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「フューリー」

「FMK Morning Glory」
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「フューリー」です。
 
この映画は、ブラッド・ピットが主演・製作総指揮を担当した、
話題の戦争映画です。
タイトルの「フューリー」というのは、主人公たちが
乗り込む戦車のニックネームで、“激しい怒り”という意味です。
ブラッド・ピットは俳優しても人気ですが、
プロデューサーとしても有能な人物で、これまでも、
今年のアカデミー賞を受賞した「それでも夜(よ)は明ける」や
「ワールド・ウォーZ」や「キック・アス」など30本以上の作品の
プロデュースをつとめ、ヒットを連発しています。
 
そんなブラッド・ピット主演の最新作がこの「フューリー」なんです。
 
舞台は、第二次世界大戦末期の1945年4月。
ナチスドイツが陥落し、ヨーロッパ戦線が終結する1か月前の
ある1日の出来事を描いています。
ブラッド・ピットが演じるのは、ウォーダディー(war daddy)と呼ばれる、
シャーマン戦車隊の部隊長。
この部隊に欠員の穴埋めとして、
ノーマンという若い新人の兵士が配属されます。
わずかな訓練しか受けていないノーマンは、
突然送り込まれた戦場という過酷な状況に戸惑いながら、
仲間との親交を深めていきますが
進軍中にドイツ軍の攻撃を受けて、他の部隊がほぼ全滅。
なんとか生き残ったウォーダディーの部隊は、
たった5人で300人のドイツ軍部隊と渡り合うことになります!
 
この作品でいま一番の話題になっているのが、
撮影に本物の戦車が使われていること。
特に、ミリタリー・マニアにとても人気の高い、
ドイツ軍のティーガー戦車の本物が
劇中で活躍することが大きな売りになっています。
いまでは伝説化しているティーガー戦車は、
飛行機を打ち落とすほどの威力の88ミリの対空砲を備え、
装甲も10センチと当時としては驚くほど厚いボディ。
2キロ先のアメリカ軍のシャーマン戦車を一撃で
破壊するほどの高性能を誇った当時世界最高峰の戦車でした。
この高性能戦車と対戦するため、米軍は物量で対抗。
1台のティーガー戦車に対して、
複数のシャーマン戦車で対抗する作戦をとります。
それは、何台かの味方は破壊されることを想定した上で、
敵を倒すという非情な物量作戦でした。
 
「フューリー」に登場するティーガー戦車は、
イギリスのボービントン戦車博物館に収蔵されていた実物で、
現在残っている6台のうち、唯一走行可能なものを使用しています。
これまでの戦争映画で登場したティーガー戦車は、
主にソ連製の戦車を改造してティーガーに
見せたかけたものが多かったらしいです。
あの細部にこだわりぬいて」第二世界大戦を再現した
スピルバーグの超大作「プライベート・ライアン」でさえ、
戦車に関しては妥協するしかなかったということで、
今回の「フューリー」におけるホンモノのティーガー戦車の登場が、
いかに大変なことかということがお分かりいただけるかと思います。
 
監督・脚本を担当したデビッド・エアーは、
なんと海軍出身者。精神的にも肉体的にも
追い詰められた兵士達の過酷な状況を表現するため、
撮影前に俳優たちにトレーニング期間を設けただけでなく、
戦車の中での寝泊まりや野宿も経験させたそうです。
戦車を「我が家」として暮らす戦場の男たちのリアリティが
圧倒的映像で描かれています。
たった一日の物語なのですが、彼らが潜り抜けてきた
修羅場を観客が感じられるような「男の絆」が感じられる映画です。
 
今までの戦争映画のような英雄的な物語ではない、
戦争のリアルな状況を徹底的に追求し、
戦争の異常さ、愚かさを描き出した作品。
これまでのアメリカ映画では描かれてこなかった
「残酷な戦争の真実」が描かれています。
そのためアメリカでこの映画が公開された
衝撃はかなりものがあったようです。
来年発表されるアカデミー賞でも有力候補作品として
ノミネートされる可能性の高い力作です。
 
今日ご紹介した映画「フューリー」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■シネプレックス熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
「フューリー」オフィシャルサイト
 
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