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玉名市立歴史博物館こころピア

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする
「ヒューマン・ラボ」。
玉名市立歴史博物館こころピア兵谷有利さんがゲストでした。

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プロフィール:大分県大分市出身。
別府大学文学部史学科考古学専攻。平成5年に玉名市に勤務。
玉名市立歴史博物館こころピア建設準備室を経て、博物館勤務。
博物館では企画展や研究発掘を担当する。
平成15年から社会教育課にて文化財保護関係の職務に携わる。
平成17年の1市3町の合併後に新玉名駅建設に伴う
埋蔵文化財発掘調査などの発掘調査を行う。
平成26年に博物館係長として11年ぶりに戻る。
 
Q 「玉名市立歴史博物館こころピア」について基本情報をお願います。
 
館全景写真2.jpg

玉名市立歴史博物館こころピア
玉名市岩崎117
午前9時~午後5時(入館は4時30分まで)
電話 0968(74)3989
ファックス 0968(74)3986
 
Q 最近、「玉名市立歴史博物館こころピア」に
若い女性がたくさん来館されているそうですが、
どういう経緯でしょうか?
 
今年1月に、全国の業物刀剣を美男子に擬人化した
キャラクターが登場するオンラインゲーム「刀剣乱舞」が
きっかけとなり、若い女性の間で話題になっています。
このゲームの中に、玉名で造られた「同田貫正国」が
キャラクターとして登場し、
ファンが実物の刀を見たいと博物館に殺到しました。
ゲームを知るきっかけは、
市HPに「同田貫正国を展示してますか?」のお問合せでした。
館では常設展で「同田貫正国」を展示中でしたので、
この情報を市HPにアップしたところ、
ゲームファンが情報をツイッターでさらに拡散、
市HPのアクセス数が数日で約1万7千件になりました。
入館状況は、2月末から来館者が増加し、
5月の連休中が最高潮で、平日には数十名、
週末は百名近くが刀剣「同田貫」だけを見に来ました。
博物館では、常設展に1振り展示していましたが、
5月20日から3振りを急遽追加展示したところ、
さらに来館者が増加し東京、大阪をはじめ、北海道、
沖縄から来る方、2回目、3回目と見に来る方もいました。
「刀剣乱舞」ファンは「同田貫」を「たぬき君」の愛称で呼び、
キャラクターは「無骨な自分に何を求めるか、
武器だからただ斬れて、強ければいい」、
「兜を割ったのは俺だけだ」が名セリフで、
実戦刀「同田貫」をうまく表現しています。
 
*「刀剣乱舞」詳細は公式ホームページをご確認ください。
 
Q 展示されている「同田貫」について、説明をお願いします。
 
6月までは正国(上野介)、清国を展示していました。
現在は正国の1振を展示しています。
同田貫は菊池から玉名に移住して鍛刀した刀工で、
初代を正国(上野介)は亀甲で鍛刀を行い、
多くの作刀を残しています。その兄清国も伊倉で鍛刀しますが、
作刀は少なく一代限りでした。正国と清国は加藤家の
御用鍛冶として活躍しますが、加藤家改易後一時衰亡します。
初代正国から9代目正勝が再興し、10代宗広、
11代宗春が正国以降では、最も有名です。
明治9年廃刀令で作刀の機会も次第に少なくなります。
明治19年に明治天皇の御前で行われた天覧試合で、
講武館の剣豪榊原健吉の手によって見事に兜を割り、
同田貫の名を世に広めます。

●同田貫上野介
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●なかご(握りの部分)
なかご(握りの部分).jpg
 
Q 「同田貫」の魅力、特徴についてお願いします。
 
「兜割り同田貫」に代表されるように、
剛健にして折れず曲がらず、美装より実用本位に鍛えられ、
切先は中切先、刃紋は直刃、身幅が広く、重ねが厚いのが特徴です。
 
Q 「同田貫」の展示はいつでも見られるのですか?
 
常設展には1振展示していますので、いつでも観覧は可能です。
今年度はスケジュールが決まっていますので、
刀の企画展はありません。
 
Q その他の「玉名市立歴史博物館こころピア」の展示に関して、
見どころなどあれば説明をお願いします。
 
かって菊池川を中心に港町として栄えた玉名を
「河とともに発展した玉名」をテーマに常設展示をはじめ、
企画展、催し物、体験学習をとおして紹介します。
古代には菊池川流域で作られた舟形石棺や
大宰府の瓦と同じ鬼面文鬼瓦。中世には菊池氏の玄関口として
開かれた高瀬津・伊倉津、日本で最初に陸揚げされた
国崩しの大砲のレプリカ。近世には肥後米の
積み出し港であった永德寺の船着き場などの紹介を行っています。
企画展では郷土に残る文化を絶やさないよう、
常に調査・研究を行った成果を展示しています。
また、体験学習も多種多様な活動を友の会とともに行っています。
地域に開かれた博物館であるよう、職員一同頑張っています。
 
Q 活動通じての印象的なエピソードなどあれば、お願いします。
 
刀剣乱舞を知らない時期に、
来館者が1時間以上展示室から出てこなかったため、
展示室に確認しに行くと、刀剣を展示している横に座っていました。
「大丈夫ですか?」と声をかけると「何でですか?」との返事、
「この同田貫だけを見に来ました。」
・・ただ1振を1時間以上観覧。3振増やした時期には
約3時間半展示室で観覧されたお客さんもいました。
通常、館内の常設・企画展を解説しても1時間ぐらいなのに驚きました。
 
Q 今後「玉名市立歴史博物館こころピア」でやってみたい夢などありますか?
 
今回は突然の刀剣ブームであったため、
各博物館・美術館が上手に対応できなかったが、
九州国立博物館、福岡市博物館などと連帯し、
展示期間などを合わせて、刀剣を展示することができるなら、
県外からの来館者もさらに増加するでしょう。
福岡=玉名=熊本の刀剣ラインを作り、
玉名温泉で一泊して頂き、
さらに玉名を知っていただく機会をつくってみたいです。
 
Q 熊本県民にPRしたいこと、
今後の活動予定、お知らせなどあれば教えてください。
 
7・8月は子ども向け体験学が習盛り沢山。
 
○12日から始まった「たまなまるかじり」では
海・川・野・山・空の5つの分野に分けて郷土玉名の自然を
十二分に味わってもらう自然観察会です。
 
○終戦70周年を記念した企画展が7月25日から始まります。
企画展開催記念座談会も同日行われます。
 
○8月1日から玉名の昆虫展で身近な昆虫から希少種など標本で紹介。
夏休みたんけん!博物館は問題を解きながら博物館をたんけん。
30日まで開催
 
○8月8日は科学を身近に感じてもらう、子ども向け科学体験。
 
○8月15日は戦時下の食事を作って、食べる体験。
 
申込が必要な体験学習がありますので、
詳細は玉名市のホームページでご確認ください。
 
★スタジオに同田貫(模造刀)をご持参頂きました!
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間近で見ると結構怖い?!
 
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