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行定勲

行定発言!

Q:映画を見るとき、なにを基準に選べばいいんでしょうか?? 
(ドリームラバーさんからの質問)

A:まずは、僕の映画を見て欲しいんですけど・・・(笑)
 最近、映画がたくさんあって、情報もあふれているんで
 宣伝が多い映画を見がちなんですよ。
 僕の場合、見る基準は、
 その監督が「本当にこの映画を作りたい!」と
 思っていたかどうか・・・・
 監督が、「俺はこれがやりたかったんだ」
 というものが見えている映画
 それはいい映画だと思います。
 作り手が「自分はこれがやりたかった!」
 「この世界を見たかった!」というものを
 観客に見極めてほしいと思います。
 僕は少なくとも、オファーされたものの中でも
 撮れないものは断るし、
 自分が撮りたいと思うものしか撮らないんです。
 世の中には、そうじゃない映画でも、
 ヒットしている映画もたくさんあります。
 ベルトコンベアーに乗っているような映画を
 面白いと思った自分も、後に
 「なんであんな映画を面白いと思ったんだろう・・・?」という
 教訓も得られるとは思いますけどね・・・・・。
 でも、ホンモノの映画に出会ってほしいんですよ。
 今度の僕の映画「ユビサキから世界を」も
 そんな映画になっていると思ってますけど・・・・・。 

(5月12日放送「月刊行定勲」より)

行定発言!

Q:行定監督は、妻夫木聡さんを主演にした作品が
 3本(『JUSTICE』『きょうのできごと』『春の雪』)もありますが、
 お気に入りの役者さんなんでしょうか? 
(きみこさんからの質問)

A:すごく気にってますね!
 彼とやるのはラクだし、
 関係性が1作品ごとにどんどん深まっていくんですね。
 「JUSTICE」「きょうのできごと」の頃は、
 いまの兄ちゃんって感じで
 等身大の若者像をやってくれました。
 それは誰でもない役なんです。
 今回の「春の雪」の清顕って男は、
 そうでなく、自分の自我とぶつかったり、
 戦ったりする役なんです。
 僕も、いまの妻夫木にしかできない芝居を求めたし、
 それをやってくれましたね。
 今回、彼の成長をすごく感じましたね。
 撮影現場で、いつも僕の後ろにずっといるんです。
 彼は映画をつくる空気の中にいることが
 とても大切だってことがわかっている
 数少ない俳優のひとりですね。
 監督と一緒にいることで
 何かを感じようとしているんです。

(5月12日放送「月刊行定勲」より)

行定発言!

Q:映画「春の雪」は三島由紀夫の原作ですが、
 なぜたくさんある三島作品から「春の雪」を選んだのですか?
(ミューミューさんからの質問)

A:高校時代に三島由紀夫をよく読んでいたんですよ。
 三島作品というのは、青春時代の人間の稚拙さみたいなもの、
 欠落感みたいなものが介在している小説だと思うんです。。
 完璧なものを求める感じというのは、
 10代の時に読んだときの方が、
 ビビッドなんですよ。痛いんですよ。
 大人になってから読むと、
 デカダンなものや深みみたいなものを
 もっと分析的に読めるんだけど・・・・・。
 子どものころはそうではないんですよ。
 そういう意味では、「春の雪」は、
 現代に一番伝わる作品かな・・・・
 と思うんですよ。

(5月12日放送「月刊行定勲」より)

行定発言!

Yukisada060522

Q:映画「ユビサキから世界を」に熊本に関係する方が
 出演されてるそうですが・・・・・?

A:ここで初めて発表するんですけど、
 ぼくの高校時代のヒーローに出てもらったんです。
 かなぶんやさんに出演してもらいました!
 実は「世界の中心で、愛をさけぶ」の時に、
 「ミッドナイト・ウェーブ」というラジオ番組が登場してきて
 その時は、渡辺美里さんにやってもらったんですけど、
 当初、僕の中では、アーチストがしゃべるというよりは
 普通のDJのイメージだったんで
 かなぶんやさんがいいと言っていたんですよ。
 僕は、渡辺美里さん、佐野元春さん、
 バービー・ボーイズ、レッド・ウォーリアーズなど
 日本のロック、外国のロックを
 ぶんやさんから教えてもらったんですよ。
 僕の中では、「DJ」と言えば、かなぶんやさんなんです。
 今回の「ユビサキから世界を」は、
 刹那的な青春の1ページ、夜の学校に忍び込む話。
 女子高生たちが、没収されたラジオを探し出して、聴くんですよ。
 彼女たちがチューニングしたラジオから
 アンダーグラフの曲が流れてくる・・・・・・
 それを紹介するのが、かなぶんやさんなんですよ。
 僕のイメージの中では、
 「ミッドナイトウェーブ」の水曜日あたりは 渡辺美里さん、
 金曜日の夜あたりが、ぶんやさんなんですよ。

(5月12日放送「月刊行定勲」より)

行定発言!

Q:映画「ユビサキから世界を」ってどんなストーリーなんですか?

A:5人の女子高生が集団自殺しようとする話です。
 だけど、最期は「生の輝き」のもとに
 生きようとする・・・・っていう
 ひたむきな女の子たちの話です。
 ジーンとくる話かもしれませんね。
 相当奇想天外な展開もするんで、
 ちょっとコメディ的な要素もあります。
  これ作っていて、自分でも発見したのは、
 なんか「善」とか「悪」とかが、
  全部裏返しになっているんですよ。
 すごく悪いことしているのに、
 決して悪いことしてるように見えなかったりとか、
 死のうとしているのに、
 生きようとしてるように見えるとか・・・・・。
 そういう話なんですよ。
 自分がそういう映画をやろうとしていたんだけど、
 俳優が実際に演じることによって
 如実に見えてくるものもあるんです。
 久々に、低予算で休みなしの10日間で撮影したんですけど、
 ものすごく充実した10日間を過ごさせてもらいましたね。

(5月12日放送「月刊行定勲」より)

行定発言!

