「みうらじゅん祭りin 本渡第一映劇」
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。 毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。 今回は、10月31日(金)~11月5日(水)に開催される 「みうらじゅん祭りin 本渡第一映劇」について 本渡第一映劇の柿久和範さんに電話でお話を伺いました。
Q①ご出演の方のお名前と職業・所属を教えて下さい。
名前:柿久和範 (ふりがな)かきひさかずのり
所属:本渡第一映劇代表
プロフィール:昭和36年7月4日生まれ天草市(旧本渡市)出身
中学校まで天草、高校は長崎県諫早市、大学は東京(日大経済)
アルバイトは、映画館、放送局など
卒業後、日本ソフトウェアエンジニアリング(株)入社
平成2年帰郷プログラマーとして職に就いたが会社が倒産
平成3年8月に休館していた本渡第一映劇を借りて
「映画館復活祭天草シネマパラダイス」を開催
その後、天草シネマ倶楽部での上映会を経て
平成10年1月に本渡第一映劇を常設館として復活
今に至る
Q②「本渡第一映劇」についての基本情報を教えて下さい。
熊本県天草市栄町5-23
電話・fax(0969)-23-1417
木曜は休館日
ホームページ
Q③「本渡第一映劇」の歴史を教えてください。
昭和30年代には
天草映劇(大正14年開業)
本渡映劇(昭和30年開業)
本渡東映(昭和32年開業)
中央館(昭和7年開業)
の4館あった映画館
昭和40年(1965)に中央館が金子雅俊氏により
本渡第一映画劇場と改名されオープン
元・中央館の建物を現在の建物に建て直して
昭和46年12月27日にリニューアルオープン
そして天草の映画館は平成元年に
この本渡第一映劇1館となった。
その1館も平成2(1990)年9月の「天と地と」を
最後に休館に入った
映画館のある街を復活させようと
天草シネマ倶楽部が本渡第一映劇を借りて
期間限定の上映会を開催した
平成3年(1991)8月24日25日の
第一回天草シネマパラダイス
天草に“映画”を呼び戻すきっかけとなり
映画館復活委員会の活動と努力によって
平成10年(1998)1月1日に常設館として
正式に本渡第一映劇が復活
客席数1階78席2階38席
音響設備SRD(ドルビー・デジタル)
Q⑤「みうらじゅん祭り」の開催時期、
上映作品についてご紹介ください。
みうらじゅん祭りin 本渡第一映劇
期間:10月31日(金)~11/5(水)
上映作品:
アイデン&ティティ:(当館初上映)
原作:みうらじゅん監督:田口トモロヲ主演:
峯田和伸、中村獅童、麻生久美子
80年代の終わりに起こった空前のバンドブームを
背景に「売れる歌」と「本当に歌いたい歌」の間で
揺れ動くバンドメンバーたちの苦悩を描いた
涙と笑いの青春映画
色即ぜねれいしょん:(4年ぶり2回目の上映)
原作:みうらじゅん監督:田口トモロヲ主演:
渡辺大知、峯田和伸、岸田繁
いつの時代でも変わることの無い普遍的な
青春時代の悩み、そして手に入れるべき勇気を
涙と笑いで綴った、みうらじゅんの自伝的小説の映画化!
マタンゴ:(14年ぶり2回目の上映)
特技監督:円谷英二監督:本多猪四郎主演:
久保明、水野久美、小泉博
無人島に漂着した男女7人が、食料と女性を奪い合い
対立する飢餓と不和の極限状態の中、
不気味なキノコ(マタンゴ)の誘惑に負け
自身がその毒に犯されていく姿を描く
カルト映画の名作!
封切り時の併映作品は「ハワイの若大将」
みうらじゅん氏のリクエスト作品。
Q⑥上記作品の見所はどんなところですか?
すべて35ミリフィルムでの貸し出ししか行っておらず、
現在、映画館で見られることがほとんどない作品です。
この3作品を観ると仏像とボブ・ディランをこよなく愛し、
マイブームを追い続ける日本のサブカル界の巨匠
みうらじゅんの頭の中が少しだけ覗けるのでは・・・?
Q⑦「本渡第一映劇」は、どんな映画館を目指していますか?
