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「真夜中の五分前」

「FMK Morning Glory」
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、今度の土曜日・12月27日から公開される
「真夜中の五分前」です。
 
FMKでは、毎月1回の生放送番組「月刊行定勲」でおなじみの行定勲監督。
このコーナーでも紹介した「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」に続いて、
今年2本目の映画の公開ということで、
監督の充実した仕事ぶりがうかがえますね。
 
今回の映画は、日本で大人気のイケメン俳優・三浦春馬と
中国で絶大な人気を誇る女優リウ・シーシー、
台湾のトップスター、チャン・シャオチュアンが共演し、
上海を舞台にした作品です。
原作は、本田孝好の小説。
2004年に発表された当時、side-Aとside-Bの2冊で
出版されたことで話題となりました。
当時映画化の話もあったそうですが、様々な理由で映画化が実現せず、
作者本人は「映像化は無理なんだろう」と考えていたとか。
それを今回、行定監督が見事映像化したわけです。
原作の舞台を上海に変更して、
映画ならではのいろんな仕掛けが凝らされ、
小説版とは、ひと味もふた味も違った仕上がりになっています。
 
さて、そのストーリーですが・・・、
主人公は、上海の時計店で修理士として働く、日本人の青年リョウ。
彼は知り合ったばかりの美しい女性ルオランから、双子の妹ルーメイへの
婚約祝いのプレゼント選びを手伝ってほしいと頼まれます。
実はルオランは、妹の婚約者ティエルンを愛していて、
妹への嫉妬心に苦しんでいました。
リョウはそんなルオランに寄り添い、気持ちを受け止めることで
少しずつ距離を縮めていきます。
ところがある日、ルオランとルーメイが旅先で事故に遭い、
ルーメイだけが帰ってきます。
 
ポイントとなるのは、ヒロインが双子ということ。リョウが愛しているのは
ルオランのはずですが、果たして本当にルオランだったのか。
本当はルーメイと入れ替わっていたのではないか・・・?
そんなミステリアスなストーリーが、エキゾチックな上海の街並みを舞台に
展開していきます。
 
美しく、ゆったりとしているけれど、片時も目が離せない・・・。
そんな作品です。
すでに中国では、全国4000スクリーンで公開され、大ヒットしているとか。
この4000スクリーンという数がいかにすごい数なのかは、
日本の全部のスクリーンを合計しても3400スクリーン程度ということで
おわかりかと思います。
つまり、この映画は、日本のすべての映画館、
すべての劇場でかかるより多いという巨大な公開規模だったといことです。
日本人監督としてはこのスクリーン数は史上初のことだそうです。
中国では、公開後、この映画のラストについて、様々な考察が行われ、
「真夜中現象」なるブームが起きているそうです。
確かに、この映画は、観る人によって解釈がいろいろと別れる部分があります。
その解釈を観た後にいろんな人と話したくなる映画なんです。
 
ぜひ、その中身を映画館で確かめてみてください!
 
行定監督の演出も凄いんですが、この映画スタッフもすごいんです。
照明を担当したのは、監督と同じく熊本出身の中村裕樹
中村さんは、実は行定監督と同じ熊本の第二高校の出身。
これまでも、「ラスト・サムライ」や「ノルウェイの森」など、
外国の監督とも仕事をしている国際派の照明マンです。
独特の上海の風景を見事な光と影で描き出しています。
サウンド・デザイナーは、ドゥ・ドゥチー。
彼は、ホウ・シャオシェンやウォン・カーウァイなど台湾や
香港の巨匠の映画を長年手がけてきたアジアを代表する音響マンです。
今回、上海の街の音や時計店の音など繊細な音の演出で
映像に一層の深みを与えています。
キャストもスタッフも、実にワールド・ワイド。
素晴らしい映画作りに国境などないということを、
この映画は示しているような気がします。
 
今日ご紹介した映画「真夜中の五分前」は、
■Denkikan
で、今週土曜日・12月27日から公開されます。
 
「真夜中の五分前」オフィシャルサイト
 
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