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「シン・シティ 復讐の女神」

 
「FMK Morning Glory」毎週火曜日にお送りしています、
「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の
「シン・シティ 復讐の女神」です。
 
2005年に公開され、全米で大ヒットした映画「シン・シティ」。
そのおよそ10年ぶりとなる続編が、
今日ご紹介する「シン・シティ 復讐の女神」です。
 
このシリーズは、フランク・ミラーの伝説的なグラフィック・ノベル
「シン・シティ」を映画化したもの。
フランク・ミラーは、「バットマン」シリーズや
「300」(スリー・ハンドレッド)のクリエイターとして、
アメリカン・コミック界で伝説的な人物です。
この映画では、原作者のフランク・ミラー本人と、
「フォー・ルームス」や「スパイ・キッズ」シリーズ、
「マチェーテ」シリーズなど、アクション映画のヒットメイカーとして
知られる人気監督ロバート・ロドリゲスが共同で監督を務めています。
続編となる今回は、原作の中から最も人気の高いエピソード2話と、
新たに書き下ろされた2話を組み合わせて作られています。
 
出演は、ジェシカ・アルバ、ミッキー・ローク、
ブルース・ウィリスなどなどスターが大挙出演。
あのレディ・ガガも出演しています。
 
まず、予備知識として、
「グラフィック・ノベル」とは何か?というお話からしたいと思います。
「アメリカン・コミック」いわゆる「アメ・コミ」の中の いちジャンルとして
「グラフィック・ノベル」という分野があります。
一般的なアメ・コミと比べて、かなりダークな雰囲気と
大人向けな内容が多いのが「グラフィック・ノベル」です。
昔、日本の漫画でも大人向きな内容のものを
「劇画」と呼んだ時期がありました。「ゴルゴ13」や
「子連れ狼」などが「劇画」の代表作です。
アメリカ版の「劇画」が「グラフィック・ノベル」と言えるかもしれません。
 
それぞれのエピソードの主人公は、
愛する男性を亡くし、その復讐に燃えるストリップバーのダンサー、ナンシー。
恐ろしげな見た目から、野獣と呼ばれる男マーヴ。
野望を持ったギャンブラー、ジョニー。悪女を愛し、裏切られた探偵ドワイト。
彼らは、シン・シティ最大の権力者であり、悪の根源であるロアーク上院議員への
復讐心をつのらせ、彼に立ち向かうために手を組んで立ち上がります。
果たして、ナンシー、マーヴ、ジョニー、ドワイトは
復讐を果たし、ロアークを倒すことができるのでしょうか!?
 
当然、この映画では、「グラフィック・ノベル」の原作テイストを
たっぷりと生かした作りになっていますので、「R-15指定」です
。中学生以下は観られません。
「お子様お断り!」の激しい暴力描写やセクシー描写が
満載の作品に仕上がっていますので、ご注意ください。
 
前作「シン・シティ」は、原作の大ファンだったロドリゲス監督が、
共同監督の原作者とまったく新しいビジュアル・イメージを追及して
つくった新感覚のアクション映画でした。
一番の特徴は、モノクロ&パートカラーの作品であるという点。
モノクロで描かれた「闇の世界」を描いている原作のテイストを
映像に生かしているんですが、単なる白黒でなく、
ポイント、ポイントで部分的に色を付けてあって、
それが独特の世界観を生んでいます。
今回の続編でも、そのタッチは継承されていて、
「シン・シティ(罪の都市)」の恐ろしさがゾクゾクするタッチで描かれます。
 
例えば、白黒の世界の中で、パトカーのライトがだけが、
赤く光っていたり・・・・・。
悪人の流す血は、白く処理されているんですが、
主人公たちが流す血だけ、赤くしてあったり・・・・・と
独特の色彩設計がされています。
色を制限して、本当に重要なものだけに、
色をつけるという逆転の発想です。
少ない色で、いろんなイメージが伝わるよう
注意深く演出されていますので、その点も見逃さないようにしてくださいね。
ポイントは、その画面で何に色がついているか?です。
 
グラフィック・ノベルの作者が監督をしていることもあって、
映画全体がコミックのような雰囲気で作られているのも大きな特徴。
登場人物の人相も、かなりデフォルメした怪物のような
キャラクターが何人も出てくるんですが、
モノクロの映像の世界観と不思議と馴染んでまったく違和感がありません。
フツーのカラー作品だったら、ギャグになりそうな
ものすごい形相のキャラクターぞろいなんですが、
むしろカッコよく見えるから不思議です。
特にミッキー・ローク演じるマーヴの野獣ぶりは注目です。
 
ストーリーは、前作を見ていることを前提に作られていますが、
映画が始まる前に簡単なおさらいが流れますので、
必ずしも前作を見ていなくても大丈夫。
年の初めにガツンと刺激をもらいたい人には、オススメの1本ですよ!
 
今日ご紹介した映画「シン・シティ 復讐の女神」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■シネプレックス熊本
で、現在公開中です。
 
「シン・シティ 復讐の女神」オフィシャルサイト
 
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