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「不思議少年」

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
今日は短編劇の全国大会で優勝した熊本の劇団
「不思議少年」のみなさんがゲストでした。

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◆ご出演の方のお名前と職業・所属など
 
名前:大迫旭洋(ふりがな)おおさこてるひろ
所属:不思議少年
プロフィール:1988年8月24日、宮崎県出身。
熊本大学演劇部を経て、「不思議少年」を立ち上げ、代表になる。
全ての作品の作・演出を担当している。
日本演出者協会「若手演出家コンクール2014」にて優秀賞・観客賞受賞。
劇王天下統一大会2015にて優勝。劇龍王という称号を頂く。
今全国から注目を集めている。演劇が好き。
 
名前:森岡光(ふりがな)もりおかひかる
所属:不思議少年
プロフィール:1989年5月16日、長崎県対馬出身。
「不思議少年」立ち上げメンバーであり看板役者。
儚い女の子からおばあちゃんまで、何でもこなす。
九州を代表する女優。
 
名前:磯田渉(ふりがな)いそだわたる
所属:不思議少年
プロフィール:熊本市出身。現在大学3年生。
不思議少年には2013年5月に入団。
劇団きららへの客演など、今注目を集める若手俳優。
 
Q 「不思議少年」について、基本情報をお願います。
 
「不思議少年」(ふしぎしょうねん)劇団員数は現在3名。
代表の大迫旭洋、役者で制作の森岡光、役者の磯田渉。
「笑いとせつなさと再発見」を創作のキーワードに、
良質なエンターテイメントを提供する。
現在までに、9回の本公演と多数のイベントに参加。
熊本を拠点に、全国的に活動中。
ホームページ:http://fushigishonen.boy.jp
 
Q劇団「不思議少年」結成のきっかけをお願いします。
 
熊本大学演劇部を経て、
「やりたいことをやれる」場所が欲しくて作りました。
劇団名に特別な意味はなく、インパクト重視。
自分たちの表現を突き詰めて、
それを熊本に、九州に還元するための劇団です。
 
Q今年3月の演劇の全国大会「劇王天下統一大会2015」で
「不思議少年」が優勝、「日本演出者協会若手演出者コンクール」では
観客賞を受賞したそうですが、これらはそれぞれどんな大会なのですか?
 
「劇王天下統一大会2015」
短編演劇の全国大会。今年は神奈川県で開催されました。
北は北海道から南は沖縄まで、全国の予選や
推薦によって選ばれた12団体が勝負します。
審査員にはラサール石井さんや神奈川県知事の黒岩さんなど、
豪華なメンバーが集まり、その様子がケーブルテレビで放送されるなど、
まさに県をあげてのイベントでした。
決勝戦では僅差の審査員票に対し、
181票中104票の観客票を得て優勝しました。
 
日本演出者協会「若手演出家コンクール2014」
日本演出者協会が主催するイベントです。
今年度は全国から67名の応募があり、
審査を経て残った4名が、東京・下北沢「劇」小劇場にて
最終審査の上演を行いました。
審査員による決戦投票は、不思議少年は1票差で
準優勝でしたが、観客投票では41票中最多の17票を獲得し、
観客賞を受賞しました。
 
Qこれらの大会で「不思議少年」が発表した演劇は
どんな作品だったのですか?
具体的に説明をお願いします。
 
劇王参加作品『スキューバ』
ずっとイルカになりたかった、女の子のお話。
自分の子どもたちに、絵本を読み聞かせるお母さん。
それは、「エミナ」という女の子が、イルカを夢見るお話でした。
トレーナーを目指すエミナでしたが、
その未来はなかなか思うようにいきません。
そのエミナのお話は、実はお母さんの人生を描いたものでした。
絵本を軸に「現実と物語」
そして「過去と未来」が繋がる、家族の物語です。
 
若手演出家コンクール参加作品『棘』
きっとどこにでもいる、ある女の物語。
ある雨の夜、一人の女が死んだ。
「なんで私はこうなっちゃったんだろう」
彼女の口から、自身の人生が語られる。
それを見つめる、一人の坊や。
坊やは彼女の人生の中へと入ってゆく。
人生が終わる瞬間、彼女は何を想うのか。
ある女の人生を描く、不思議少年の粋が詰まった二人芝居です。
 
