですが、どんな生物のことなんでしょうか?
 
特定外来生物というのは「外来生物法」という法律によって
指定されている生き物のことです。外来生物とは、
一般に、国内由来のものと、国外由来のものと2種類ありますが、
外来生物法では国外由来の外来生物に関して、
とくに生態系への影響や人の生命・身体への影響、
農林水産業へ影響を及ぼすものや、及ぼすおそれのあるものが
特定外来生物として指定されています。
現在、アライグマやオオクチバスなど107種類が指定されており、
その動物の飼養や栽培、保管、運搬、輸入などの取り扱いに
規制がかけられています。
 
Q④「特定外来生物」の問題点は何ですか?
具体的な悪影響などあればご説明ください。

特定外来生物が引き起こす恐れのある影響は、
大きくわけて3つあります。

1つ目は、もともと日本に居る生き物を食べたり、
餌を横取りしたりして、生態系のバランスを
崩してしまう恐れがあることなど、生態系への影響。

2つ目は、毒をもっていたり、人に噛み付いたりと、
人間の日常生活を脅かすことなど、人の生命・身体への影響。

3つ目は、畑の作物を食べてしまったり、
養殖されている魚などを食べてしまったりと、
農林水産業に対しての影響があります。

身近な例をあげますと、江津湖のオオクチバス、
いわゆるブラックバスなどの話は、耳にした事がある方も
多いかもしれません。このオオクチバスという魚は、
魚食性が強く、生態系への影響という面から、
特定外来生物に指定されています。
江津湖には貴重な魚がたくさん生息していますので、
このオオクチバスなど外来の魚による
江津湖の生態系への悪影響というものが懸念されています。

●オオクチバス (写真提供:環境省)

オオクチバス.jpg
 
Q⑤現在、熊本ではどんな種類の生物が発見されていますか?
 
現在熊本では、特定外来生物107種のうち、
アライグマやカミツキガメなどの動物が12種類、
オオキンケイギクなどの植物が10種類、
合計で22種類の特定外来生物が発見、確認されています。
熊本市のホームページにも、写真も合わせて
掲載しておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。
熊本市のホームページから「特定外来生物」で
検索していただきますと、記事がヒットします。

●アライグマ (写真提供:環境省)

アライグマ.jpg
 
Q⑥どうして「特定外来生物」が最近増加傾向にあるのでしょうか?

明治以降、人間の移動や物流が活発になり、
多くの動物や植物が、ペットや展示用、食用、
研究などの目的で輸入されています。
輸入の際に、荷物や乗り物などに紛れ込んだりして
日本に入ってきてしまったものが、日本で増えてしまったり、
また、ペットとして飼育されていた動物や、
観賞用に育てられていた植物などが、逃げたり、
捨てられたりして、野外に放たれてしまい、
その場所で増えてしまったものなどがあります。
 
ペットが飼えなくなって、「かわいそうだから」と野外に放つことは、
その生き物にとっても、また、元々その地域に住んでいる
生き物にとっても、とても迷惑なことです。
野外に放した生き物は、もしかしたらとても繁殖力が強く、
もともとその地域に居る生き物のすむ場所を
奪ってしまうかもしれません。
生き物を飼う際には、どれぐらい大きくなるか、
性格はどんな性格か、どれぐらい長生きするのかなど、
きちんと調べた上、最後まで責任を持って大切に飼いましょう。
 
Q⑦私たちが「特定外来生物」を発見した場合は、
どんな対応をすればいいでしょうか?

特定外来生物は、生きたままの持ち運びが
法律で禁止されています。

植物の場合は、根っこから引き抜いて、
その場で枯らしたりや、袋に入れて腐らせたりしてから、
ゴミとして処分してください。
 
動物の場合は、カミツキガメなど攻撃性のある生き物や、
アライグマなど病原菌を持っている恐れのある生き物もおりますので、
不用意に捕まえたりせずに、その場所の管理者や、
環境省や熊本県自然保護課、熊本市内であれば緑保全課などに
ご相談いただければと存じます。
 
Q⑧その他に注意すべきポイントなどありましたら教えてください。
 
外来生物すべてが悪者なのかというと、そうではなく、
外来生物も人間の活動により連れてこられた
謂わば被害者でもあります。
命を持った生き物を邪魔者扱いしていいのか、
という意見もありますが、その地域ごとの生態系が
もしも壊れてしまったら、それを元に戻すというのは
とても難しいことなのです。

そうなる前に、外来生物を持ち込んでしまった人間が、
責任を持って、今ある生態系を守らないといけないと思います。
外来生物による被害を予防するため
「入れない、捨てない、広げない」という三原則があります。
悪影響を及ぼすかもしれない外来生物を
むやみに日本に入れない、
飼っている外来生物を野外に捨てない、
すでにいる外来生物を他の地域に広げない、
こちらの三原則を守り、適切な対応と
ご理解、ご協力をお願いします。
 
Q⑨これまでの活動の中で、
最も印象深いエピソードをお願いします。

メダカに良く似た魚の「カダヤシ」を学校などで
飼育してしまっているという連絡が寄せられた事があります。
用水路などで子供たちが捕まえて、飼育を始めたところ、
よく見たら「メダカ」ではなく「カダヤシ」であったという話です。
特定外来生物を捕まえて、飼育することはもちろん、
許可なく生きたまま移動させる事じたいが
法律違反となってしまいますので、
保護者の方は特に注意していただきたいと思います。
 
Q⑩熊本県民にPRしたいことなどあれば教えてください。

熊本は皆さんご存知のとおり、
森や川、湖などとても自然が豊かです。
特に、熊本市には、江津湖、立田山、金峰山などがあります。
そのような豊かな自然に、たくさんの生き物が住んでいます。
その豊かな自然、魅力的な熊本の生態系・生物の多様性を、
末永く次の世代まで残していけるように、
外来生物による被害を予防し、私たちにできる取組を考え、
ぜひ実践していただきたいと思います。

今日は熊本市環境局緑保全課の皆本晶恵さんをお迎えして、
現在問題になっている「特定外来生物」について伺いました。
皆本さん、ありがとうございました。

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