« 4月23日(水)の魔法のことば  |  4月24日(木)の魔法のことば >

「株式会社サカタのタネ」

企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は「株式会社サカタのタネ」のヒミツに迫ります。
 
「株式会社サカタのタネ」は、1913年創業。
本社は横浜市にあります。
全世界の従業員およそ2,000名の内、70%程度は
外国人というグローバル企業であり、花と野菜の種子では
世界でも五本の指に入る種苗会社と推定されている、
研究開発型の企業です。
 
今日お話を伺ったのは、株式会社サカタのタネ
広報宣伝部清水俊英さんです。
 
Q 「サカタのタネ」という社名の由来を教えて下さい。
 
創業者・坂田武雄が1913年(大正2年)に横浜に
「坂田農園」を起こしたのが当社の始まりです。
戦前にはすでにタネのブランドとして「サカタのタネ」を
利用していました。1938年にこれを商標登録。
戦後もブランドとして利用してましたが、
1986年に商号を「坂田種苗株式会社」から長年ブランド名として
親しまれてきた「サカタのタネ」に変更しました。
当時は珍しいカタカナの商号への変更に、役員会でも
喧々諤々の議論があったと聞いています。
 
Q 業務内容は当時から現在まで変わらないのでしょうか?

当初は苗木やユリの球根の輸出が主な業務でしたが、
程なく、花の品種開発とそのタネの生産供給が中心の
業務となりました。1934年に世界で初めての完全八重咲きの
F1ペチュニア「ビクトリアスミックス」がアメリカの著名な
園芸コンクール「オールアメリカセレクションズ」の銀賞を
獲得して世界で認められました。
戦後は、花のみならず野菜の品種開発にも力を入れ、
「プリンスメロン」や「アンデスメロン」「ピーターコーン」などを
生み出しました。

●メロン「プリンス」
メロン「プリンス」.jpg

●メロン「アンデス」
メロン「アンデス」(縦).jpg

●スイートコーン「ピーターコーン」
スイートコーン「ピーターコーン」.jpg

同時に海外進出も積極的に進め、
今では19か国に29の拠点をもち、170か国以上で種子
が利用される企業となりました。
 
Q 「サカタのタネ」では、何種類ぐらいの商品
(タネ・苗・球根など)を扱っていますか?
「サカタのタネ」の歴史で重要なものがあれば
いくつか教えてください。

現在国内だけで花で100品目1,200品種、野菜で
40品目400品種の取り扱いです。そして、花が約80品種、
野菜が約10品種の新品種が毎年誕生しています。
 
前述のペチュニア「ビクトリアスミックス」は当社の評判を
世界的なものにした品種として重要です。

●ペチュニア「ビクトリアス」ミックス
ペチュニア「ビクトリアス」ミックス.jpg

「プリンスメロン」や「アンデスメロン」、
「ピーターコーン」なども食卓を賑わした品種として重要ですし、
最近ではミニトマト「アイコ」などもこれにあたります。

●ミニトマト「アイコ」
ミニトマト「アイコ」.jpg
 
花でも、パンジーなどは世界的なシェアがありますし、
最近の世界戦略品種として環境浄化植物「サンパチェンス」は
世界中で年間2,000万株以上が親しまれています。
 
花ではトルコギキョウ種子の世界シェアが70%以上、
野菜ではブロッコリー種子の世界シェアが60%以上となっています。
熊本では、日本でも最大級のトマト産地である八代では「りんか409」、八代に次いで大きな産地である玉名では「麗容」という当社品種が大々的に使われています。
また、トマト栽培で深刻な被害を及ぼしている「黄化葉巻病」に強い「麗旬」も八代で評価が出始めています。
 
●りんか409
りんか409(低解像度).jpg
 

●大玉トマト「麗旬」
大玉トマト「麗旬」.jpg

花でもトルコギキョウの生産は長野県に次いで多く、当社の大輪八重の「ボヤージュ」シリーズや「レイナ ホワイト」などが多く栽培・出荷されています。 
また、ヒマワリ「ビンセント」シリーズも熊本県内で多く栽培されています。

●トルコギキョウ「ボヤージュ シャンパン」
トルコギキョウ「ボヤージュ シャンパン」.jpg

●トルコギキョウ「レイナ ホワイト」
トルコギキョウ「レイナ ホワイト」.jpg

Q 「サカタのタネ」が多くの人に支持される理由は何ですか?