Qこの大会で「不思議少年」が評価されたのは、どんな点だったのですか?
審査員の具体的講評などあればお願いします。
 
劇王『スキューバ』について
鴻上尚史さんから「このデジタルの時代に、
演劇が存在している意味を見つけられた」という講評をいただきました。
スキューバは、ダンスや場面の切り換え、
一人多役など演劇だから出来る遊びが
たくさん詰まっていたからだと思います。
その他にも、渡辺えりさんからは「緊張と緩和のバランスが抜群」、
柴幸男さんからは「演劇の魔法がたくさんつまった作品」という
講評をいただきました。
 
若手演出家コンクール『棘』について
オイスターズという劇団の平塚さんから「女優が魅力的」という
講評をいただきました。
そのほかにも、演出をその世界の調和が一番取れていた、
などの講評もいただきましたが、
鐘下辰男さんから「いいね!ボタンが押しやすいSNS演劇」
「共感はしやすいけれど、だから何?と
思われたらそこでおしまい」などの講評もありました。
悔しかったので、共感の先にある本質を描ける人間になりたいです。
魅力的なアーティストである前に、
魅力的な人間になりたい、と思いました。
 
Q活動を通じての苦労、やりがいなどあればお願いします。
 
面白い表現とは何か?ということをよく考えます。
公演をやっても来るのは知っている人だけで、
自己満足なんじゃないかと悩んだ時もありました。
そんな時、縁があって早川倉庫の歴史を描いた
『リフォーム』という作品を上演しました。
早川さんがとても喜んでくださったこともあって、
「この演劇で、伝えられる物語がある。そして、それはきっと役に立てる」と
自分が磨いてきた表現に、本当の自信が持てるようになりました。
そして、その表現で、九州と、全国の人と繋がりが
持てるようになったのが何よりの喜びです。
日本中に仲間がいて、それぞれの場所で戦っていて、
きっとまた出会うことが出来る。その再会を心待ちに
するのと同時に、「どうだ、九州の表現って面白いだろう」と
胸を張って言えるように、日々研鑽しています。
 
Qこれまでの活動で一番印象的な出来事は何ですか?
 
やっぱり、劇王で日本一になった瞬間だと思います。
九州からあまり出たことがなく、
面白いものを作っているという自信はあったのですが
それは全国でも通じるものなのかという不安はありました。
そんな、不思議少年のことを誰も知らない場所で、
圧倒的に観客から支持されたことが、
何よりの自信になりました。
今、九州に、熊本に、日本で一番面白い演劇がある。
プレッシャーも勿論ありますが、その生き証人になれるよう頑張ります。
 
Q今後、どんな演劇をやっていきたいですか? 
 
演劇をやっている人のための演劇でなく、
今、ここに生きている目の前のお客さんに伝わる
演劇をしたいと思っています。
「笑いとせつなさと再発見」観ているときはケラケラ笑えて、
ちょっと切なくなって、家に帰ったときに、
自分の人生を考えることのできる「何か」を残せるような、
よし、今日も頑張ろう、という少しの原動力になるような
舞台がつくりたいです。
そして、演劇って本当に面白いものだと思うので、
その面白さをより多くの人たちに伝えていきたいです。
同じ空間で、目の前で役者が呼吸をしている。その空気。
たった一時間なのに、何年何十年もの時間が流れていったり、
ぐにゃりと空間が歪んで、いつもとは違う場所に連れていかれたり。
テレビでも経験できない体験が出来る、そんな演劇がつくりたいです。
 
Q熊本県民にPRしたいこと、
今後の活動予定、お知らせなどあれば教えてください。
 
きっとまだまだ知られていないと思うんですが、
ここ熊本には面白い演劇がたくさんあります!
不思議少年だけではなく、大先輩である劇団きららさんや石さん、
市民舞台さん、若手も元気があって、毎年10月に開催される
若手演劇バトル「DENGEKI」は
今年で4年目を迎えます。
是非、近くの劇場まで、足をお運びくださいませ!
 
そして、不思議少年の年内の予定ですが、
7月の第一週に開催される「上通演劇まつり」に参加します!
7月3~5日まで、上通アーケードや
現代美術館アートロフトが演劇に染まる3日間。
なんと入場無料です!是非お立ち寄りください。
そして7月20日には、熊本子ども劇場のイベントに参加します。
「すばらしいせかい」という一時間の短編集、
親子で是非遊びに来てください。
そのほかにも、大分や宮崎、北九州での公演があります。
不思議少年のブログやツイッターで随時お知らせしますので、
是非チェックしてください!
 
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