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「熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」 大森久光先生

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
11月から3ヵ月間、「FMK Morning Glory ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」と題してお送りしています。
 
11回目のゲストは、熊本大学 大学院 生命科学研究部
生体情報解析学 教授 大森久光先生です。
先生の専門である「COPD(慢性閉塞性肺疾患)の疫学」とは
どんな研究なのか、詳しく伺います。

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Q①お名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:大森久光(おおもりひさみつ)
所属:熊本大学大学院生命科学研究部生体情報解析学教授
 
プロフィール
 
学歴
1986年(昭和61年)3月産業医科大学医学部医学科卒業
1988年(昭和63年)4月産業医科大学大学院医学研究科博士課程入学
(生体情報系専攻)
1992年(平成4年)3月同修了(医学博士)
 
職歴
1986年(昭和61年)6月産業医科大学病院・臨床研修医
1992年(平成4年)4月産業医科大学呼吸器科助手
1992年(平成4年)7月
米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校
UniversityofCaliforniaSchoolofMedicine,SanFrancisco(UCSF)
心臓血管研究所リサーチフェロー
CardiovascularResearchInstitute,Fellow(Dr.CarolBasbaum研究室)
1994年(平成6年)10月産業医科大学呼吸器科助手
1996年(平成8年)6月日本赤十字社熊本健康管理センター
1997年(平成9年)4月同副部長
2002年(平成14年)4月同部長
2007年(平成19年)10月熊本大学大学院生命科学研究部公衆衛生・医療科学
准教授
2013年(平成25年)1月熊本大学大学院生命科学研究部生体情報解析学
教授
現在に至る
 
免許・資格など
日本呼吸器学会認定専門医、日本内科学会認定内科医、認定総合内科専門医
労働衛生コンサルタント(保健衛生)
日本人間ドック学会人間ドック専門医
 
その他の公的活動
2002年(平成14年)~熊本県健康管理協会評議員
2008年(平成20年)~2014年3月
労働安全衛生コンサルタント熊本県支部副支部長
2009年(平成21年)~熊本産業看護研究会顧問
2011年(平成23年)~熊本産業保健推進センター産業保健特別相談員
2011年(平成23年)~熊本県保健医療推進協議会計画検討専門委員会委員
第6次熊本県保健医療計画の策定
2011年(平成23年)~氷川町国保ヘルスアップ事業評価委員
2011年(平成23年)~熊本市CKD対策推進会議委員
2012年(平成24年)~第2次健康くまもと21基本計画策定委員会(会長)
 
Q②大森先生の専門である「COPDの疫学」とは、
どんな研究ですか、わかりやすく教えてください。
 
・COPDは、Chronic(慢性)Obstructive(閉塞性)Pulmonary(肺)Disease(疾患)の頭文字を合わせたものである。「肺の生活習慣病」として、健康日本21においても、その啓発が求められています。
 
・「疫学」は、「人々の中で起きている健康関連のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てるための科学」です。
 
Q③大森先生がこの研究に取り組むことになった
「きっかけ」のようなものがあれば教えてください。
 
以前、産業医科大学病院勤務の折、進行したCOPDの患者さんを診療させていただいた経験から、進行する前に、予防することが大切であることを改めて認識しました。
 
Q④大森先生の研究についてもう少し教えて下さい
 
研究をフィードバックできるようにするために、身近な健康診断とくに人間ドック受診者のデータと生活習慣との関連を主な研究テーマとしています。
特に、呼吸機能検査について、横断的、縦断的検討をおこなっています。
 
・テーマ
・COPD(閉塞性換気障害)の有病率
・COPD(閉塞性換気障害)の罹患率
・COPD(閉塞性換気障害)の併存症
など
 
Q⑤「COPD」とは、具体的にどのような病ですか?
具体的な症状などを教えてください。
 
COPDとは、
有害な粒子やガス主にタバコと言われますが、他には大気汚染や受動喫煙を長期的に
吸入することで生じた肺の炎症性疾患です。
進行性であり、肺胞壁の破壊や末梢の気道が狭くなるなどの気流制限がかかり、息を
吐き出しづらくなります。
COPDの特徴として、
①40歳以上、②喫煙歴(受動喫煙を含む)、③慢性的な咳嗽・喀痰や労作時の呼吸困難
が挙げられます。
COPDは、
知らず知らずのうちに、呼吸機能が低下するため、重症になるまで症状が出現しない
ことが多いです。
また、全身へ影響が及ぶため、心筋梗塞や糖尿病などの併存症を誘発すると考えられて
います。
 
Q⑥「人間ドック受診者のデータと生活習慣との関連を主な研究テーマ」と
されているそうですが、「COPD」に関して、生活習慣のどんな面が
健康に影響を及ぼしているのでしょうか?
 
日本においては、主な原因がタバコであるため、喫煙されている方は早めに禁煙を
おすすめします。
 
Q⑦「COPD」を予防するためには、どんなことが必要ですか?
具体的に教えてください。
 
喫煙しないことあるいは禁煙すること、そして定期的な胸部の健康診断による早期予防
です。
 
美肺延命とは、「美しい肺を保つことは、寿命(健康寿命)を延ばすことに繋がる」
という意味を持っています。
CKD(慢性腎臓病)も同様で、先駆けてのeGFRの導入と啓発の努力により浸透
しつつあります。肺は腎臓と並んで加齢による生理機能の低下が最も生じやすい臓器で
あり、喫煙により生じたCOPDは高齢者の生命を脅かす最大の脅威の1つと考えられて
います。その肺を美しい状態、すなわち機能レベルを正常に保ったまま年を重ねること
ができれば、健康長寿に結びつくと考えられます。
 
 
Q⑧今後の活動予定やPRしたいことなどあれば教えてください
 
・健康のために「美肺延命」(びはい・えんめい)が重要。
 
・COPDに関する啓発を今後も行っていきたいです。
 
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