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熊本市 動物愛護センター

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする
「ヒューマン・ラボ」。
今日は熊本市動物愛護センター井手眞司さんがゲストです。
日頃の活動内容や新しく出来た施設について詳しく伺います。

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Q① ご出演の方のお名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:井手眞司 (ふりがな)いでしんじ
所属:熊本市動物愛護センター
ホームページ、ブログなど:
 
Q② ご出演の方の所属部署についての
基本情報を教えて下さい。
 
熊本市動物愛護センター
住所 : 熊本県熊本市東区小山2-11-1
TEL : 096-380-2153
 
動物愛護センターの主な業務内容
 
●狂犬病予防法に基づく業務
(犬の登録、狂犬病予防注射など)
 
●動物愛護管理法に基づく業務
(動物愛護の普及啓発、犬や猫等の苦情相談対応、
動物取扱業の登録許可・監視・指導、特定動物の
飼養許可・監視・指導、犬の保護、犬猫の譲渡等)
 
●鳥獣保護管理法に基づく業務
(有害鳥獣捕獲許可に関する業務鳥獣の捕獲許可事務、
愛玩用鳥獣の飼養許可、野生鳥獣に関する苦情相談)
 
 
Q③ 「熊本市動物愛護センター」は、
いつごろ、どんなきっかけで誕生した部署ですか?
 
昭和45年に「畜犬管理所」として現在地に移転。
当時は放浪犬の捕獲・抑留・処分を専門に行う施設だった。
時代とともに名称変更。
昭和51年に「動物管理センター」、
平成14年に「動物愛護センター」に変更。
 
業務内容も放浪犬の捕獲・抑留・処分が主だったものが、
近年は犬猫の動物の愛護を主としたものへ変化。
県または中核市以上の市では保健所、動物愛護センター、
動物管理センター等の名称で業務を行っている
(設置のない自治体もある)。
 
Q④ どんな活動を行っていますか?
具体的な説明をお願いします。
 
主な業務内容はQ2のとおりだが、
動物愛護推進協議会を立ち上げ、協議会とともに
「殺処分ゼロ」をめざし活動を始めた平成14年頃から、
従来の犬の捕獲等の取り締まり行政から
動物愛護行政へと業務がシフトしていっている。
 
このことは動物愛護センター側が業務内容を変えた
わけではなく、社会の要請、市民の要請であると思われる。
 
主な動物愛護業務は以下のとおり。
 
・犬猫等の動物に関する苦情相談対応(適正飼養の指導)
 
・動物愛護の普及啓発(動物ふれあい訪問教室、
犬のしつけ教室等の開催、啓発パネル展等の開催)
 
・負傷犬猫の引きとり、治療
 
・犬猫の譲渡の推進
 
・地域猫活動の支援(動物愛護推進協議会との協働)
 
Q⑤ 「熊本市胴部愛護センター」では、現在、
「殺処分ゼロ」を目指して活動されているそうですが、
どんなきっかけでスタートしたのでしょうか?
具体的にどんなことをしているでしょうか?
 
現在の実績は、動物愛護センターだけの力ではなく、
動物愛護推進協議会や
ボランティアの方の協力があってのもの。
 
平成12年に改正された「動物愛護管理法」に
推進員の委嘱、動物愛護のための協議会の組織の規定が
設けられたことを受け、いち早く平成14年に推進員の委嘱、
動物愛護のための協議会を組織した。
 
その協議会のなかで、処分を行っていた職員から
「本当は処分なんかしたくない。
仕事だから仕方なくやってるだけ」。
この職員の思いをきっかけに、殺処分をしなければならない
現状を変えたい、なくしたいという思いを共有できたことで、
「殺処分ゼロ」の取組みがスタート
(なお、当時は犬猫合わせて年間1,000頭を超える処分をしていた)。
 
具体的取り組みとして、一言で言えば
「入ってくる犬猫の数を減らして
出て行く頭数を増やす」ことを実践。
 
(1)飼い主からの引取り(不要犬、猫)について
安易に引き取らず飼い主責任としての「終生飼養」の徹底を
粘り強く説得することとした。
 
(2)捕獲保護された犬の飼い主への返還推進のため、
それまで文字ばかりで分かりづらかった公示文書に
写真を入れ、熊本市役所ホームページに掲載した。
 
(3)それまで犬については仔犬しか
譲渡していなかったものを成犬も譲渡するようにした。
また市内在住者のみだった譲渡先を市外でもOKとした。
 
(4)譲渡推進のための取組み
 
・トリマーを嘱託員として雇用し、カット、
シャンプー等のトリミングを実施。
 
・保護犬が人に慣れるよう、またしつけの矯正として
職員による犬のしつけ訓練を実施。
 
・職員向けの犬のしつけの研修を行った
(しつけインストラクターを講師として)
 
・犬の個体情報を犬舎の前に掲示し、
譲渡希望者、来訪者に分かりやすくした。
 
・寄生虫感染検査及び予防の実施
(糞便検査、血液検査等を行い、駆虫薬、予防薬を投与)
 