当社は研究開発型企業として「他にないもの」
「世界ではじめてのもの」「種苗を通じて社会に貢献できるもの」の
開発を心がけてきました。
当社の育種した品種には「世界で初めて物語」が沢山あります。
より美味しく、美しく。より丈夫で栽培しやすく。一つの品種を
作り上げるのには10年以上の歳月がかかります。
10年先を読み、粘り強く研究開発を続け、できた品種を世界中の
適地でタネ採りして安定的に供給する。この不断の努力が、
様々なヒットに繋がっていると考えています。
 
Q サカタのタネで扱っている商品で特色あるものがあれば、
いくつかご紹介ください。

どの商品も特色があります。
たとえば、トマトの品種の中で「王様トマト」のブランドに属する物は、
株で赤く熟してから収穫しても、肉質がしっかりしていて
輸送途中に傷まず、フレッシュなまま消費者の手元に
どけることができます。

「王様トマト」ロゴマーク.JPG

赤く熟してから収穫できるのでリコペンやグルタミン酸の含量
が多く、味もとても良くなります。
また「ベーターリッチ」というニンジンは、甘く香りが良く、
ニンジン嫌いの子供達にも食べてもらいやすい上に
ベーターカロテンの含有量が多いという特徴があります。

●ニンジン「ベーターリッチ」
ニンジン「ベーターリッチ」.jpg
 
花では、環境浄化植物の「サンパチェンス」と「サンちゅらか」です。
これは、春から秋にかけて長期間花壇を美しく彩ってくれて、
前者は二酸化窒素やホルムアルデヒドなど空気中
の有害物質を、後者は土中のビスフェノール(環境ホルモン)を
吸収・分解してくれるという優れものです。
前者は「水辺のコンテナ」という商品を利用して
浅い池の水上緑化にも最適です。

●ポーチュラカ「サンちゅらか オレンジ」
ポーチュラカ「サンちゅらか オレンジ」.jpg

Q そのほか「サカタのタネ」の製品に関する
なにか面白いエピソードなどあればお願いします。

画期的な商品ができたときに、なかなかその性質が
信じてもらえないという事があるようです
例えば、「ハニーバンタム」というトウモロコシを
販売したときのことです。

●スイートコーン「ハニーバンタム」
スイートコーン「ハニーバンタム」.jpg

ハニーバンタムは当時としては甘みが強く、
しかも収穫後も糖度が落ちにくいという画期的なものでした。
市場で、試食会を開いたときには
「こんなに甘いなんて、茹でたお湯に砂糖をいれたのでは」
と疑われたという話があります。
また、少々有名になりましたが、熊本でもおなじみの
「アンデスメロン」の名前は
「作って安心、売って安心、食べて安心の“安心です”から
とられた名前です。
 
花のエピソードでは、当社を有名にしたペチュニア
「ビクトリアスミックス」のタネは当時のレートで
同じ重さの金の20倍の価格がついたという当時の
新聞記事が残っています。
 
Q この季節におススメの商品があればご紹介ください。
できれば育てた方のコツなどもお願いします。

サンパチェンスです。
5月中に植えれば、11月くらいまで長く楽しむことができます。
とても大きな株になるので、水はたっぷりとやり、
肥料切れも禁物です。枝が伸びすぎたら、
8月中旬頃までに一度切り戻すと良いと思います。
6月中旬頃まで苗が種苗店、園芸店や
ホームセンターで入手できます。
 
Q そのほか、オススメの商品、サービス、
キャンペーンなどPRしたい案件があればお願いします。

 
・熊本産の「アンデスメロン」が出荷最盛期を迎えています。
5月初旬から、「アンデスメロン」の青果に貼ってある
シールをはがきに貼って応募すると、抽選で豪華賞品があたる
「アンデスメロンキャンペーン」を実施します。
皆さん、ぜひ「アンデスメロン」をたくさん食べて、ご応募ください。
 
オフィシャルサイトのURL:http://www.sakataseed.co.jp/
 
今日お話を伺ったのは、株式会社サカタのタネ
広報宣伝部の清水俊英さんでした。
清水さん、ありがとうございました。
 
-----
本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