「白ゆき姫殺人事件」
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
今日ご紹介するのは、今週土曜日・3月29日から公開される
「白ゆき姫殺人事件」です。
サスペンス作品、あなたは好きですか?
テレビでも毎日のように刑事ドラマや
2時間サスペンスがオンエアされています。
2時間サスペンスがオンエアされています。
主に傑作サスペンスには、洋画が多いような気がしますね。
「息もつかせぬ展開」や「どんでん返し」や
「意外な犯人」など、このジャンルで大抵のパターンは
出尽くしている・・・・・・・と思われていたんですが・・・・・・。
「意外な犯人」など、このジャンルで大抵のパターンは
出尽くしている・・・・・・・と思われていたんですが・・・・・・。
いやー、まだまだ新しい切り口があったんですね。
しかも日本映画でそんな作品が登場したんです。
この映画、タイトルからわかるように、
ある殺人事件を追ったサスペンスです。
ある殺人事件を追ったサスペンスです。
被害者は、三木典子(みきのりこ)という24歳の女性で、
誰もが認める化粧品会社の美人OLだったことから、
彼女の勤務先の人気商品にちなみ、
この事件は「白ゆき姫殺人事件」と呼ばれます。
やがて、同僚の城野美姫(しろのみき)という女性が
容疑者として疑惑をもたれるようになるんですが、
果たして城野美姫は本当に犯人なのか?
というのが、大まかなストーリーです。
というのが、大まかなストーリーです。
さてこの映画、単に事件の謎解きをしているものではありません。
みなさんは、何か事件が起きると、
その詳細をネットで調べたりしませんか?
その詳細をネットで調べたりしませんか?
特にツイッターなどのSNS上では、
誰かがまことしやかにつぶやいた一言が
誰かがまことしやかにつぶやいた一言が
あっという間に「事実」として広まっていくことがあります。
この映画のキモは、まさにそこ!
テレビ局に勤める赤星という男性は、
三木典子の後輩という友人から
三木典子の後輩という友人から
城野美姫のことを聞き、SNS上でその情報をばらまきながら、
ワイドショーのディレクターとして、
美姫の周囲の人々を取材していきます。
美姫の周囲の人々を取材していきます。
会社の同僚、同級生、近所の人、様々な人が語る
美姫の姿は、果たして本当なのか?
美姫の姿は、果たして本当なのか?
疑惑の女性、城野美姫を演じるのは、
人気女優の井上真央(いのうえまお)。
人気女優の井上真央(いのうえまお)。
被害者の三木典子を、
モデルで女優の菜々緒(ななお)が演じています。
モデルで女優の菜々緒(ななお)が演じています。
また、情報を広めてしまう男・赤星を、
人気俳優の綾野剛(あやのごう)。
人気俳優の綾野剛(あやのごう)。
美姫の周りの人々として、蓮佛美沙子(れんぶつみさこ)、
貫地谷(かんじや)しほり、金子(かねこ)ノブアキなど、
若手の演技派が出演しています。
貫地谷(かんじや)しほり、金子(かねこ)ノブアキなど、
若手の演技派が出演しています。
どの役者さんの演技も素晴らしくて、
映画を二度、三度観ると「なるほど、ここはそういう意味で
こういう表情だったんだぁ・・・・」と思える、
とても繊細な演技をしています。
映画を二度、三度観ると「なるほど、ここはそういう意味で
こういう表情だったんだぁ・・・・」と思える、
とても繊細な演技をしています。
一度目は純粋にストーリーを楽しんで、
2度目は役者さんの演技を楽しんで観るといいかも・・・・
まるで「一粒で二度美味しい」
グリコのキャラメルのような映画です。
2度目は役者さんの演技を楽しんで観るといいかも・・・・
まるで「一粒で二度美味しい」
グリコのキャラメルのような映画です。
監督は、「アヒルと鴨とコインロッカー」や
「ゴールデン・スランバー」などで一風変わったサスペンス作品を
生み出した中村義洋(なかむらよしひろ)監督。
「ゴールデン・スランバー」などで一風変わったサスペンス作品を
生み出した中村義洋(なかむらよしひろ)監督。
中村監督は、新人の起用の仕方に定評のある監督で、
あの堺正人や鈴木福くんなども、
まだ無名の時代に起用してブレイクのキッカケを
作ったことでも有名です。
役者の将来性を見抜く鑑識眼があるんでしょうか?
あの堺正人や鈴木福くんなども、
まだ無名の時代に起用してブレイクのキッカケを
作ったことでも有名です。
役者の将来性を見抜く鑑識眼があるんでしょうか?
今回の「白ゆき姫殺人事件」で言えば、井上真央、
綾野剛の主役二人はもちろん、
サブキャラの菜々緒や金子ノブアキなんかが、
これまでのイメージと全く違った新境地を見せています。
綾野剛の主役二人はもちろん、
サブキャラの菜々緒や金子ノブアキなんかが、
これまでのイメージと全く違った新境地を見せています。
この映画では、さまざまな登場人物の証言が紹介されてゆきます。
このようなスタイルの作品を、海外では、黒澤明監督の
傑作に敬意を表して「羅生門スタイル」と呼ぶそうです。
このようなスタイルの作品を、海外では、黒澤明監督の
傑作に敬意を表して「羅生門スタイル」と呼ぶそうです。
映画「羅生門」は1950年の作品です。
今回の作品は、「羅生門」発表当時はなかった
「ネット社会」という現代的な切り口を使って、
見事に21世紀の新しい「羅生門」を誕生させています。
黒澤監督の「羅生門」と是非比較して観てみてください。
今回の作品は、「羅生門」発表当時はなかった
「ネット社会」という現代的な切り口を使って、
見事に21世紀の新しい「羅生門」を誕生させています。
黒澤監督の「羅生門」と是非比較して観てみてください。
原作は、「告白」や「夜行観覧車」の、
ベストセラー作家・湊(みなと)かなえ。
ベストセラー作家・湊(みなと)かなえ。
湊かなえ作品は、ここ数年でテレビや映画で
たくさん映像化されてきましたが、これまででベストの出来が
この「白ゆき姫殺人事件」だと思います。
たくさん映像化されてきましたが、これまででベストの出来が
この「白ゆき姫殺人事件」だと思います。
湊作品では、エンディングでのブラックな「後味」が
魅力なんですが、この作品は、映画的な「ひとひねり」が
効いていますので、ちょっと泣ける展開になっています。
原作ファンの方も楽しんで観られると思いますよ。
魅力なんですが、この作品は、映画的な「ひとひねり」が
効いていますので、ちょっと泣ける展開になっています。
原作ファンの方も楽しんで観られると思いますよ。
映画を見ながら「こんな状況ある、ある、ある!」と思いつつ、
似たような状況を僕たちは毎日目にし、それに踊らされていないか・・・、
胸に手を当ててみたくなる映画です。
日本でも、こんな面白いサスペンス作品ができるんです。
ぜひご覧になってください。
今日ご紹介した映画「白ゆき姫殺人事件」は、
■TOHOシネマズ光の森
■TOHOシネマズはません
■TOHOシネマズ宇城
■シネプレックス熊本
■イオンシネマ熊本
で、今週土曜日・3月29日から公開されます。
「白ゆき姫殺人事件」オフィシャルサイト