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「悼む人」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、今週土曜日・2月14日から
公開される「悼む人」です。
 
この映画は、「永遠の仔」や「家族狩り」などのベストセラー作家
天童荒太が直木賞を受賞した同名小説を、
高良健吾主演で映画化したものです。
「悼む」とは、亡くなった人の冥福を祈ること。
「追悼」の「悼」の字を書いて「悼む」と読みます。
映画の中では、さまざま事件によって亡くなった人たちを悼むエピソードが展開します。
 
メガホンを取ったのは、「20世紀少年」3部作や「TRICK」シリーズなど
エンターテインメント性の高い作品で知られる、堤幸彦監督。
原作の天童荒太というと、児童虐待や家族の崩壊など、
社会の暗部に焦点を当てた重厚な作品で知られている作家ので、
どちらかというと“軽い”イメージの堤監督との組み合わせを意外に思うかもしれません。
しかし、堤監督は若年性アルツハイマーを描いた「明日の記憶」や
知的障碍者の娘と、父の愛情を描いた「くちづけ」など
現代日本の問題を取り上げた作品も積極的に手掛けている監督。
特にこの「悼む人」は監督が惚れ込み、舞台化したのち
念願の映画化に至ったという作品なんです。
 
主人公は、あることをきっかけに事件や事故に巻き込まれて
亡くなった人々を「悼む」ため、全国を旅している青年・静人。
週刊誌記者の蒔野抗太郎は取材先で静人と出会いますが、
日ごろからセンセーショナルな記事を得意とし、
そんな情報に長年まみれていたことから、人の善意など信じられずにいました。
彼は静人の「悼む」という行為も、単なる偽善ではないかと疑い
化けの皮をはいでやろうと、静人の身辺を調べ始めます・・・。
そんな静人は、ある人を「悼む」場所で、
倖世という女性と出会い旅をともにすることになります。
何故、静人は、「悼む人」になったのか?
倖世はどうして旅をともにすることにしたのか?
次第に謎が明らかになってゆきます・・・・・・・。
 
死者を悼む青年・静人を演じるのが、
ここ数年でグングンと俳優としての評価を上げている高良健吾。
先日もテレビのインタビューで熱い「熊本愛」を語っていましたが、
本当に熊本が好きな人なんです。
この「キネマのススメ」では「フィッシュ・ストーリー」という作品で
初めてインタビューしました。
その後、「武士の家計簿」でもインタビューしまして、
俳優としての成長をずっと見守ってきたと言ってもいいと思います。
 
ホント、順調すぎるぐらいの成長ぶりで、
今年は「大河ドラマ」でも重要な役を演じていますし、
日本を代表する俳優の一人になったと言っていいと思います。
ずっと、見守ってきた映画ファンとしては、とても嬉しいですね。
 
この映画では、リュックを背負って、
トボトボと歩く姿が印象的に登場するんですが、
かなり重いリュックだったそうで、最大14キロの重さがあったそうです。
この歩くシーンにも注目して観てほしいですね。
 
高良くん以外のキャストも素晴らしい面々が揃いました。
静人に疑いの目を向ける記者・抗太郎には、椎名桔平。
静人と一緒に旅をする謎の女性・倖世を、石田ゆり子が演じています。
彼女は原作小説が発表されたときに、とても感動して
原作者に手紙を送ったそうです。これまで彼女が演じてきた役とは、
かなり違った難しい役ですが、見事に演じ切りました。
石田ゆり子の代表作と言えると思います。
倖世の夫を、演じたのは、最近メキメキと面白い演技を見せている井浦新。
そのほか、貫地谷しほり、大竹しのぶなど、
豪華キャストが共演しています。
特に、大竹しのぶ演じる静人の母の演技が凄いです。
1957年生まれの現在57歳。
あと20年は女優・大竹しのぶの時代が続くんじゃないでしょうか?
 
人の“生と死”をテーマにした作品なので、
ちょっと重たく感じる方もいるかもしれませんが、
誰もが心の中に持っている悲しみに寄り添ってくれる、
そんな優しい作品になっています。
「9.11」や「東日本大震災」など、多くの人が命を奪われた現代。
「悼む」という行為が人の心にどういう役目を果たすのか・・・・・。
そんなことを考えながら見ていただくと、
共感する点が多いんではないでしょうか?
 
今日ご紹介した「悼む人」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■シネプレックス熊本
で、今週土曜日・2月14日から公開されます。
 
「悼む人」オフィシャルサイト
 
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これまでの高良健吾インタビューは以下にアップされています。
 
 
 
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