Yukisada060517

Q:映画「ユビサキから世界を」ってどんな人たちが登場する物語なんですか?

A:女子高校生が主役の物語です。
 すっと前からそういう企画が自分の中にはあったんですよ。
 生きてるんだけど、なんか生きていない感じがする人たち・・・・。
 「死ぬ」とか「死なない」とか言う言葉を簡単に使ってしまう人たち。
 実際は、死ぬとか生きるとかいうことは分んない・・・・・そんな人たち。
 いまはそんな時代だというとらえ方を僕はしているんです。
 僕も高校時代とかにバンドやっていて、
  死ぬとか生きるについての歌詞を書きがちなんですよ。
 ランボーとかボードレールとかの詩に感化されて・・・・・。
 でも「死のう」という言葉を元に死のうと思っていたんだけれど、
  生きるってことは何なのかということを実感していくような
  映画があればいいなと思ったんですよ。
 アンダーグラフの曲がそんな気がしたんですよ。
 「希望の光など射さないけれど、ユビサキから世界を変えていこう」・・・・・
 そういうことを登場人物たちが実感しているような歌だ
  という気がしたんで・・・・・。
 
(5月12日放送「月刊行定勲」より)

行定発言!

Yukisada060516

Q:アンダーグラフの「ユビサキから世界を」を映画化にするという
 今回のプロジェクトはどういうきっかけだったんですか?

A:最初、プロモーションビデオをやんないかって話があって、
 僕はプロモ・ビデオはプロじゃないんで、
 あんまり作らない主義なんですよ。
 短編の映画がいいかなって思って・・・・。
 例えば、アンダーグラフの歌詞をもとに映画を作って、
 そのエンディングにアンダーグラフの曲が
 実際にかかれば面白いかな・・・・・と。
 それは浜崎あゆみさんの「月に沈む」の時と
 同じ方式なんですけども・・・・・・。
 短編だと15分か30分ぐらいの感じなんですけど、
 結果、一晩でシナリオを書いてみたら、
 60分ぐらいのシナリオの長さになってしまったんですよ。
 でも「それ面白いからやってみましょう!」ってことになって、
 実際に映画化することになったんですよ。
  
(5月12日「月刊行定勲」より) 

行定発言!

Yukisada060508

Q:時代劇があったり、ラブストーリーがあったり、
 行定監督の作品って、ホントいろんな種類があるんですが、
どうやって作品を選んでいるんですか?
 (きみこさんからの質問)

A:流れがあるんですよ、自分にとっての・・・・・。
 その時の気分とかもあると思うし・・・・。
 ただ一番大きいのは、自分が一度やったことをやらない。
 一番いけないのは「自己模倣」ってヤツですね。
 まだ自分のスタイルに溺れるほど経験がないんですよ。
 自分の人生的な経験も・・・・。
 たぶん映画のこともわかってないから、
 いろんなことをチョイスしながら、
 いろんなテーマにぶつかりながら、
 自分も含め いろんな社会や世界みたいなものを
  見たいと思ってるんですよ。
 映画を1本つくると、
  すごくその世界に深く関わるんですね。
 いま世の中の人って、
  関わることを回避しているってとこあるでしょう。
 なるべく人と関わりたくない。すぐ孤立してしまう・・・・・。
 それこそニートや引きこもっている人もいるし・・・・・。
  関わることを遮断すると、
  自分だけの世界の中に閉じこもる・・・と
 それは、繰り返し繰り返し
「自己模倣」しているような感じなんですね。
 本当は、外の人とコミットしてぶつかった時に、
 全然違う影響を受けるんですよ。
 そこに新しい世界が開けるんですよ。
 
(4月7日「月刊行定勲」より)

行定発言!

Q:行定監督は、かなぶんやさんの番組を昔よく聴いていたってホントですか?

A:聴いてましたよ!
「ぶんやさんにロックを教えてもらった!」と言っても過言じゃないですよ。
ぶんやさんの番組には、影響受けましたね。
誠実に力強くロックを応援してくれる・・・・・・
足を引っ張るんじゃなくて、すごく押してくれる感じの
ロックへのぶんやさんの姿勢は、
熊本にロック少年たちを確実に増やしたと思うんですよ。
ありがたいですね。

(4月7日「月刊行定勲」より)

行定発言!

Yukisada060502

Q:行定監督のお話を聴いているともう一度「世界の中心で、愛をさけぶ」を観たくなりますね?

A:「世界の中心で、愛をさけぶ」を観て、篠田昇カメラマンの気持ちを感じてほしいんです。
あの映画は、すべて篠田さんが最初に見た「目」なんですね。
手持ちカメラも多いし、ワンシーン・ワンカットで森山未来を追いかけているシーンもあります。
「どうやって撮ってるんだ?」というカメラがハードに動くシーンもあります。
すい臓癌で病み上がりの人がやったとは思えない偉業です。
仕上げの段階で篠田さんは
「俺はいま現存する35ミリというフィルムを使って、これ以上美しい映画はないだろうという映画を撮った。
もう思い残すことはない」
と言っていました。
「世界の中心で、愛をさけぶ」は彼の人生がつまった映画なんです。

(4月7日「月刊行定勲」より)

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