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「マダム・マロリーと魔法のスパイス」

 

「FMK Morning Glory」毎週火曜日にお送りしています、
「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。

今日ご紹介するのは、今度土曜日・11月29日から公開される
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」です。
 
この作品は、「フランス」と「インド」。
一見まったく違う感じの二つの国が出会う映画です。
 
まず、フランス。
今から20年ほど前、大ベストセラーとなった
「南仏プロヴァンスの12か月」という本をご存知でしょうか?
ハーブが香る豊かな自然と、そこで生まれるワインやおいしい料理、
素朴な住人たちの中でゆったりと暮らす日々を綴ったエッセイ。
この本をきっかけに、南フランスは世界中から憧れを集めるようになりました。
南仏の風景を美しく撮った数々の映画も製作されました。
 
一方、インドです。
人口世界第2位の巨大国家インド。
経済発展も著しいインドは、実は映画の製作本数でも
世界有数の映画国家なのですが、
カレーが世界中で愛されてるのに比べ、インド映画は、
なかなか他の国で観られることが少ないマイナーなジャンルでした。
ところが、90年代に「ムトゥ 踊るマハラジャ」がヒットしたあたりから
次第にインド映画が注目されるようになります。
「スラムドッグ$ミリオネア」がアカデミー賞作品賞を受賞して、
グッとインドが近い国になった感じがあります。
今年は、踊らないインド映画「めぐり逢わせのお弁当」という
素晴らしい映画が公開され、グッとインドブームが盛り上がっています。
 
そんな二つの国が出会ったら・・・・・というのがこの映画なんです。
こんな南フランスに、突然インド人の家族がやってきたら・・・?
インドmeetsフランス・・・・・・。
カレーVSフランス料理・・・・・・。
という映画が、今日ご紹介する「マダム・マロリーと魔法のスパイス」です。
 
母国インドで悲しい出来事があり、それを振り払うために
ヨーロッパに渡ったインド料理店の一家。
この、インドからやってきた家族は、南フランスの小さな田舎町に
「メゾン・ムンバイ」という派手なインド料理店をオープンします。
なんとそこは、ミシュランの1つ星を持つ
老舗のフレンチレストランの真向かい!
フレンチレストランのオーナー、マダム・マロリーは、
何もかも対照的なこのインド料理店に敵意を燃やし、
食材やお客をめぐって2軒のレストランは衝突を繰り返します。
この状況に困ってしまったのが、「メゾン・ムンバイ」の息子・ハッサン。
彼は、マダムの店の副料理長・マルグリットに思いを寄せていたのです。
事態を良くしようと、ハッサンは料理を持ってマダムに食べてもらおうと、
会いに行くのですが・・・。
果たして、生まれも文化的背景もまったく違った二つのお店は
分かり合うことができるのでしょうか?
 
マダム・マロリーを演じるのは、
「クイーン」でオスカーに輝いた名女優ヘレン・ミレン。
ドラマの展開によって、次第に心を開いていく姿を、
さすがの演技で魅せています。
インド料理店の主人には、250本以上の出演作を持つ
インド映画のベテラン、オム・プリ。
監督は、「ギルバート・グレイプ」「サイダーハウス・ルール」で知られる
名匠ラッセ・ハルストレム。
ハルストレム監督の作品にチョコレートを通じて、
仲たがいしていた「ある村」の人々が心を通わせていく
「ショコラ」という映画があります。ジョニー・デップの
代表先としても有名な作品なんですが、
この「マダム・マロリー」は、まさに「ショコラ」のインド版という
雰囲気の作品です。
フランスとインドという全く違う文化が、料理によって近づき、
理解しあっていく様子を、繊細に描き出しています。
実に後味のよい映画に仕上がっているので、
スタッフの名前を見てみたら、プロデューサーは、
あのスティーブン・スピルバーグ監督でした。
「なるほど!」という感じです。「未知との遭遇」や
「ET」では宇宙人との心の交流を描いた監督です。
この映画の基本のところもそれらの映画と通じているような気がします。
 
それから、なんといっても釘付けになってしまうのが、
物語を彩る料理の数々!
観ながらお腹がすいてくるのは間違いなし。
映画のサイトには、料理のレシピも紹介されていますので、
観て、作って、味わって、何度も楽しめる映画ですよ!
 
今日ご紹介した映画「マダム・マロリーと魔法のスパイス」は、
■Denkikan
で、今週土曜日・11月29日から公開されます。
 
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」オフィシャルサイト 
 
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