3月27日(木)の名盤は…
今日はシンプル・マインズの「ウォーターフロント」を紹介しました。
1980年代の音楽と言えば、皆さんどういったイメージを思い浮かべますか?
もちろん例外はありますが、一般的に言うと、独特のキラキラ感があって、
派手なサウンドが特徴だったと思います。
時代がバブリーで、そういった音を求めていたことや、
デジタル技術の台頭が要因と言われている訳ですが、
そんな派手な音を形成する典型が、シンセサイザーと、
個性的なドラムの音ではないでしょうか。
1980年、イギリスのスティーヴ・リリィホワイト、そしてヒュー・パジャムという、
どちらもプロデューサーであり、エンジニアでもある2人が、
世界中に革命を起こす発明をしました。
普通、ドラムの音は「ドッ・ドッ・タン、ドッ・ドッ・タン」と鳴るとします。
この「タン」にエコーをかけると、「ドッ・ドッ・ターン」となります。
ここまでは以前からありました。
彼ら2人はこの「ターン」の残響が自然に消えてしまう前に、
ノイズ・ゲートという機材でバッサリ切ったのです。
これによって「ドッ・ドッ・ター、ドッ・ドッ・ター」という、
それまで誰も聴いたことがなかったドラム・サウンドが誕生しました。
これをゲート・エコーと呼びます。
これを耳にした世界中のミュージシャンから2人に仕事のオファーが殺到、
一躍売れっ子のプロデューサーとなりました。
そうなると、他のエンジニアやスタジオも徹底的にゲート・エコーを研究し、
マネし始めるのは当然。猫も杓子もゲート・エコー。もうブームなんてものでなく、
80年代のドラム・サウンドを支配してしまいました。
冗談ではなく、この時代のヒット曲は、
ほとんどゲート・エコーが使われていますが、
90年代には飽きられ、その反動でナチュラルなドラムの音が流行しました。
「80年代の音楽が好きだなー」という人の多くは、
このゲート・エコーの音が好きなのかもしれませんね。
今日はその発明者に敬意を表して、
スティーヴ・リリィホワイトが手がけたシンプル・マインズ、
1983年のヒット曲「ウォーターフロント」をお届けしました。