目指しているわけではありませんが、うちは、
映画館側とお客さん側の距離が近い映画館です。
例えば、映画を観終わってその感動を大事に持って
帰られるお客さんと、今観た映画について話をしたい
お客さんがいると思いますが、うちでは終わった後、
映画談義がそのまま出来るような雰囲気を作っています。
知らないお客さん同士で話したり、私と話をしたり、
映画が人々のコミュニケーションの手段になれば
ステキだなと、いつも思っています。
今、シネコンではなく、昔ながらの‘映画館’が、
日本から無くなりつつあります。
うちはデジタル上映は出来ませんが、
35ミリフィルムの上映ができる映画館です。
新作やメジャーな作品はどんどん出来なくなりますが、
昭和の名作や、今回の『マタンゴ』など
フィルムでしか上映できない作品を中心に、
今後も本渡第一映劇ならではの作品を
お届けして行きたいと思っています。
東京や大阪には、いまだに名画座と呼ばれる劇場が、
運営を続けています。
天草・本渡だけのお客さんだけでは、
今の状態で続けることは不可能ですが、
市外や熊本県外からも、映画館を目的の一つとした、
天草観光が成り立っていけばいいなと思います。
古い日本映画を上映する、毎年恒例の
『天草名画座番外地』には、福岡や、長崎あたりから
来て頂いたお客さんもいらっしゃいます。
最近では、『チャップリンのライムライト』、
『荒野の七人』、『死刑台のエレベーター』、
『カルメン故郷に帰る』、『静かなる決闘』、
『大魔神』などは、その映画を観るために、
生まれてはじめて天草に来たというお客さんが
いらっしゃいました。
映画館をやっていて良かったと思える瞬間です。
Q⑧これまでの活動の中で、
最も印象深いエピソードをお願いします。
天草映画祭で、高倉健さんとお会いできたことです。
映画を好きな人間にとって映画人に会えるのは
一つの夢です。現役の映画俳優の頂点に立つ、
健さんにお会いできるとは・・・!
常設館として始めて3年目の平成13年だったのですが、
映画の神様からの最高のプレゼントでした。
後日談があって・・・。私は、子供の頃
『キイハンター』を見て、それ以来ずっと
千葉真一さんのファンだったのですが、毎年、必ず、
健さんと千葉さんの出演映画を上映していて、
それを聞きつけた千葉さんが、
『天草でぼくの映画を上映してくれているようだけど、
突然行っても泊まる所あるかな?』と電話が・・・!
千葉さんは、「健さんが行った映画館に自分が
行かないわけにはいかない!」と、
自ら第一映劇でのトークショーを申し出てくれたのです!
Q⑨熊本県民にPRしたいこと、
今後の上映予定、お知らせなどあれば教えてください。
実は、天草の人にも映画ファンはちゃんといて、
熊本市内のシネコンに通っている方もたくさんいます。
レンタル屋さんにも、学生や若い方がたくさんいるのですが、
メジャーな最新作を上映できないウチみたいな映画館には、
お客さんは、足が向かないと思います。
でも、一度来てみてください!
映画はそのとき、どの場所で、どんなシチュエーションで
観たのか一緒に記憶されるものだと思います。
本渡第一映劇で観た映画が、自分の一生を
左右する一本になるかも知れませんよ!?
天草は、遠い田舎かも知れませんが、
この町でしか体験できないこと、
味わえない食べ物もあります。『藍より青く』や
『サンダカン八番娼館望郷』、『女たちの都』など、
映画のロケ地としても有名です!みなさん、
一度天草へ映画の旅へ来ませんか?そして、
観たばかりの映画のお話など一緒にしましょう。
お待ちしております。
今後の予定は、『新・天草名画座番外地vol.3』として、
原節子、高峰秀子、他、東宝オールスター出演、
成瀬巳喜男監督作品『妻・娘・母』、加山雄三、
内藤洋子、酒井和歌子主演の『兄貴の恋人』、
『シコふんじゃった』、『里見八犬伝』、
『女経』、そしてチャップリンの名作『街の灯』を、
すべて35ミリフィルムで上映します。
新作では、木村大作監督『春を背負って』があります。
この作品は、木村監督のこだわりで、
奇跡的にフィルムが製作された作品です。
もしかしたら、新作ではこれが最後のフィルム作品に
なるかもしれません。プロジェクター上映作品では、
何時間もかけて危険な道のりを通学する
子供たちの姿を追った、『世界の果ての通学路』を上映します。
来年以降も、フィルムでしか、観られない映画の数々や、
プロジェクターで上映可能な作品を選びながら、
最低でも、もう一年頑張ろうと思っています。
採算が取れるなら、お客さんが企画する
上映イベントなどもやってみたいです。
何でもご相談ください。