・地元新聞への譲渡会の告知広告掲載
(熊本市動物愛護推進協議会による)
 
(5)迷子犬に対する取組み
(熊本市動物愛護推進協議会と協働で)
 
・迷子札をつけよう100%運動:ポスター、
チラシ、カードの作成・配布
 
・イベント開催時、迷子札つくりのワークショップを開催
 
(6)育児放棄に対する取組み
 
・動物ふれあい訪問教室の開催
(収容犬を連れての学校訪問。命の教育)
 
(7)飼い主に対する譲渡先探しの情報提供
 
・地元新聞へのミニ広告の掲載アドバイス
 
Q⑥ 「熊本市動物愛護センター」では、
この春「愛護棟」という新しい施設ができたそうですが、
どのような施設なのですか?
 
愛護棟では、譲渡動物の管理スペース、
猫の屋内飼育モデルルーム、トリミング室、治療室、
入院室、しつけ教室や講習会を開催する研修室、
ボランティア室などを備え、動物愛護の普及啓発を
図るとともに、市民へのモデルとなるような
動物の適正な飼養管理を実践する。
 
また、市民ボランティアの活動拠点としての機能も備え、
行政と市民との協働による人と動物の共生社会の実現に
向けて、殺処分ゼロを目指したさらなる取組みを
展開していく。
 
具体的には
 
・パネルや資料の展示により犬猫の適正な飼い方に
関する知識の普及や情報の発信
 
・しつけ教室等の体験型講習会の開催により
動物愛護の啓発
 
・狂犬病予防のためにビデオ放映や各種展示により
犬の登録や狂犬病予防注射の重要性についての普及啓発
 
・熊本市動物愛護推進協議会の情報交換や
情報発信の活動拠点
 
・犬猫の譲渡のための適正飼育管理及び
負傷動物の治療などを行う。
 
・動物愛護推進協議会の推進員による
動物相談コーナーの設置等
 
Q⑦ 「熊本市動物愛護センター」では、
定期的に、犬や猫の譲渡会も開いているそうですが、
どんなイベントですか?
 
センターに収容されている犬猫のための譲渡会
(ただし、飼い犬等の持ち込みでの譲渡は不可)
犬の譲渡にあたっては、センターで実施している
譲渡前講習会の受講が必要
(猫については譲渡前講習会は実施していない)。
 
譲渡前講習会の内容は犬を飼うときの心構え、
犬についての法令、犬の健康管理など。約1時間
開催日は平日は毎週水曜日の14時からと
休日は月1回開催(不定)。事前予約不要。
譲渡会に限らず、犬猫の譲渡は平日10時から16時まで
随時実施(ただし、12時から13時までを除く)
 
Q⑧ 現代は、ペットを飼う方も増え、
問題も多くなっているようですが、これから、
ペットを飼う人に、専門家からアドバイス
するとしたら、どんなことがありますか?
 
まず、いわゆる「衝動飼い」をしないで欲しい。
子どもにせがまれてつい飼ってしまった、癒しのために、
高齢の親の散歩相手になど。
つまり、安易な気持ちで飼うことだけはしないで欲しい。
犬や猫は飼い主を選べないので、幸せに暮らせるか
どうかは飼い主次第。責任を持って最後まで
めんどうをみる覚悟、心構えがあるのか
よく検討して欲しい。
 
犬や猫の寿命は14~15年。
エサ代、動物病院代(予防費、治療費)が
かかることはもちろんのこと、毎日の散歩、
さらに高齢になったときには介護が必要になる場合もある。
その覚悟があるのか、また命を預かるということの
重みを熟慮したうえで飼い始めて欲しい。
 
Q⑨ これまでの活動の中で、
最も印象深いエピソードをお願いします。
 
7ヶ月間収容されてた犬の飼い主が現れたこと。
 
迷子になってしまい近所を探したが見つからず、
そのまま放置。そんな時たまたま見ていた愛護センターが
映ってるテレビの中にほんの一瞬だけその犬が映っていた。
翌日愛護センターへ問い合わせ。
来所され、確認の結果飼い犬に間違いなし、
飼い主もさることながら犬の喜ぶ姿が印象的。
結局、無事返還された(返還費用等約7万円支払い)。
 
Q⑨ 熊本県民にPRしたいことなど
あれば教えてください。
 
まず、犬や猫を飼い始めるときに終生飼養できるか、
近隣にも配慮した適正飼養ができるか熟慮して欲しい。
また、飼い始めたら飼い主の責任として終生飼養、
適正飼養をお願いしたい。
 
熊本市においては、当センターに収容される
犬の頭数はここ2年ほど減少傾向ではあるものの、
依然として年間450前後の犬が収容されている。
 
迷子の犬がその半分であり、きちんと管理していれば
迷子になることはないので、適正な管理をお願いしたい。
 
また、犬や猫に関する苦情は一向に減少していない。
近隣に配慮した飼い方をお願いしたい。
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